「亜久津、愛してる」
俺は、わざと訝しがられるようなことを言う。
「気色の悪いこと言ってんなよ」
「うん、でも」
愛を言葉にすると、なんだか陳腐でチープだ。
だからこそ言う。
「愛してるんだ」
その目は何だか汚いものを見るようで、
「言ってろ」
亜久津はいつも直視しないから、変わらないから、
だから嬉しい。
03.08.28