『おまえは最早知りすぎた 死を以ってして贖え』
僕は皮の薄い手のひらにそう書いた、半ば冗談交じりに。
反応がないので、多分これは寝ている。
眼鏡の奥の、閉じたまぶたに嘘はなさそう。
『死をなん時でも受け入る覚悟があらば 猶予を与うる』
骨ばった身体に体を預けながら、僕は君の声を聞いた。
「長生きしたい」
03.08.27