姉妹管(シャープとリモート)

これは高周波5極管の特性で、Sharp Cut-offとRemote Cut-offのことです。 Sharp Cut-offとはグリッド電圧と陽極電流の関係が直線に近く、比較的小さい負電圧で陽極電流がほとんど流れなくなるものです。Remote Cut-offはこれと対照的に大きな負電圧まで流れ続けるタイプです。当然ながらこれだけでは単に増幅性能が低いだけなのですが、実際には格子電圧が小さな負電圧では増幅率が大きく、大きな負電圧のときには増幅率が小さいように格子の網目を不均等にしたものです。この目的は信号を増幅した出力の積分値により格子のバイアス電圧をシフトして小さな信号のときに増幅率を大きく、信号が大きくなると増幅率を小さくするいわゆるAutomaticGainControl(AGC)を作用させるためです。当然ながらこのような設計では大きな振幅の信号の増幅では歪みが増えるので振幅の小さな受信回路の高周波・中間周波の増幅の専用です。 実際には主力の高周波5極管はこのそれぞれの特性を持ったものが姉妹管として開発されています。日本の命名方式ではSharp Cut-offがR、Remote Cut-offがVの名称を持ちます。

タイプ ヒータ Sharp Cut-off Remote Cut-off
ST 2.5V 0.8A 57 58 頂上グリッド
ST 6.3V 0.3A 6C6 6D6 頂上グリッド
ST 12.6 0.15A 12YR1 12YV1 頂上グリッド
金属/GT 6.3V 0.3A 6J7 6K7 頂上グリッド
金属/GT 6.3V 0.3A 6SJ7 6SK7
金属/GT 6.3V 0.45A 6AC7 6AB7
MT 1.4V 0.05A 1L4 1T4
MT 6.3V 0.3A 6AU6 6BA6