対空レーダー
13型レーダー
この装置は陸上用の装置を同じ設計で艦載用としたものである。艦載用とするに際しての変更はアンテナとアンテナ制御システムのみである。水上艦は陸上用と同一のアンテナを用いたが潜水艦搭載用としては垂直ダイポールアンテナと八木アンテナが用いられた。また陸上用が機械的な回転機構を用いたのに対して艦載用は電気的方向制御が用いられた。
この150MHz(2m)はコンパクトな設計で操作も容易であり、他の艦載レーダーに比べると障害も少なかった。
送信機はT-311のプッシュプルの発振器をプレート電圧8000ボルト、グリッドバイアスー1300ボルトとして使用し、P-560の変調器によってこのバイアスを0ボルトまで引き上げることで10KW出力で発振する。パルス幅は10マイクロ秒、毎秒500回である。
受信機はシングルスーパーヘテロダイン方式であり、保守性を考慮して使用真空管は品種を限定している。
送信・受信は接近して設置し、放電管により受信機を保護している。
全体のブロック図を以下に示す。
13号レーダーブロック図
高周波部の受信管としてはエーコン管を使用している。これは陸軍でも同様であるが、日本で唯一に実用化できた超短波用受信管であったためであろう。実際には東芝では当時にRCA社のミニアチュア管を試作していたが、電池管のレベルでありレーダー用には開発が間に合わなかったようである。
エーコン管は引き出し線のインダクタンスを減らし、電極間容量も減らして超短波に対応させた品種であるが、その代償として電力耐力が少なく、また真空度の向上も困難であった。更に問題なのはソケットに搭載するときにピンに並行に応力がかかるのでガラスにクラックが入りやすい欠点があった。ミニアチュア管化はこの欠点を改善してピンに垂直の応力での挿入を行うものである。
以下に13号レーダーの回路図を示す。
13号レーダー送信・変調・電源部
13号レーダー受信部
13号レーダー受信電源部
13号レーダー表示部
21型レーダー
このレーダーは艦船搭載用に設計されたものである。2種の改造が実施され、更に3種の改造が準備中であったが、この装置は運用側では単純な13型ほどに性能も信頼性も評価されていなかった。
200MHz(1.5m)の発振器にはT-310のプッシュプルを使用し、受信機はダブルスーパーヘテロダイン方式である。
全体のブロック図を以下に示す。
21号レーダーブロック図
この装置の最大の問題は周波数を200MHzにしたことにより受信機の高周波増幅部に用いたエーコン管5極管のUN-954が期待通りの性能を得られずに、受信性能が大幅に低下したことである。本来の955の性能が国産の品質では発揮できていなかったことである。元来進歩の激しいこの分野では後発のミニアチュア管6AK5などに比較して性能が見劣りする真空管であるが日本で量産できたものはこれだけであり、それも水準に達する量産能力がなかったことが原因である。
この設計上の問題は解決されないままで他の改良だけが進められていった。
最初のモデルでは送信パルス幅は10マイクロ秒で毎秒1000パルス、出力5KWである。アンテナは送信・受信ともに平板アンテナが用いられた。
最初の改造によりアンテナは送信側が4エレメント2組、受信側が3エレメント2組とされ、次の改造で4エレメント3組の単一アンテナとされた。
予定されていた次の改造はこれを対空、対水上艦兼用とする機能と、周波数は200MHzのままで出力を30KWに増力し、パルス幅を6または10マイクロ秒に選択可能とすること、毎秒500パルスに減らすこと、アンテナのローブ切り替え機能を付加することであった。
(最大の懸案である受信性能問題に頬被りしたままでいかにも努力していると見せる官僚主義的そのものの体質であると言える。)