日本陸軍のレーダー(Wurzuburgタイプ)
この後に防空の重要性が認識されてくると、ドイツで開発されたWurzburg射撃用レーダーを技術者とともに潜水艦により1943年に日本に持ちこみ、これの復元と国産技術によるコピー機種の設計が行われた。結局実戦配備ができたのは復元機だけだったのであるが、そのコピー機の開発記録が個人の元に破棄されずに残されていたものを整理して八木和子氏が自費出版されている。
開発名は「た」号(多分探信儀から)でWurzburgと同様に可搬型である移動架は聴音機のものを流用して馬で牽引した模様である。。
部品の面では2型の受信部は当時予定が流れた東京オリンピックのために開発されていた民需テレビ用の映像増幅管US6305(GT管)を主体に構成されているが、改4型では陸軍の軍用標準の真空管に代わっている。
テレビのチューナーに相当する第一検波器には双5極のロクタル管(これによって引き出し線インダクタンスを相殺する)と超短波用エーコン管のUN955が用いられている。
それでも使用周波数はWurzburgよりずっと低い200MHzとなっている。幸か不幸か日本に来襲するのは大型の爆撃機だったので長い波長でも有効だったかも知れない。
実際にはドイツでのWurzburg対空射撃管制レーダーは1943年半ばに妨害技術の発達により実用性が低下し、新機種に代替されている。日本に運ばれて復元、コピーされたとしても実戦配備されたとしても妨害により本来の効果を得ることは困難だったであろう。
た号機2型電波標定機 | た号機改4型電波標定機(制式兵器名称タチ31号) | |||
電源 | 100V〜200V 50Hz〜60Hz 2KW以内 | 100V〜200V 50Hz〜60Hz 2KW以内 | ||
送信機尖頭出力 | 10KW以上 | 10KW以上 | ||
送信周波数 | 200MHz(±3MHz) | 200MHz(±3MHz) | ||
送信形式 | 自励発振幅射方式 | 自励発振幅射方式 | ||
衝撃繰返周波数 | 1,000Hz | 3,750Hz | ||
衝撃周波数安定度 | 100,000分の1 | |||
衝撃周波数巾 | 2〜3μs | 2〜3μs | ||
受信装置形式 | スーパーヘテロダイン | ダブルスーパーヘテロダイン | ||
受信装置中間周波数 | 12MHz | 22.5MHz、6MHz | ||
受信装置周波数範囲 | 200MHz(±3MHz) | 200MHz(±3MHz) | ||
受信装置周波数帯域 | 500KHz | 500KHz | ||
受信機利得 | 110db以上 | 110db以上 | ||
捜索可能距離 | 40Km | 40Km | ||
捜索可能方向 | 全方向 | 全方向 | ||
標定可能距離 | 20Km | 40Km | ||
測定精度 方向角 | ±1.0ミル以内 | ±1.0ミル以内 | ||
測定精度 高低角 | ±1.0ミル以内 | ±1.0ミル以内 | ||
測定精度 距離 | ±200m以内 | ±100m以内 | ||
測距表示形式 | 120mmブラウン管による直接指示 | 120mmブラウン管による直接指示 | ||
高低照準表示 | 75mmブラウン管による | 75mmブラウン管による | ||
方向照準表示 | 75mmブラウン管による | 75mmブラウン管による | ||
アンテナ | 送受信別 | 送受信共用 | ||
外観図 | た号機2型外観図 | た号機改4型外観図 | ||
ブロック図 | た号機2型ブロック図 | た号機改4型ブロック図 | ||
送信機回路図 | た号機送信機 | た号機送信機 | ||
変調機回路図 | た号機2型変調機 | た号機改4型変調機 | ||
受信機回路図 | た号機2型受信機 | た号機改4型受信機 |