○「ニルスのふしぎな旅」というアニメについて

 

 1980年1月8日火曜日、午後7時30分。NHK総合で放映が開始されたアニメーション番組がありました。それが「ニルスのふしぎな旅」です。

 

○あらすじ

 20世紀の初頭、スウェーデンの南部スコーネ地方のある農村からお話は始まります。 
 主人公の少年、ニルスはとんでもない腕白坊主。友達にはいじわる、大切な家畜にはいたずらをするで両親を大変困らせていました。ある日一人で家に居たニルスは妖精を捕まえてその怒りを買い、魔法で小さくされてしまいます。ここぞとばかりにこれまでの仕返しをする家畜たち。それから逃れるために、ちょうど上空を通りかかったラプランドに向かうガンの群れに加わろうと飛び立ったガチョウのモルテンに飛びついたニルスは、そのままモルテンやガンの群れと共に旅を続けることになりました。
 旅の中でさまざまな危険や、不思議な経験、楽しい出来事に遭遇しながらニルスは優しい少年に成長していくのです。

 

○原作について

 原作はスウェーデンのノーベル賞受賞作家セルマ・ラーゲルレーヴ(Selma Lagerlöf <1858〜1940>)が子どもたちに母国の地理や歴史を判りやすく教えるために書いた「ニルス・ホルゲソンの不思議なスウェーデン旅行」(『Nils Holgerssons underbara resa genom Sverige』)という教科書の副読本のようなお話です。しかし、出来上がった作品は単なる地理歴史教育のためだけでなく、道徳教育、環境教育などにも使えるような大変すばらしい内容になりました。その結果いくつもの国で翻訳され、代表的な児童文学書のひとつになりました。
 ただ、実際には全文が一般的な児童書にふさわしい内容というわけではなく、主に前半部分のみの翻訳書がほとんどで完全な翻訳がなされている本はあまり多くありません。事実アニメ版放映当時、まだ完訳書は日本にはありませんでした。したがってアニメ版製作にあたっては新たに原作を翻訳し脚本を作ったそうです。結果アニメ版は原作を大切にしつつも、アニメならではの演出や脚色などを加え、やや違った内容になっています。
 なお、私はスウェーデン語があいにく読めませんので、当サイトにおいて「原作」と称するものの内容は、全て偕成社文庫「ニルスのふしぎな旅」1〜4巻(香川 鉄蔵・香川 節 訳)を元にしています。

    ★濃い話 ニルスが旅をしたのはいつ?


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