〜食事中〜

ゆうや「ゆる、表情が暗いぞ。」
ゆる「…」
よし「ああ、ゆる、このミルク嫌いだもんね」
ゆうや「そうなの?」
ゆる「ねえ…恐い話してあげようか…」
うり(また始まった…)

 

白ヤギさんと黒ヤギさん



ゆる「おれがアイシスの村に住んでた頃…

 その日は…
 凄く天気が良くて…
 風も適度で…
 カラっとした日だった…」

ゆうや(怪談っぽくないな…)

ゆる「村の子供たちは皆外で遊んでいたよ。
おれは相変わらず部屋で本を読んでいたんだけどね…」

うり(ゆるって他の子供たちからどんな子だと
 思われてたのかしら…)

ゆる「丁度本も中盤にさしかかった頃だったかな…

音が…聞こえるんだ…

最初は気のせいだと思ったんだけど…

本に集中していると聞こえないんだ…

でもふと集中が途切れたときに…
確かに聞こえるんだよ…

バリバリ…

ビリビリ…ってね…」

ゆうや(幽霊っぽくない音…)

ゆる「おれは耳を澄ましてみた…
するとその音はね…

おれの家の外から聞こえてくるんだよ…
外の…
すぐ近くから…

おれはイスから立って、外に出て…
音のする方に歩いていった…

音はどんどん大きくなる…

バリバリ…
ビリビリ…
ムシャムシャ…」

ゆうや・うり(ムシャムシャ!?)

ゆる「

ヤギがいたんだ…

お隣で飼ってたヤギが…
ヒモが取れてウチまできてたんだ…」

ゆうや「で?」

ゆる「その音はね…

今朝天気がいいからおれが外に陰干ししておいたね…

おれのね…

大事な本をね…

そいつが食べてる音だったんだよ!!!」

ゆうや「で?」

ゆる「それで終り。」

うり(え?)

ゆうや「…どこが恐いんだ…?」
ゆる「恐いじゃないか!!
やつら本を食べるんだよ!?本を!
おとなしく他のものを食べてればいいのに!
よりによって!」

ゆうや(ま、まあ…ヤギだから…な…)
うり(ヤギなんだから仕方ない…わよね…)

よし「普段は人がいないみたいに静かなゆるの家から
突然「ぎゃああああ」って悲鳴が
聞こえたときには本当にびっくりしたよ。
急いで駆けつけてみたら
ゆるがホウキ振り回しながらヤギを追いかけまわして
るんだもの…
皆遠巻きに見てたよ。」

ゆうや「うわぁ…」
うり(恥ずかしい…)

よし「それ以来ゆるはヤギとかヤギのミルクとか
ダメなんだよね。」

ゆる「…」

ゆうや「あんさぁ…ちょっと気になったんだけどさぁ…
その後そのヤギはどうなったんだ?」

ゆる「…?
 あ、そういえば…隣の人が引き取ってすぐに
 いなくなったって騒ぎがあって…
 おれが疑われたりしたけど…
 うやむやになったような…」

うり「やだ…。そっちの方が恐いんじゃない?」

よし「…そうだね…
  ほんと…
  どうなったのかな?
  そのヤギ…」

ゆうや「……」
うり「……」

よし「でも自業自得じゃないかなぁ?
だってゆるの本を食べちゃったんだもの。
ゆる、落ち込んで、僕、見ていられなかったよ…」

ゆうや「
 あ…
 ま、まあ…
 あれだ…

 ゆる、いらねぇんなら
 そのミルクちょーだい。」

うり「そ、そうね…
 出発の時間もあるから
 早く食べましょう。」

ゆうや「
 いやあ…
 ゆるの話はほんと、恐いなぁ…」

うり「本当ね…」





ゆうや(なぁ…俺さぁ…)
うり(言いたいことはわかるわ…)
ゆうや(だよな…やっぱそういうオチなんだよな…)
うり(そういうオチなんでしょ…)
ゆうや(…)


 

 

 

■あとがき■
さて?
ヤギはどうなったんでしょう。(笑)

@その後また逃げた
A隣の人が食べた
B誰かが逃がした
C誰かが処分した
D誰かが料理にしてゆるに出した