syncretism


 それがどうやって始まったのだったかは、もう忘れてしまった。
 煩わしかったのかも知れないし、単に成り行きで適当になし崩し的にそうなってしまったので、
 確たる起源など最初から無かったと言えなくもない。

 年頃の男の子であったし、年頃の女だった。
 だからあるべきものがあるべき風に収まったのだ。
 たった、それだけ。

 私たちを繋ぐのは見返りのない愛。
 神が我々に降らせるそれのように、広く惜しみなく永遠な、神聖。

 「……腕を、放してください。動きづらい」

 まだ少年らしい声が少々熱に浮かされながらそう言った。
 白いシャツがたわんで、はっきりしたてのAdam's Appleが動いているのを夢想している。

 瞼は開かない。
 怖いから。

 目を開いて、自分に覆いかぶさり、シャツのボタンを熱心に外している彼の顔を見てしまった時
……自分の心が変わってしまうような気がするのだ。
 無償で、無限で、無意味で居られなくなってしまう気がするのだ。
 心が動いてしまうかもしれない。
 私の信じる愛でないものを彼に与えてしまうかもしれない。

 ……いや、ちがう。
 そうではない。
 そうではないんだ。
 『己の信じる愛』が、彼をどのように変えてしまったのか、知りたくない。

 胸の谷間に指が差し込まれ、ブラジャーが引っ張られる。
レースが食い込んですこし痛い。
無理やりに外そうとする仕草を、可愛らしいと思った。
 そして、その心の動きを罪深く思った。

 おお、神よ。
 私の信じる死の神よ。
 貴方の愛が届かぬ迷える子羊に、どうか私の身体を通して真実を伝え給え。
 彼に、愛を与え給え。
 己が愛されていると思えるに足る、実感を降らせ給え。

 襟が開かれる。
 首筋に掌が当たった。
 唇に押し当てられる冷たい温度はどこの物?
 時々頬にかすめるのはあの金のまつ毛であろうか。
 互いの名も呼ばぬ、儀式めいた探り合い。
 これは愛だ。
 これは愛だ。
 これは愛だ。
 これは神が彼の中に置き忘れた愛だ。

 唱えて、目を閉じる。
 蒼い目が瞼の向こう側で自分の何を見ているのか、悩んだ。

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梓の与えたであろう「梓が愛と信じるもの」がたとえ間違っていたかも
しれなくても、それがジャスティンと梓なんだからいいと思うよ・・・!

あと

ジャスティンののど仏サイコー!(実に川井さんに申し訳ないコメントww)