Jazzとは何でしょう




おわりに  
おわりに

1日にMD1枚として、10日にわたってジャズを聴いてきました。そして今、少しでも「ジャズとは面白いものだな」と思っていただいているのなら、私はたいへん幸せです。
1994年作の原本「Jazzとは何でしょう」はマスター・テープDAT 1巻2時間の、全くの駆け足でジャズの上っ面だけをなぞったものでした。でもそれを読み、聴いたある人はジャズの魅力にとりつかれ、今では100枚を超えるジャズCDを買い揃えるまでのジャズ愛好者になっています。
2時間では「ジャズに失礼だ」、と私は思っていました。ジャズ史の前半に、そしてクラシック音楽との比較に時間をかけ過ぎて、肝心のモダン・ジャズのくだりがおろそかになっていました。それならもう少し時間を延ばせばよいかというと、どこまで延ばしても先はキリがないことも良く分かっています。
1996年に改訂版を作りました。そのときは倍の4時間ではなく、思いきって3倍の6時間(マスター・テープDAT3巻)にしてみました。かなりモダン・ジャズの名演奏を入れることが出来ましたが、それでもアレを入れたいコレは省きたくない、と悩むことの連続でした。
それから4年経ち、MD という新しいオーディオ器機が普及、定着したことを受けて、自作のディスクに番号やタイトルの記入が可能なMDの便利な機能を活かして、三訂版を作ってみようと思い立ったのです。
前版のシナリオを、一部は残したものの、ほとんど書き改めました。約2倍の曲数を収録したのですから、そうなるのは当然です。MDからMDへのコピー(当然アナログ・コピーとなります)は音質が落ちるので、DATにいったんディジタル収録し、それをもとに音源のディスクの音量差を調整したりしながらアナログ収録DATのマスター・テープを作成、そこからMDへディジタル・コピーする、という方式を取りました。私のジャズ・ディスクのコレクションは大したものではありませんが、それでもCD、LP、テープを合わせると1000枚は超えています。その中から度重なる鑑賞に耐え得る名演奏を、ものによってははるか以前に聴いたときの記憶を頼りに探し出すのは容易なことではありません。途中で、収録そっちのけで、1曲選ぶつもりでかけはじめたディスクを、つい最後まで聴いてしまう、というようなことも度々ありました。でも実に楽しい数ヶ月間の作業でした。
ここに収録した132曲のほとんどはジャズ史上のエポック・メイキングな曲そして演奏です。だから、ジャズに詳しい人には「またコレか、またアレか」と聞こえる曲、演奏の連続でしょう。でもクラシック音楽ファンも最初は、ベートーヴェンの第5番「運命」交響曲やドヴォルザークの第9番「新世界より」交響曲のような、天下の名曲から聴き始めて、クラシックの楽しみを知るようになってきたでしょう。ジャズの楽しさを紹介する場合にも、やはり良く知られたものから入るのがよい、そう信じて、そのための作業をしてきました。
テキストの拙文は、まったく初めてジャズに接する、という人のための簡単至極な解説です。重要なのは「ジャズを聴いて楽しむ」ことなのです。聴いたあとはテキストのことなど忘れていただいて結構です。

「Jazzとは何でしょう」・・・
ジャズの神様のような人ルイ・アームストロングはある時あるご婦人からそう質問され
「My dear lady、もしそれが何だと訊かなければならないなら、あなたはけっして
分からないでしょう」 ・・・
と答えました。

そうです。ジャズは頭で、知識で理解するものではなく、聴いて、身体で感じて、楽しみながら体得するものなのです。

スウィングしなけりゃ、楽しくなけりゃ、ジャズじゃない!!!









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