私のコンサート評




私のコンサート評  
January 17 (Wed), 2001
Suntory Hall
Bartok: Rumanian folk dances Sz. 68, BB. 76
Bruch: Schottische Fantasie Op.46*
Mendelssohn: Symphony No.3 in a, Op.56 "Scottish"
NHK Symphony Orchestra's 1425th Subscription Concert
Jun Maerkl (conducting)
Kyoko Takezawa (violin)*
NHK Symphony Orchestra

 N響定期でジュン・メルクルがシェーンベルク編曲ブラームス弦楽四重奏曲のオーケストラ版を振って(良い演奏だった)日本にデビューしたのはついこの間のような気がするが、もうあれから三年余、昨年秋には、ウィーン国立歌劇場の日本引越し公演で「メリー・ウイドウ」を振り、まもなく国立オペラ劇場で始まるワーグナーの「リング」連続演奏(残念ながら日本では4年もかかるのだが)を振る。もはや第一級のマエストロへと成長してきたのである。

 快適なテンポで複雑なリズムのルーマニア民族音楽をやる。いかにも楽しげである(評者は指揮者の表情が見える位置に席を取っている)。N響もよくそれに反応している。

 今夜の収穫は竹沢恭子の「スコットランド幻想曲」、評者の好きな曲でいくつかのディスクでしばしば聴いているにもかかわらず、ナマ演奏は今夜が初めて、よく知られた曲でありながらコンサートで弾かれることの少ない名曲なのだろうか。完璧な技巧、銘器ストラディヴァリウスから弾き出される、まことに美しく艶のある音、そしてこれが一挺のヴァイオリンからか、とおどろく音量。それがスコットランドの風情を豊かに湛えて、サントリー・ホールいっぱいに響き渡る。ディスクでは絶対に味わえない、至福の30分間であった。

 メンデルスゾーンの「スコットランド交響曲」も好演。メルクルの、若さと一体となったテンポが良い。フランスものなどで、ときに戸惑いをみせるN響だが、メンデルスゾーンなら何の迷いも無く、快適好調にメルクルの棒、そして表情について行っている。

 この若きマエストロ、どうやら日本の水が合うようで、今後の日本でのステージが期待される。さて今度は次の「ラインゴールド」に注目しよう。








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