函館に着いたのは午後7時20分頃であった。函館の駅はかつて連絡船があったことを示すように桟橋に向かってカーブしている。跨線橋もそのままで、かつて桟橋まで続いていた通路は途中で途切れ、残った空間は団体待合室として利用されている。本州へ渡る客、道内各地へ向かう客が待った広い待合室。
三角屋根の立派でありながらかわいげのある駅舎。津軽海峡を見守ってきたこの駅も、再開発という時代の波に飲み込まれようとしている。
駅前から市電に乗りロープウェイ乗り場の近くまで行く。十字街電停で降り、ロープウェイ乗り場まで坂を登る。雪道は滑り、登るのに一苦労である。前を見ると遥か向こうに山頂が見える。ロープウェイは四方がガラス張りで景色が良く見える。多くの観光客を乗せ、ぐんぐん高度を上げる。函館の街が眼下に広がってゆく。程なく山頂に到着。 山頂ロープウェイ乗り場は展望台になっていて、おみやげ屋やレストランがあり、暖かい屋内から大きなガラス越しに函館の夜景が一望できる。やはり外で見ないといけない、そう思い屋上展望台へ登る。眼下に函館の街が広がり、街の明かりが陸と海の境をくっきりと浮かび上がらせる。風が強くかなり寒い。手が凍りそうである。しかしそれを忘れさせる美しさである。明るく輝く函館の街と、街をはさむ海の暗さのコントラストが、この夜景が日本一と呼ばれる所以であろう。柵にもたれかかりながら函館の街を眺めると、どこか暖かく、どこか切ない感じがする。
麓行のロープウェイの最終は10時。最終は団体で混むだろうからその前で下山する。ぐんぐん近づく函館の街。ロープウェイはゆっくりと麓に到着した。
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