お菊さん
 

大正七年、札幌市に於いて開催された大正博覧会を見物に
八月十五日出札狸小路の商店で、妹菊子にお土産として買って来た。おかっぱの胸の鳴る人形だった。菊子は、大変喜び毎日人形と楽しく遊んでいたが、不幸にして大正八年一月二十四日 三歳にして死亡、葬儀の際大切にしていた人形を棺の中に入れ持たせるのを忘れ出棺後見つけたので、
お骨と一緒に仏壇にまつり生前の菊子を思い出しながら朝
に夕に回向しているうちにいつともなく髪の毛が伸びだした。
その後樺太に移転することになり、昭和十三年八月十六日菊子及び父親助七のお骨と人形を万念寺に頼み出発・・・・
終戦後引き揚げて追善供養のため万念寺に参詣納骨した時より髪の毛が伸びており本当に不思議なことと思い、お人形を万念寺に納めた先祖代々供養をお願いしたしだいです