サッカー人生の大野君を訪ねて

 2007年7月28日(土)、今日は、大野君がサッカー部の監督として活躍している、神奈川県立城山高等学校へお伺いしました。
今回は、甥御さんが城山高校3年でサッカー部に所属し、大野君に指導を受けているというご縁で、武山さんに同行していただきました。
大野君は、神奈川県サッカー協会技術委員長、日本サッカー協会(JFA)のS級ライセンスを取得した、JFAナショナルトレセンコーチでもあり、日本と神奈川県のサッカー指導者育成についても話をお伺いしました。

体育教官室の大野君  やっと暑さも少しやわらいだ夕方4時頃、城山高校にお伺いしました。
城山高校は、橋本駅からバスで20分ほどかかり、近くにダムのある津久井湖、学校の名前でもある城山があり、緑が多く、自然が豊かな環境にあります。

グラウンドではサッカー部が練習中で、監督の大野君とコーチ二人が部員の指導をしています。

大野君は、全体の動きを指揮し、さらに個別に練習しているところを順番に廻り、一人一人に指導しています。
練習を続けていると、出ていなかった部員声が出るようになり、動きも良くなってきました。良いプレーをすると「ナイスディフェンス!」と大野君が褒めます。

練習中に、部員の親御さんが大野君に挨拶していました。
大野君は、「○君はサッカー部で頑張っていますし、生活態度もまじめで、勉強もよくできます」と、部活動だけでなく、勉強や学校生活の様子も把握していました。

それと、サッカー部員は、私たち見学者にもきちんと挨拶してくれて、指導が行き届いているな、と感心しました。
1時間ほどして、練習が一段落つき、大野君の話を聞くことができました。
【写真は体育教官室の大野君】

練習で指導する大野君

<城山高校サッカー部について>
○(48net)合宿中で忙しいところありがとうございます。サッカー部は大所帯ですね。
◎(大野君)今グラウンドにいるのが1、2年生で55名ほどで、他に3年生が30名以上いて、全体では100名近くなります。
◎武山さんの甥御さんは3年生で、合宿には参加せず、今日は昼間の練習のみなので、ここにはおらず、残念ですね。彼はよく頑張っていますよ。

○合宿は大野君も泊まり込みですか。
◎今回は3泊4日で、私も泊まっています。空いている教室にベッドを60台並べています。食事は弁当が中心で、父母会の方に、みそ汁や追加のご飯炊きなど手伝っていただいています。
○皆さんよく食べるでしょうね。
◎全日練習なので、一日4500カロリーを摂れるよう栄養指導をしています。

○合宿というと畳に布団を敷いて、というイメージですが、ベッドとは豪華ですね。
◎そうですね、トレーニングマシンも揃えていて、公立高校としてはかなり充実していると思います。

○サッカー部父母会は、ホームページも作っていて、積極的に参加されているようですね。
◎食事だけでなく、コーチもお願いしています。彼は、大学(東海大学)の後輩で、息子さんが三人とも城山高校のサッカー部です。もう一人のコーチは、指導者養成コースの私の生徒でした。

○練習途中で父兄の方が挨拶されたときに、部の活動だけでなく学校生活や成績もご存じでしたね。部員の方の挨拶もしっかりしていました。
◎サッカーの練習も大事ですが、学校生活や勉強も指導しています。城山高校800名の生徒のうち、サッカー部員は100名もいるので、部員がきっちりしないと、学校が大変なことになります。
◎合宿のときも、このようなペーパー(合宿の指針:生活態度とサッカー技術について書かれていた)を配って、生活指導にも重点を置いています。成果が実って、成績上位30名中、20名ほどがサッカー部です。
【写真は練習で部員を指導する大野君】



城山高校

<サッカー人生:学生時代>
○大野君は、目黒11中の時はサッカー部で・・サッカーはいつから始めましたか。
◎小学校の時からです。でも、まだサッカー部というものがなくて、剣道も掛け持ちしていました。剣道は目黒でトップになったことがあります。

○それは知りませんでした。11中には剣道部もあったのに、なぜサッカー部に入ったのですか。
◎松本国男先生が、一存で「大野君はサッカー部に入る」と宣言されたようで・・それでサッカー部に入りました。

○その時、剣道部に入りましたら、大野君の人生が大きく変わったのでは。
◎はい、そう思いますね。きっとここにはこうしていないでしょう。

○11中のサッカー部はだいぶ強かった記憶があります。
◎私たちの代で、東京都ベスト8まで進みました。一年先輩はもっと強く、ベスト4まで進んでいます。

○高校、大学はどちらへ。
◎高校は東海大相模、大学は東海大学へ進み、部の主将としてサッカーを続けていました。ちなみに高校・大学の同期に巨人の原監督がいます。
【写真は城山高校】

<サッカー人生:指導者として>
○卒業して最初の赴任先の学校は?
◎神奈川県立柿生西高校に体育教師として赴任しました。柿生西高校は柿生高校と統合され、今は麻生総合高校となっています。

○柿生西高校からサッカー部の指導を始めましたか。
◎はい、大学時代から指導方法の勉強をしていまして、ここから実際の指導が始まりました。
◎柿生西高校は6年ほどいまして、その次は弥栄西高校に移り、ここで、サッカー指導者の勉強を集中して行いました。弥栄西高校には13年間いました。
○弥栄西というと、今もサッカーが強いですね。

○サッカー指導者ということで、大野君が取得している日本サッカー協会公認S級ライセンスについて教えてもらえますか。だいぶ難しいと聞いたことはあります。
◎サッカー指導のライセンスは、C級から始まり(今はD級から)、B級、A級、S級とレベルが高くなります。

○レベルが高くなるというのは・・
◎ライセンスにより、指導できるチームレベルが異なります。C級:地域のチーム、B級:高校チーム、A級:JFL監督・Jリーグコーチ、S級:Jリーグ監督や日本代表チームの監督、というように。
もちろん、内容が高度になり、取得の難易度がぐんと違います。

○そうすると、大野君はJリーグや日本代表チームの監督もできるのですね・・驚きました。S級を取得された方は少ないのでしょうね。
◎今はだいぶ取得しやすくなりましたが、私が取得した1997年は合格者が18名で、その時点で100名ほどでした。リトバルスキーと一緒に合格しました。昨年までで、取得者は250名くらいです。

○取得するのは大変だったのでは。
◎特にS級が大変で・・二年間集中的に勉強しました。その時の弥栄西高校は、校長先生を始め皆様とても協力的で、授業をやりくりして勉強させてもらいました。
◎この他にも、練習で企業のグラウンドを貸してもらえたり、ベッドを寄贈してくださったりと、いろいろな方に助けられました。もちろん今も多くの方にサポートしていただき、本当に恵まれていると思います。



左から、栗山、大野君、武山さん

<サッカー人生:現在>
○そして現在は、ここ城山高校のサッカー部監督、それに日本サッカー協会のトレセンコーチ、関東技術委員長をしていますね。
○城山高校はいつからで、現状はいかがですか。
◎城山高校に来てから8年経ちました。先ほど話しましたように、父兄の方々のご協力や、県立高校としては整った環境で、サッカー部は徐々に実力を付けています。

○県内でも上位チームだとか。
◎昨年、今年と高校総体の神奈川県予選でベスト16に入って、全国大会に出場できる実力に近づいてきました。

○今日は合宿ということですが、練習はほとんど毎日あるのでは。
◎基本的に月曜日は練習が休みで、あとは毎日あります。人数が多いので、並行して練習したり、試合形式にしたりとできるだけ皆がボールを触れるよう工夫しています。
それに、国内遠征や海外遠征もあります。韓国は弥栄西高校時代から、十数年交流があり、今年も行ってきました。

○それではほとんど休みがないような・・
◎週に一日はオフの日を作ろうとしていますが、日本サッカー協会の仕事もあって、休めないときもありますね。時間がないのが一番の悩みです。

○日本サッカー協会のトレセンコーチとはどのような。
◎指導者の育成で、年に何回か講習会にスタッフとして参加しています。今までの教え子は、Jリーグのラモス、武田、福田、井原・・と数多くいます。
あと、神奈川県サッカー協会技術委員長の関係で、小学校大会へ行きまして、有望な選手をチェックするようなこともあります。

○高校サッカーだけでも忙しいのに・・まさにオールサッカーですね。ゆくゆくはJリーグや日本代表の監督とか・・
◎Jリーグからはコーチの声が掛かったことがあります。でも今は高校生の指導が面白くて、しばらくはこのままです。
○大野君がJリーグや日本代表の監督になりましたら、横幕を持って駆けつけますので・・楽しみにしています。

○それから、大野君が監修したサッカー指導法のDVDやビデオがあるとか。
◎弥栄西高校時代に、頼まれて部員と一緒に出演しました。(とビデオを見せてもらう、大野君が3人に部員に指示している)結構好評のようです。このビデオのおかげで、全国で知らない方に声を掛けられたこともあります。
 ・大野君監修「サッカーレボリューション」・・紹介ページ 販売元

○今日はお忙しいところ、話を聞かせてもらいまして、ありがとうございました。最後に同窓生の皆に一言お願いします。
◎先日11中の集まりがあって、久しぶりに同窓生に会いました。根っこは一つですが、もう皆、それぞれのプロフェッショナルで・・いろいろ刺激を受けて、楽しかったです。
これからも、時々同窓生と交流して、お互いに刺激し合って元気を出せればよいな、と思います。

○今日は私達も、大野君から元気をいただきました。これからもさらなるご活躍を祈願致します。
【写真は左から栗山、大野君、武山さん】

おまけ写真
大野君の写真
練習を見守る大野君



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