秘密基地訪問記

作業台の西本君  今日(2005年7月23日)は、自由が丘に秘密基地を発見!との噂を聞いてたどり着いた処は・・・なんと元3年B組西本幸夫邸でした。
 西本君の部屋に入ると、その機材の多さと、美しく整理されていることに驚きです! 正面はオシロスコープ等の計測機器が並び、左側はケーブル類が壁に掛けられ、右側と手前は、手作りの機器が置かれ、棚の上には本や整理用の箱が並んでいました。
 工具や細かい部品が沢山あるはずなのに、整然と片づけられてねじ1個もころがっていないのはナゼ? 早速西本君に話をお聞きしました。

手作りラジオ  最初に登場したのは、20年前に、西本君が作った真空管ラジオ(ラジオの外観)。 設計、シャーシの穴あけ、取り付け、配線と全て西本君の手作りで、ちゃんとラジオ放送を聞くことができるのです!ここで使われている真空管は、現在使われていない貴重なものということでした。

 次に見せてもらいましたのは、真空管レシーバー(チューナーとアンプを一体化したオーディオ機器)で、現在リストア中でした。西本君が調べたところ、昭和38年のパイオニア製でした。 これは廃棄されていたものを、基盤の再メッキから始めて、一から組み立て直しているものです。 アンプ部分のリストアが終わり、次はチューナー部分のリストアを行うところです。
一度壊れた機器を手間をかけて蘇らせる様子に、クラッシックカーのリストアを彷彿させます。  他にも、現在制作中の真空管のステレオアンプや、10年前に作ったバッテリ充電器なるものまでありました。

ソ連の真空管  西本君は、真空管のコレクションもしていて、数百本のストックがあるとのことです。
そのなかで、ご自慢の1本を見せてもらいました。それは、1976年9月6日に函館空港に強行着陸した、当時のソビエト連邦のミグ25(フォックスバット)を分解した時に見つけたという真空管と同じ型のものです。 当時、最新鋭の戦闘機に真空管が使われていたという報道がありまして、驚いた記憶があります。 まさか、西本君の部屋で見ることができるとは思いませんでした。
 そして時折聞こえてくるこのBGMは何だろう?と耳を澄ますと、なんと
航空機の無線!それがいかにも基地っぽい雰囲気を醸し出してるのですねぇ

 ここで西本君の思い出話を・・
昭和44年製、田村電気のバラスト管(真空管)は、当時産能大のすぐ隣に実在した、街中に有る珍しい真空管工場のゴミ箱からこっそり持って来た一本なのだよ。 あの工場の裏手には雨ざらしになっている真空管がたくさん有り、度々忍び込んで拝借?してきたのが懐かしい思い出だね〜
あの頃は使い方が判らなかったので、空き地の壁にぶつけて破裂音がするのを楽んでいたのだけれど、今思うとかなり貴重な通信工業用途の物を破壊していたのが悔やみ切れないネ! もしも現在まで保存出来ていたなら、かなりの値段が付いたはずなんだよ。
たぶん最終検査の段階で、ささいな規格外としてハネられた物のようだけど、アマチュアが使うには充分な品質だったね。
あの工場の会社が現在どこにあるのか探してみたのだけれどまったく判らないね。

工作機械  手作りのラジオ、アンプ、充電器・・それらをどのように作るのか、次に聞きました。
「電子機器を作る場合、機械工作が必須で、まず工作ありき」ということで、自分で設計した場合、それに合わせて、基盤を加工する必要があります。

西本君は、部屋にフライス盤(牧野フライス社製)があり、これで金属板に穴を開けます。  電子機器では、細かい部品やねじ等を使うはずですが、部屋には見あたりません。
西本君に訊いてみますと、見せてくれたのが部品の入った棚で、細かい部品がきちんと分類されていることに驚きました。専用の部品入れかと思ったところ、この箱は釣具店で求めたとのことです。
他にもホールソーという穴開け用の部品の台を作ったり、熱収縮チューブを賞状用のケースに入れ(枠は手作り)と工夫で一杯です。
西本君は専用の収納ケースは使わず、他のものを見立てて使い、合うものがなければ、自分で加工する、 というコンセプトで、収納の達人!と感服しました。

整理整頓  もちろん、引き出しの中もしっかり区分けがなされており、 さらには、それぞれの仕切りケースにテプラで中身の見出しがついていて、 1ミリ単位の部品の在り処も一目瞭然、。 使いたい時にすぐさま取り出せる環境って、モノ作り人にとっては絶対条件! 彼も昔はどこに何があるかわからず、それを探すことがストレスになり、制作どころでなくなってしまうことに嫌気がさし、15年程前に一念発起して整理整頓を始め今の形にたどりついたそうだ。

 整頓は、部品だけにとどまらず、も棚で分類されてインデックスが付けられ(まるで図書館です!)、工具もきちんと収納されていました。

収納術の極意は、必要以上のストックは持たないこと。
同類の物は箱に収める(一緒に使うものも)。
5年以上経過してもまったく手をつけない物は、処分の対象とした方が、新しい収納面積を生み出すキッカケになるはず。
と西本くんの後日談。
いやぁ〜ひとつ利口になりました!

 さらに、部屋には、測定機器ずらりと並び、まだまだ名残はつきませんが、屋上へ移動しました。

溶接中の西本君  屋上も西本君の作業場です。高台にあり、3階建てですので眺めがよく、晴れているときは、遠く富士山や丹沢山渓が見えます。屋上も、きちんと整頓されて、ずらりと並ぶベランダストッカーにはコレクションの部品や真空管がきっちり収納されていました。
 部屋の説明で、溶接もできるよ、と話がでまして、早速実演ショウ
まず電動カッターで金属板を切断し、右記写真のようにアーク溶接をします。火花と音、なかなかの迫力です。
そのあと、刃物の研ぎ方の説明もしてくれました。
小学生の時から家中の刃物を練習台にして磨きあげた技は職人並み、
刃こぼれした包丁も彼の手によるとまっさらの包丁に蘇るらしい。
(この記事が載ったら、包丁とぎの注文殺到かも!)
ほんのちょっと研ぎ方を教えてくれている間にも、カッターは顔が映るほどピカピカになって。
最後に爪で先端を確認するなんざ、もう〜アナタ板さんですか?
と思わず尋ねてしまいそう。

 当日、屋上に皆でいる時に地震が起こり、かなり揺れて、驚き
その後、二回ほど余震も起こり、もはやこれまでか・・と焦った取材陣ですが、
これだけの機器があれば災害時も安心大丈夫?!な西本ワールド、
ほ〜ら、あなたも訪ねてみたくなったでしょう?

もっといろいろ西本君に説明してもらいましたが、この辺で・・
おまけ写真
 ・屋上の西本君
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部屋での記念撮影
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屋上での記念撮影
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取材中の三人
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どーんと大きい、ダイヤトーンのスピーカー




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