今回はフロリダ旅行についてのレポートをお送りします。
私が住むコネチカット州ウェストポートでは、2月16日から24日まで冬休みがあります。この休みの旅行については、どの家庭も去年の夏ぐらいから計画をたて、飛行機やホテルの予約をしています。私たちも乗り遅れないように、旅行代理店に勤める友達に頼んで、昨年の4月から準備を整えておきました。
テロ事件以、空港でのチェックが厳しいかと思ったらそれほどでもなく、あまり混雑はしていませんでした。 でも、あちこちに機関銃を持った兵隊が見張りをしていて、そんな光景を見るとやはり少し緊張しますね。
フロリダのオーランド空港からはレンタカーをかりて、宿泊先(コンドミニアム)へ。 キッチン付で(大型冷蔵庫や皿洗い機、調理用品などもそろっています)、2ベッドルームに食堂やリビングもついて、一泊約1万円。その他バスルームが2つついています。とても広くて快適でした。朝食は一階のロビーに行くと簡単な朝食(パンや果物、飲み物など)があるので好きなだけ食べられます。各テーマパークにも直営のホテルがあり, 小さなお子様向けにはいろいろな楽しい企画もあって良いかも知れません。ただ、とても高いですが・・・ もしフロリダに観光旅行にいらっしゃるならば、レンタカーを借りて色々なテーマパークに行ったり(本当に数え切れないくらいあります), 美しいビーチに行ったり、おいしい物を食べにいかれるとよいと思います。 少なくとも一週間は必要です。
到着した日はもう夕方でしたので、ホテルの近くのシーフードのレストランに行き、蟹を山ほど食べました。テーブルにはあらかじめ紙がしかれてあって、蟹をトンカチで割って食べます。 大きな鉢にあふれるほど蟹が入っているので、食べきれるかと心配しましたが、口の周りや手がべとべと(バターやハーブがたくさんかかっているので)になってもそんなことは構っていられず、おまけにちっとも会話が弾みませんでした。 そんなに蟹を食べれば当分は食べたくないと皆さんはお思いでしょうが、塩ゆでの毛蟹を懐かしく思ったのは何故でしょうか。ウェイターのおじさんはとてもお喋り好きで、ワニがたくさん見られる場所を教えてくれました。 夫は生牡蠣も食べて(よした方がいいと何度も言ったのですがいうことを聞かず)、夜中はおなかをこわしトイレを往復していました。初日からこの状態で心配しました。
2日目はとても寒く(フロリダでは珍しいほどの寒さだったようです)、長ズボンにセーターやジャケットを着て、ケネディー宇宙センターへ行きました。途中、ウェイターのおじさんが言っていたようにワニが何匹も日向ぼっこをしている川があり、最初は子供達も必死になって見つけていましたが、そのうち飽きてしまうほどでした。 レストランにも「ワニ肉ステーキ」や「ワニ肉入りサラダ」があります。
大型バスに乗っていろいろな施設に案内してくれるのですが、とにかく感激しました。 広大な敷地に発射台や大きな建物がぽつんぽつんと立っていて、「アメリカって本当に広いなー」とあらためて感じました。 実物大のロケットも展示されていて、こんな大きなものが月に向かったなんて信じられないくらいです。 月の石の前では思わず手を合わせ(拍手は打ちませんでしたが)、「ご利益ご利益」と唱えてしまいました。 皆さんもアポロ11号が月面着陸をして人類初めての一歩をごらんになったと思いますが、あの時の感動がよみがえってきました。 が, この人類の偉大な事業の影には夢半ばで宇宙に散ってしまった方々が何人もいることを忘れてはいけないでしょう。
次の4日間はディズニーワールド内の4大テーマパークを一日、1テーマパークずつ回りました。 初日はあまりの寒さに私の体は冷え切ってしまい、体調を崩してしまいました。が、どのアトラクションもショーも「なんでこんなすごいものが考えつくの?」というくらいものすごかった。6歳の息子は外に飛び出してしまうのではないかと心配するほど恐ろしい乗り物もありましたが、心配だけで何もできません。 真っ暗闇の中、ものすごいスピードでテストコースを回る車に乗ったときには、前の席に座っていたおじさんの帽子が私の顔にモロにぶつかりびっくりしました。 ほかのものでなくてよかった!!「こんな物すっとぶって分かるでしょうが, おじさん!」と思いましたが、こちらも命がけですのでそれどころではありません。 でも, 他の人に危害を加えるといけないと思い、足元に落ちたその帽子を思いっきり足でふんずけて抑えておきました。 もちろん車を降りる時にはにこやかに返してあげましたが、ふと見ると帽子のてっぺんには足跡がくっきり。
エプコットというテーマパークの中には、いろいろな国の展示館があります(もちろん日本も)。 他の国は大型スクリーンで国の紹介をしたり、乗り物に乗って、展示館の中をぐるぐる回ったりする物があるのですが、日本は立派なお城や五重塔が作られているにもかかわらず、中には三越のお土産コーナーのみ。娘と二人で十二単を着てサイン会でもやろうかと思うほどでした。
夜は光や花火を使ってショーがありましたが、あまりの美しさに涙を出していました。 こんなすばらしい物が作れる人間が、反対に恐ろしい兵器も作ってしまうのですよね。
MGMスタジオでは昼にパレードがあるので、一時間も前から場所とりをして、地べたに座り込んで待ち構えていたのに・・・ 今でも思い出すと怒りが込み上げてきます。
私は最前列から2列目に、家族皆が座れるほどの場所を確保しました。 ちょっと詰めれば一人くらいは一番前にすわれたのですが、そこはそれ, 広いアメリカのことですからゆったりと座ろうとしていたところ、南米系の4−5人のド派手な女性グループが、タバコをくわえながら私達のすぐ後ろに迫ってきました。 と、突然、うち一人のおっかない顔のおばさんがどすんどすんとそのわずかな隙間に入り込んできたのです。 しかも回りの人たちがみな座っているというのに、一番前に突っ立っているのです。 ちょうど私の目の前30cmほどのところに大きなお尻(最悪にも短パンをはいている)があり, 視界は悪いし、不快極まりない! 周りの人も「何、この人?」といった感じてみていたので、私はガマンならず、「座ってください、プリーズ!」と二度言いました。
が、「空いているんだからいいでしょ」と鼻の穴を恐竜のように広げてほえます。 周りの人も「この人に何を言っても、無駄」とばかりに首を振ります。 不快なまま楽しいはずのパレードも終わってしまい、引き上げる時には、そのおばさんが「私は子供じゃないんだから、座る必要はない」と怒鳴ります。私もあったまにきて「てやんでぃ、こちとら江戸っ子だい。 てめぃのでっかいケツなんぞ見たかあないんだよ。がたがた言わずに、座ればいいんでえ。」と言いたいところをぐっとこらえて「あなた様の巨大なおヒップなど見たくはございませんでした。」と言ってやりました。 でも英語で表現すると同じ言い方になるのですが・・・
日本でも、小学校で英語教育が始まるそうですが、「ハロー」や「グッバイ」が言えたって何にもなりません。英語で「言い争える」、じゃなかった「討論できる」ようにならないと。 あのおばさん達にすると「子供じゃないから座らなくていい」というのが常識なのですから。
7日目と8日目は、ユニバーサルスタジオへ。両日とも雨降りでしたので、おそろいの水色のポンチョ(レインコート)を買って歩き回りました。夫は(髭もはやしているので、まるでアラブ系の人のよう)、娘(まん丸の顔をだして、てるてる坊主のよう)、私(子供にに抱きつかれてポンチョが破れ、こじき王子のよう)は寒さと雨にもめげず色々な乗り物に挑戦しました。どうせ、ぬれているからと水の中に飛び込むジェットコースターに乗り、お化粧も何もかもグチョブチョ。 そのそばを、頭の先からつま先まで有名ブランドを身につけて、傘をさして内股で歩いている若い女性達が通り過ぎていきました。
こちらの人たちはレインコートも着ないで、しかも裸足になって歩く人が結構います。 皆それなりに楽しんでいるようです。 息子も夫の大きなレインコートを着て(長い袖を振り回してETのよう)サンダル履きで、わざわざ水溜りを選びながら雨の中を喜んで歩いてました。
何処に行っても年配の方達がちょっとはでめなユニフォームを着て、楽しそうに色々な係員をしています。日本ですと、特にディズニーランドなど若い人たちのアルバイトばかりですが、こちらではほとんど年配の方達のような気がします。楽しそうに一人一人に声をかけながら券を配っていくおじいさんやレストランで働くおばあさん、また大型バスの運転をしながら延々と自慢げに説明をしてくれるおじいさんなど、とても生き生きしていましたし、また若いアルバイトの人たちともいっしょにうまく仕事をこなしているようでした。
こんな夢の在る遊園地などで働く事ができたらすばらしいですよね。日本でもぜひ取り入れて欲しいと思いました。でも中にはお客さんと話し込んでしまって、なかなかゲートを空けてくれないおばあさんもいましたが。それに、「これはやめておいたほうがいいんじゃない?」と思うようなアトラクションにも、仲良く夫婦で手をつないで乗り込む年配の方もたくさんいらっしゃいました。日本でも、もっと年配の方達に尊敬の念を持たなければいけないし、年配の方達も積極的に外に働きかけてくださるといいですね。
また、オリンピックと重なったせいかどの乗り物もとてもすいていて、あまり並ばずにすいすい乗れてラッキーでした。でも、長蛇の列を覚悟していったので、ちょっと拍子抜けしてしまいました。 皆さんにもオリンピックと重なるフロリダ旅行がお勧めですが、はたして何年後でしょうか。私も久しぶりに声がかれるほど(お母さんの隣はうるさくてといわれています)叫びどうしでした。とにかく足を引きずるほどよく歩き、筋肉がついたようです。
帰りは空港まで非常に道が込んでいて、時間に間に合うか心配しました。 空港についてからもカウンターに長蛇の列。が、チップを出せば早く通れるカウンターがあるといい、そこに行ったら15分でできました。なんとなく理解できないシステムです。
やっと、飛行機に乗れると思ったら、小さなぼろい飛行機で心配しました。 いよいよ離陸という時に停電になり、案の定、エンジントラブルということで、もしかすると乗れなくなるという知らせ。 夫も「降りた方がいいかもしれないな」とボソッと言うので、いよいよ不安に。でも、1時間半ほどそのまま機内で待って、機長から「チェックした結果、私が満足いく結果が得られたので飛ぶ事にします。」というアナウンス。「あなたが満足したって私が満足できないんだけど、本当に大丈夫かね」とも思いましたが、運に任せるしかありません。途中何度も気流が悪くてがたがたゆれましたが、さまざまな絶叫アトラクションで鍛えたおかげで、あまり怖い思いはしないですみました。
ニューヨークに近づくと夜景がすばらしく、宝石をちりばめたようでした。
ほっとしたのもつかの間。とにかく寒いのなんの。部屋のなかは全てが凍りついてしまっているようでした。歯をがたがたさせながら、何枚も服を着て布団に潜りました。考えてみれば、北海道と沖縄の差なのですから。やっぱり暖かいところがいいかなあ。
今回の旅行であまりに大声を出しすぎたのでしょうか、腫瘍が復活し2度目の手術と相成りました。皆さんも適度の「絶叫」にしておきましょうね。
2002年3月 丸田ゆかり