登場人物(注意:さくらと一郎は実在の人物ではありません)
さくら----目黒区緑が丘出身。11中を卒業後、何をしていたかはよく判らないが、
ステキなだんな様と巡り合い、カワイイ二人の子供達に囲まれて幸せな日々をおくる。
一郎----目黒区自由が丘出身。11中を卒業後、自分を磨くため職を転々とし、22歳からは遠洋マグロ漁船の乗組員として世界の海でマグロを追う。生活のほとんどを船の上で過ごすこと15年。その後、手にした資金を元手に事業を起こし、今は目黒に住む。
物語(注意:さくらと一郎はフィクションですが、同窓生との話はノンフィクションです)
同窓生の阿部匡秀(阿部恭子さん)に今年の運勢を占ってもらったさくらと一郎。
一郎は男42歳の大厄の年。最悪の占鑑定に気分が落ち込む。(紙面の都合で鑑定の全てを掲載できませんでしたが、それはもう・・・・)
別れ際、そんな一郎にさくらは優しく声をかけた。
さくら「一郎さん、大丈夫よ。厳しい遠洋マグロ漁の生活をしてきた人じゃないの。元気を出してね!」
一郎「そうだね、さくらさん。今日は阿部さんに会えて嬉しかったよ」
さくら「また、お電話するわね。次は誰の所へ行こうかしら」
2月になった。
社長室で日経新聞の商況面に目をとおす一郎。最近、新聞を持つ手を顔から少し離すようになった。
プルルル・・・一郎の携帯が鳴る。
「もしもし」一郎は例の渋い声で応対した。
「一郎さん、お元気でしたか?さくらです!」明るい声のさくら。
このコーナー<遊びに行こう!>いつものパターンである。
さくら「一郎さん、このあいだ阿部さんにあった時、家族とのコミュニケーション不足に気を付けるようにアドバイスされていたわよね。『このままではいけない』なんて。あれからどうしてる?」
一郎「いや別になにもしていないけど」
さくら「それじゃダメよ。いまから奥様へのプレゼントを見つけに行きましょうよ」
一郎「うーん。かみさんにプレゼントね〜」あまり気乗りしない一郎
さくら「同窓生の人が宝石、メガネ、時計のお店をしているの」
一郎「同窓生のお店ですか。メガネも扱っているお店なんですね。それなら丁度いい。メガネを新調しようと思っていたところです。お店はどこにあるのですか?」
さくら「茗荷谷よ。丸の内線だから東京駅で待ち合わせましょ」
一郎「わかりました」一郎は携帯を切りつぶやいた。「俺もそろそろ遠視用メガネのお世話になる歳か」
東京駅丸の内口で待ち合わせた二人。まるで「お上りさん」である。周囲には記念撮影する観光客らしき人の姿も。写真1
地下鉄丸の内線に乗り込むさくらと一郎
一郎「ところで同窓生のお店って言っていたけど誰のお店なの?」
さくら「E組の竹内克太君よ」
一郎「あー、ゲッタかー。お店やってるんだ。彼は緑が丘に住んでいたよね」
さくら「そうよ、ご実家は今でもあそこにあるし、竹内君は今もその近くで奥様と二人のお子さんとお住まいよ」
電車は茗荷谷駅に着いた。
駅から徒歩1分。shop[TAKEUCHI]はとても立地がよい。地図
二人は店内へ。
さくら「竹内君、久しぶり!」
一郎「ヤー、竹内君、元気そうだね」
竹内「さくらちゃんと一郎じゃないの、よく来てくれたね。今日はなに?二人して、婚約指輪かい?」
さくら「何を言ってるのよ。今日はね、一郎さんが奥様にプレゼントする品物を探しに来たのよ」
竹内「そうなんだ。お手ごろなものから最高級品までいろいろあるよ。ゆっくり見て行ってよ」
一郎「いやいや、ちょっとメガネを新調しようかと思ってね」
さくら「あれ駄目じゃない」
一郎「いや、いいのよ。かみさんとはここんとこすれ違いだしさ・・・」
さくら「だからこそ愛情表現をプレゼントして・・・」
竹内「まあまあお二人さん。店の中でもめないでよ。お茶が入ったからどうぞ」
さくら&一郎「どうも失礼しました」
お茶を飲みながら話す三人。写真2
一郎「素敵な店だね。駅から近いし、町の雰囲気も良いね」写真3
さくら「宝石屋さんて、なにか敷居が高そうで入りにくい感じがあるけど、この店は顔見知りの竹内君がいるせいか、親しみやすいわ」
竹内「どうもありがとう。この店の店長は父。僕は主に営業担当。定休日の日曜祝日以外はたいてい店にいるけど、仕入れや、外商に出ている時もあるから、来る前に連絡をしてくれるといいね。営業時間は午前10時から午後7時までだけど、電話をくれれば遅くまででも開けて待ってるよ」
一郎「竹内君はずっとこの店に勤めていたのかい?」
竹内「大学を卒業してから西武百貨店に入社して沼津店に7年半いたんだ。そこでは婦人服全般の仕事をして婦人下着を売ったこともあるし、鮮魚を担当した時には威勢よく『イラッシャイ!!』と売り子さんも経験したよ。おかげで今でも魚をおろすの得意なんだ。店全体の企画にも携って、退社したあとこの店に勤めたのさ」
さくら「デパートで接客や企画、営業の修行をしたわけね。さっきから、おみえになるお客様に応対する竹内君の姿がすごくカッコイイと思っていたの」
と言いながら、目の前の宝石にそわそわするさくら。
竹内「あ、気に入ったのがあったら言ってね。ショーケースから出すよ」
と大粒の真珠リングやゴールドのネックレスを惜しげもなく取り出す竹内君。
一郎はメガネを見立ててもらう。
奥様この指輪はお似合いですよ。写真4
一郎にはこのタイプのメガネフレームかな。写真5
さくらさんはこれでしょう。写真6
すきを見て店内を物色するさくらと一郎。写真7
ショーウインドウごしに。写真8
お店の前で三人。写真9
楽しい時間は過ぎるのが早い。一郎はメガネを買うのも忘れて竹内君と話し込む。さくらはゴールドや黒真珠のネックレスを身に着けてはしゃぐ。
なにも買わない二人は店にとっていい迷惑である。
それに気付いた二人は竹内君に礼を言いShop[TAKEUCHI]をあとにした。
さくら「一郎さん、結局奥様へのプレゼントは買えなかったわね」
一郎「いや、なんだか照れくさくてね。近いうちにもう一度来て、かみさんに似合いそうな物を竹内君に相談するさ」
さくら「それがいいわ。メガネも素敵なフレームがあったわね。私もまた来たいな」
第四話に続く
シリーズ<さくらと一郎の「遊びに行こう!」>では、 さくらさんと一郎さんが皆様をお訪ねします。どうぞよろしく。
さくら役は芹沢啓子(A組)・一郎役は梶誠一郎(A組)でした