登場人物(注意:さくらと一郎は実在の人物ではありません)
さくら----目黒区緑が丘出身。11中を卒業後、何をしていたかはよく判らないが、
ステキなだんな様と巡り合い、カワイイ二人の子供達に囲まれて幸せな日々をおくる。
一郎----目黒区自由が丘出身。11中を卒業後、自分を磨くため職を転々とし、22歳からは遠洋マグロ漁船の乗組員として世界の海でマグロを追う。生活のほとんどを船の上で過ごすこと15年。その後、手にした資金を元手に事業を起こし、今は目黒に住む。
物語(注意:さくらと一郎はフィクションですが、同窓生との話はノンフィクションです)
さくらの自宅
さくらはいつものように早朝からテキパキと家事をこなす。主婦業に休日はない。
とはいえ、ひととおりの仕事をかたづけてしまえば、午後、子供達が学校から帰るまで時間はのんびり過ごすこともできる。
少し遅い昼食を済ませ、ホッとするひととき、さくらはパソコンに向かうことにした。E-mailをチェックするためだ。
パソコン歴は2年。デジカメで撮った写真を友人に送ることにもすっかり慣れた。友人からの返事が待ち遠しいこの頃。
メールが来ていた。
送り主は[shinpaku]さん。
さくら「ムーからだ!」
ムーとは同窓生の室賀弘子さんのことである。室賀さんとさくらは今年2月の黒田先生天体観望会以来、他愛の無いメールのやり取りをしている。(黒田先生の天体観望会は
こちら)
mail「すがすがしい季節になったね。我が家のシンパクも活き活きしてる」
さくら「シンパク?なんだろ?メールアドレスも[shinpaku]だけど?」
mail「こんど、一郎さんと一緒に遊びにおいでよ。アップルパイ焼くからさ」
さくら「アップルパイ!行く〜!じぇ〜ったい・・行く!」
そんな訳で、さくらは一郎を誘い、室賀さんのお宅に遊びに行くことに・・・・
さくらと一郎は目黒駅で待ち合わせして、室賀さん宅へ向かった。
一郎「さくらさん、久しぶり。今日は、おいしいアップルパイをごちそうしてくれるそうだね」
さくら「そうそう、それに室賀さんのお宅も楽しみなの」
一郎「室賀さんのお宅はどんな感じ?」
さくら「家が広くて盆栽や植木が沢山あって、ペットもいろいろいるみたい」
頭の中でジャングルを想像している一郎。どうもアップルパイに結びつかない
さくら「それに室賀さんはビーズを使ってのアクセサリ作りも得意なの」
ジャングル−アップルパイ−ビーズ・・ますます混乱する一郎であった。
目黒駅から歩いて15分、目黒美術館の近くに室賀さんのお宅があった。
緑が多く、交通量の多い山手通りの近くにも関わらず、静かである。
玄関にあるユーカリの木の下で室賀さんが待っていてくれた。
さくら「ムー、久しぶり!」
室賀「黒田先生の天体観望会以来だね」
一郎「室賀さん、今日はおいしいアップルパイがあるって聞いたけど・・」
さくら「一郎さん、まずは盆栽を拝見しましょうよ」
さくらと一郎は、室賀さんの案内で盆栽を見せてもらう。
一郎「これは立派な盆栽だね。木の種類は何だろう?」
室賀「これは松柏類の「真柏(しんぱく)」というの」
さくら「シンパクというと・・ひょっとしてメールアドレスのshinpakuって・・」
室賀「そう、盆栽の木の中で一番気に入っている「真柏」からつけたの」 これがShinpakuだ! →
広い庭のあちこちにある盆栽を見て回る三人。
さくら「盆栽を始めたきっかけは何かしら?」
室賀「お義父さんが盆栽が大好きで、私は世話をしているうちに興味を持ったの。
7年前ぐらいかしら。だんだん、自分の盆栽を育てたい!と思って、一つ二つと買い始めて・・」
さくら「どんなところが面白いの?」
室賀「自分の世界を作り上げるところかな」
一郎「盆栽は、国風展や大観展、それに作風展といった展覧会があると聞いたことがあるけど、それを目指しているのかな」
室賀「国風展は美術の世界でいえば『日展』で、他の二つとはレベルが全然違うの。手間や費用もとてもかかって遙か彼方の世界ね。それに、今はまだ育てるのが精一杯で、展覧会なんてまだまだ。でも、いつかは自分の盆栽を国風展に出品するのが夢なの」
ご主人の実家に隣接していて、緑が多い。
と、そこへ猫が出てきた。
さくら「まあかわいい!私、猫が大好きなの」
と思わず抱きしめるさくら。
室賀「これは『ごま』っていうの。まだ二歳のオスね。うちには他に15歳のオスの『カズ』もいるわ」
一郎「猫で15歳というと・・」
室賀「人間ならば90歳以上かしら」
さくらは猫をだっこしながら庭を回る。
一郎「メダカが水瓶の中にいる。こちらにはオタマジャクシ、おっとザリガニもいる。・・今ではなかなか見られないよ」
室賀「この庭でトカゲとか見かけるよ。ヘビが顔を出すこともね」
駐車場の近くに犬小屋があり、大きな犬が顔を出している。
さくら「大きな犬ね。シベリアンハスキーに似ているけど、ちょっと違うわ」
室賀「メスの『チェリー』よ。シベリアンハスキーとアラスカンマラミュートのハーフなの。体重は34kgもあるの」
チェリーの餌の皿に手を出して吠えられてしまう一郎。
庭の片隅にはなんとあひるがいる。
室賀「あひるのピーちゃんよ。一郎さん、だっこしてみる?」
一郎「どれどれ」
ところが一郎にだっこされるのが嫌なのか、ばしゃばしゃと泥水の中でステップを踏むピーちゃん。
一郎「・・また今度にするわ」
室賀「そろそろお腹がすいたでしょう。アップルパイをごちそうするよ」
さくら・一郎「(急に元気がでて)やっとアップルパイが食べられる!」
部屋に入った一同。
次女で中二の紅緒(べにお)さんがアップルパイを切ってくれる。
お姉さんの彩乃(あやの)さんは20歳で大学のチアリーダーだそうだ。
さくら「カスタードクリームがとろりとしていて、とてもおいしいわ」
一郎「本当においしい」
と二人とも大満足。
紅緒さんはロックバンドのグレイの大ファンで去年の20万人コンサートにも行ったとのこと。
しかも、楽器はピアノとギターが得意で、学校の友達と二人でバンドを組んで、グレイのカバーまでしている。
お腹がふくらんで、ふと気がつくと傍らのテーブルにはきらきら光るアクセサリーが。
さくら「まあ、きれい!これが皆ビーズなのね。指輪、ブレスレット、チョーカー・・とたくさんある」
一郎「これは手が込んでいるね。ビーズを始めてから長いのかな」
室賀「お店でビーズを見たのがきっかけで、講習会に参加したのが今年の始めだから、1年たっていないの。友達に教わりながら作っているところ」
さくら「まあ、半年たたずにこんなに上手になるのね。そういえば室賀さんは中学時代から器用だったね」
工具箱には色とりどりのビーズがいっぱい。
一郎「いろいろな種類のビーズがある。どこで入手するの?」
室賀「友達と浅草橋の問屋街に行って探してる。種類が多くて、迷ってしまうぐらい」
さくらの指のサイズを訊いて何やら工作を始めた室賀さん。
と、きれいなビーズの指輪をさくらに渡す。
室賀「さくらさん、今日のおみやげ。ぜひつけてみてね」
さくら「わーうれしい!! 大事にする!」
早速指に指をするさくら。
一郎「うーん、これだけきれいならば欲しい人は沢山いそうだね」
室賀「今、友達とインターネットのホームページを使って、通信販売しようと考えているの」
さくら「ホームページができたら教えて。皆に宣伝するわ」
室賀「ビーズは夏に似合うアクセサリなので、夏までには公開するつもり。期待していてね」
ここで外出していたご主人の仁(まさし)さんが登場。
ご主人の本職は内装工事だが、趣味が幅広く、釣りの趣味が高じてキャスティングのビンテージルアーを作っています。(ビンテージルアーとは1900年前後のルアーで、アメリカを中心にして人気が高くなかなか手に入らない)
ご主人は、写真からこのビンテージルアーを作り、ルアーショップから引く手あまたで、プロのレベルに達しているとのこと。
また、ご主人は楽器も得意で、コントラバスを弾いてくれました。
室賀さんのご家族は皆さん多趣味で、話がなかなか尽きません。
ここで宣伝を・・
第十二話に続く・・(はず)
シリーズ<さくらと一郎の「遊びに行こう!」>では、
さくらさんと一郎さんが皆様をお訪ねします。どうぞよろしく。
さくら役は芹沢啓子(A組)・一郎役は梶誠一郎(A組)でした
企画・取材・出演・撮影・執筆のスタッフ一同(お庭にて)でした