登場人物(注意:さくらと一郎は実在の人物ではありません)
さくら----目黒区緑が丘出身。11中を卒業後、何をしていたかはよく判らないが、
ステキなだんな様と巡り合い、カワイイ二人の子供達に囲まれて幸せな日々をおくる。
一郎----目黒区自由が丘出身。11中を卒業後、自分を磨くため職を転々とし、22歳からは遠洋マグロ漁船の乗組員として世界の海でマグロを追う。生活のほとんどを船の上で過ごすこと15年。その後、手にした資金を元手に事業を起こし、今は目黒に住む。
物語(注意:さくらと一郎はフィクションですが、同窓生との話はノンフィクションです)
この日、緑が丘の実家を訪ねたさくらは、その帰り、自由が丘駅のホームで桜木町行きの電車を待っていた。
電車が着き、さくらが乗ろうとしたドアから男が降りてきた。目が合う二人。お互いにどこかで見た顔である。
さくら「もしかして、広瀬くん?」さくらが先に口を開いた。
広瀬「ありゃ、さくらさん、同窓会以来だね、久しぶり」
さくら「やっぱり広瀬君だね。今、帰り?」さくらは電車に乗らず、ホームでの会話が続く。
広瀬「うん、まあね。でも今日は自由が丘でこれの練習なんだよ」広瀬は背負った物を見せてそう言った。
さくら「それって、もしかしてギターなの?広瀬君ってギター弾くんだー」
広瀬「下手なんだけどバンドを組んでるんだよ。今週末に年に一度のライブがあるんで今、大変なんだ」
さくら「ライブもやるの!凄いじゃない!私も見に行っていい?」
広瀬「エ゛、来るかい?ホントに?来てくれるのは嬉しいけど、演奏は期待しちゃ駄目だよ。それから、曲は全部ビートルズだけど、それでもいいかい?」
さくら「ビートルズ!懐かしいネ。好きな曲がたくさんあるよ。聞きたいなぁ。そうだ同窓生の一郎さんも誘ってもいい?」
広瀬「一郎って、まぐろ船に乗ってるんじゃないの?」
さくら「一郎さんはもう海から上がったよ。知らなかった?」
広瀬「よし、それじゃこれがチケット」
さくらは二枚のチケットを受け取り広瀬と別れた。
ライブの当日、さくらと一郎は会場に近い地下鉄表参道駅で待ちあわせた。
一郎「やぁ、さくらさん、今日は誘ってくれてありがとう」
さくら「一郎さん、広瀬君とは久しぶりでしょ」
一郎「そうねぇ、広瀬とは中学の頃よく一緒に遊んだけど、ずっと会ってないな。年賀状のやり取りは続いているけどさ」
さくら「開演は6時30分になってるけど、まだ4時よ。どうする一郎さん」
一郎「とにかく会場に行ってみようよ」
二人はチケットに刷り込まれた地図を頼りに会場へと向かった。
なんとか会場にたどり着いた二人。
建物の地下に降りると広瀬君がいた。
さくら「こんにちは広瀬君、ほんとに来ちゃったよ」
広瀬「いらっしゃい。おお、一郎も一緒だね。よく来てくれたね」
一郎「よう、広瀬、バンドやってんだって?さくらさんから聞いて驚いたよ」
広瀬「そうなんだよ、照れるね。今からリハーサルをやるから中で見ててよ」
リハーサルを終えて三人の会話。
さくら「こりゃ、ぶったまげた!広瀬君のバンドは、ビートルズのコピーバンドなのね。ビートルズしかやらないの?そういえばバンドの名前もビートンズ」
広瀬「バンドを組む話がもちあがった時、僕がどうしてもビートルズをやりたいって頼んだんだ。ビートルズがずっと好きだったから」
一郎「リハーサルを見せてもらったけど、ヒヤヒヤするね。バンドを結成してどのくらいになるの?」
広瀬「今年で7年目かな。始めた頃はメンバー4人とも楽器の経験が全く無くて、ギターの調律にも四苦八苦だったんだ」
さくら「メンバーの方は皆さん区役所の人なの?」
広瀬「そう、以前同じ職場にいた先輩、同僚、後輩で元はチームで野球をやってた仲間なんだ。メンバー不足と体力面で野球をすることが少なくなって、それで突然バンドを始めたのさ。変だろ」
一郎「もう何度かライブをやってるのかい?」
広瀬「バンド始めて間もないころから、今でも下手だけど、もっともっとヘタッピだった時から人前で演奏してる。最初は9曲しかレパートリーが無くてね。招いたお客さん達が何度もアンコールして助けてくれてたんだ。野球だって練習だけじゃつまらないでしょ。試合がなくちゃね。それで年に一度はライブを開くようにしているだよ」
さくら「広瀬君のギターを触らせてもらっていい?」
広瀬「どうぞどうぞ」
開演前のステージに上がり広瀬のギターを持たせてもらうさくら。
さくら「これがエレキギターかー。ギョーエーンって鳴るの?」
広瀬「弦を弾けば鳴るんじゃない。ほら」ビヨ〜ン
さくら「ステージ衣装もビートルズ風にお揃いなのね」
広瀬「そうさ。良かったら着てみるかい?」
広瀬君の衣装を着せてもらうさくら
ステージの上で三人
ステージの上でステージの上でさくらと一郎
ついでに他のメンバーのバイオリンベースを持たせてもらうさくら
一郎「今日は何曲くらい演奏するんだい?」
広瀬「全部で28曲。練習中の曲も含めて全部披露する予定。この1年間の成果をお客さんに見てもらうつもりなんだ。さあ、もうすぐ開場の時間だ。お客さんが入ってくるから二人は前の方の席で応援しててよ」
開場の時間になり、ホールに観客が入ってきた。サンドイッチが配られ、アルコールも用意されている。
一郎「だいぶお客さんが入ってきたね。もう満員じゃない。100人くらいかね」
さくら「そうね、みんな広瀬君達のバンドのお知り合いの人達みたいね。私たちがこんなに前の席にいていいのかしら」
一郎「かまうもんか。かぶりつきで盛り上げようよ」
場内の照明が落とされ、バンドが登場 | ||
オープニングナンバーは[Can't Buy Me Love]ボーカルは広瀬君 一郎:「ついに始まったね。広瀬が歌ってるよ。ちょっと緊張ぎみかな。こっちまで緊張しちゃうよ」とウイスキーをがぶ飲みする さくら:「ビートルズっていいよね。私も昔LPレコード持ってたよ」 一郎:「俺はあんまりビートルズ知らないけど、昔、広瀬に聞かせてもらったような記憶があるよ」 | ||
・A Hard Day's Night ・All My Loving ・P.S.I Love You ・Please Please Me ・She Loves You ・Help! ・Love Me Do ・Ticket To Ride ・From Me To You .............. | ||
ビートンズはジョン・ポール・ジョージ・リンゴの4人になりきって、曲ごとにボーカルをとって熱演 | ||
一郎:「広瀬が一瞬ジョンレノンに見えたよ。緊張から開き直りに変わったみたいだ」 さくら:「生の演奏ってスゴイ。こんなに近くで見ることってないしね」 一郎はさくらが百円ショップで買ってきた紙テープを投げまくる。広瀬君も嬉しそう(少し迷惑そう) | ||
ラストナンバーは[抱きしめたい]会場のお客さんは皆立ち上がってフィナーレ |
ライブが終わるとお客さん達が会場の椅子やテーブルをかたづけ始め、ゴミを綺麗に分別。これは毎年恒例のスタイルのようで、とてもアットホームな雰囲気。
会場で広瀬君の奥様にお会いしました。奥様も目黒区役所にお勤めです。
おまけ・・コンサート後にYGPへ行って
第十話に続く・・(はず)
シリーズ<さくらと一郎の「遊びに行こう!」>では、 さくらさんと一郎さんが皆様をお訪ねします。どうぞよろしく。
さくら役は芹沢啓子(A組)・一郎役は梶誠一郎(A組)でした