ドラマ『六番目の小夜子』


2000年4月8日〜6月24日、教育テレビ(18:00〜18:30)



第12回「そして扉が開く」(6/24放送)     
 火がついた北校舎に雅子が、そして玲と秋が飛び込んでゆき由紀夫を助け出す。玲は一人残ってサヨコの台本を持ち出そうとするが、棚が倒れてきて身動きができなくなってしまう。そこへ津村があらわれ玲を助け出すが、二人で出口に向かう途中で炎に包まれて立ち往生。ところが、謎の人影がよぎたったかと思うと一筋の道が開かれ二人は無事外に出ることができる。
 玲が持ち出したサヨコの台本をみて喜ぶ雅子に、津村は人の命よりそんなものが大事なのかと怒り出す。
 雅子にとってサヨコは兄を変貌させた特別のマジックであり、いつか自分の変身願望をかなえてくれるはずのものだった。彼女宛にサヨコの鍵が送られてこなかったことで悲嘆にくれていたが、今年のサヨコは二人いる、というメッセージから、自分が三人目のサヨコになろうと心に決め、玲と津村の妨害をし、芝居の台本もすり替えたのだった。雅子の行為を一番よく理解したのは、入院しながら「ここにいるのは本当の自分じゃない」と思ったことのある加藤と秋だった。
 津村は自分の祖母が恐らく一番目のサヨコ=黒川先生に鍵を渡した張本人であり、自分に鍵を送ってくれるように黒川先生に依頼したであろうことに気づく。
 終業式の日、玲たちは津村が転校することを知らされる。挨拶もせずに消えていこうとする津村を追いかける玲。どんなことがあっても忘れない、と二人は心を通わせ別れを惜しむ。
 エピローグは始業式に赤い花が活けられているのを発見する生徒達のシーン。そして、鍵をもった津村に似た長い髪の少女が振り向いてフェイドアウト・・・。

 サヨコを大人への扉を開くイニシエーションとして位置づけ、うまくまとめたという感じでしょうか。その分、原作の持つ曖昧模糊とした不思議な魅力は影を潜めてしまいましたが、まあそれはしょうがないでしょうね。目に見えないものを形ある映像にした時点でゆがんでしまうものなので。それさえ考えなければ、十分おもしろいドラマとして仕上がったと思います。サヨコの芝居のシーンはじめちょっと無理があるんじゃない、という所もありますが、概ね緊張感を維持し、それなりにドラマ独自の世界でそれぞれのキャラクターの魅力を引き出しながら進行したのではないかと。演じる子供たちも、演技に稚拙なところはありますが、それでも回を重ねるにつれて非常にいい表情をするようになったなあという気がします。
 そうそう、最後の秋くんチェックは今回初めて「お父さん」と呼ぶシーンですが、もうこれはこっちが気恥ずかしくなるくらいの”家族ドラマ”ですが、秋くんだから許しちゃいます(笑)。

 恐らくこのドラマの世界に入り込んで見ていた同年齢の子供たちもたくさんいることでしょうし、これを機に恩田陸作品の魅力にふれてほしいなあと切に願います。



第11回「サヨコの正体」(6/17放送)     
 サヨコの黒幕だったのか、と責められた黒川先生は、自分は台本をすり替えてもいないし、サヨコの邪魔もしていないが、少し時間をくれと言って言葉を濁す。
 すべて黒川先生に躍らされていたのかと白けた雰囲気が漂う中、サヨコに大きく関わった津村も玲も秋もそれぞれ自分と向きあわざるを得ない。
 校庭の隅の碑の前で黒川先生は雅子、玲、秋に向かって、自分が鍵を送り続けていたこと、みんなが違うサヨコになろうとする姿を見ると元気づけられたこと、そして、このゲームがすでに自分の手を離れている気がすることを打ち明ける。
 津村との関係を相談した秋からも突き放された玲は一人バスケットゴールに向かうが、夜の校舎でまたしても「六番目の小夜子」からのメッセージが掲示板にはり出されていることに気づく。それを画鋲で止めているのは雅子だった。「私がサヨコを救い出す」と言い放つ雅子だが、その時北校舎の火事に気づく。駆け付けた黒川先生に雅子は中に人がいると叫ぶ。破棄されようとしていたサヨコの年の文化祭実行委員会ファイルを運びだすために、由紀夫を中に待たせていたのだった。

 黒川先生の関わりを明確にしつつ、まだ謎を残すという形にしましたね。黒川先生も原作のイメージとは全然違って、風貌がちっとも謎めいていないところが今一つなんですけど。しかし、彼曰く「優秀だった三番目のサヨコ」って原作では秋のお兄さんなんですが・・・。
 それにしても、自分のことがよく見えなくて、自分と他人の距離も上手く計れないという思春期の青春ドラマに見事に仕上がってるなあと感心してしまいます。玲のお父さんも絵に描いたような「いい大人」を演じていますし。まあ、秋くんみたいな子が周囲にいたら、おねーさんも「いい大人」してみたくなりますけど(笑)。「別な誰かになりたいと思うのは絶対にイヤだった」って、そーいう突っ張ってるところ、思はゆくもかわいいですわ。(と言えるような歳になったんだなあ(爆)。)
 さて、泣いても笑っても次回が最終回。ぜひともシメテほしいですねえ。



第10回「サヨコはここにいる」(6/10放送)     
 サヨコ宣言をした玲だがクラスメートに信じてもらえない。
 津村は自分をかばってくれた玲に対して感謝するが、「まだ何かが起こるような気がする」と予感を告げる。
 文化祭の芝居が生徒たちに与えたインパクトは大きく、クラスには倦怠感が漂う。「サヨコって何なんだろう?」という津村に対して、秋はのぞいた人間の心を写しだす鏡だと言ってみせる。
 一方、関根家では由紀夫を引き取ろうという話がでているが、親の都合で振り回されることに由紀夫も秋も腹を立てている。しかし、自分に向き合うのが怖かったのかもしれないと言う父と話すうちに、秋は「ゆき、うちにきちゃだめかな?」と尋ねる気になる。
 玲は黒川先生のワープロの特徴に気づき、サヨコとのつながりに疑念をもつが、それを打ち明けた雅子から「みんながサヨコの芝居に感動しているのにそれをがっかりさせてまで本当のことを言う勇気があるのか?」と逆に詰め寄られる。
 それでも津村にはげまされ玲は自分の信念を貫こうとするが、秋が先を越し、黒川先生に質問をぶつける。先生が一番目のサヨコだったのか、と。

 まずは前回の訂正から。黒川先生のサヨコ伝説への関わり方は、全て担任ではなく、2番目のサヨコの時にバスケ部のOBとしてこの学校に来ており、1番目のサヨコの時にはこの学校の生徒だった、という設定でした。
 サヨコは鏡だ、という説明はなかなかわかりやすくておもしろいですが、その分解釈を限定してしまう恐れがあります。また「なぜサヨコに選ばれたのは津村であり秋だったのか?」というところに大人の意図を張り付けてしまうと興冷めでしょう。次回の黒川先生の立ち回りでお手並み拝見ですが。
 前回からきつ〜い雅子がクローズアップされていますが、あの声というか発声を落ち着かせれば先行き楽しみな女優さんになれるかもしれません。しかし、雅子のサヨコへの関わり方もまだ謎ですね。
 秋は人がいない風景をとることを好む少年ということになっており、屈折の仕方としてはあまりにわかりやすいですね。まあ、これが3年たつとさらにしたたかな人を観察する人間になるのかしらんと思うとちょっと楽しめたりしますが(^^;。



第9回「恐怖の文化祭(後)」(6/3放送)     
 サヨコの芝居の途中に突如起こった強風によって窓ガラスが割れ体育館内はパニックに。その騒ぎの中、舞台の上には人がいて髪の長い少女の後ろ姿がスライドの光源で照らしだされる。
 一夜が明け文化祭は進行される。しかし、玲のクラスでは昨日のサヨコの芝居をめぐって推測が飛び交う。ガラスが割れた時に津村が席にいなかったことが津村に対する疑惑を引き起こし、犯人扱いの津村はクラスに顔を出せなくなってしまう。
 秋のカメラは下駄箱からなくなっており部室で見つかる。しかも写真が数枚撮られた形跡がある。
 歌声喫茶は大繁盛のうちに一日が終わるが、夕礼の時間に姿を現わした津村に対して雅子の糾弾が始まる。最初は皮肉な対応をしていた津村だが、次第に「転校生だから気に入らないの?」「私だってみんなと同じ14歳。みんなの言葉に傷ついたり、悲しんだりするわ」と激しながら心情を吐露する。津村の感情に反応するように地震が起き、恐れの表情のクラスメートに囲まれた津村は教室を飛び出す。
 玲に「見損なったよ」と言われ雅子は泣きだし、溝口は「玲が津村さんばっかり構うから」「みんな玲が心配なのよ」と告げる。玲は津村に対して何もしてあげられなかったことに悩む。
 一方、実行委員長から歴代のサヨコの共通点は黒川先生が担任だったことと教えられ、黒川先生の後をつける秋だが、自分の家を訪問するところに当り、母親が由紀夫も引き取ろうとしていることを知らされる。
 そして文化祭最終日。津村への糾弾が再燃しかかったところで玲は自分が六番目の小夜子だ、と宣言する。

 今回の見どころはなんといっても雅子VS津村ですね。二人とも迫真の演技だったのではないでしょうか。当然原作にはない展開ですが人間関係のドラマとしてはわかりやすいですね。まあ、実際問題としては、あんな風に言い合えず、喧嘩にならないから陰湿になるんですが。しかも、中学生に対しては「大人になろうよ」って言いたくなるのだけれど、でも周りをよく見るといくつになっても変わってないじゃん、と思う所もあってうんざりしてきますね。やれやれ。
 秋のカメラは予想通り伏線となっていますが、写真には何が写っているのか、楽しみ。
 黒川先生のワープロは露骨にでてきちゃいましたけど、どうやら次回は黒川先生糾弾会のようですねえ。でも、十年以上いる名物教師って高校ならいざ知らず公立の中学校でありえるのでしょうか? 少なくとも横浜市だと10年以上同じ学校に勤めることはできないのですが、地方だとそうでもないのかしら。
 そうそう「言いたいことがあって戻ってきた」と何度も思わせぶりに言う加藤の活躍も期待しましょう。



第8回「恐怖の文化祭(前)」(5/27放送)     
 秋は玲に自分がサヨコの妨害者であったことを認めるが、偽のサヨコが他にいることを指摘する。二人の会話は不意に起きた突風によって妨げられる。
 一方、全校生徒はサヨコの芝居のために体育館に集合する。秋はふけようとするが由紀夫に芝居の後に話があると止められやむなく参加する。入院していた加藤も復帰し参加。
 実行委員による芝居の説明が始まる。ペンライトつきマイクを回し、各人が配られた番号付きの封筒の中に入っているせりふを読んでいく”呼びかけ”を行うというのである。
 いよいよ芝居を始めようとするが、そこで実行委員達は配られたせりふが全てすり替えられていることに気づく。元の台本の作成者、玲と津村もそのことに気づくがどうすることもできない。実行委員長も今更やめることが出来ずそのまま芝居を始めてしまう。
 真っ暗な体育館で語られはじめた物語はサヨコの物語だった。一番目のサヨコ、二番目のサヨコ、三番目のサヨコ、四番目のサヨコ・・・。得体のしれない雰囲気にのまれ、気分の悪くなる者もでてきたため実行委員は体育館の扉を開けようとするがなぜか開かない。物語は六番目のサヨコの話に突入し、緊張が高まる中、「私がサヨコなのだ」「ここに」「ここに」「来た」というせりふと同時に体育館の扉がバーンという大きな破裂音とともに開け放たれる。

 一番メインとなる芝居のシーンにどういう映像を流すのか非常に興味がありましたが、いかにも”セット”な教室とは違う実際のうす汚れた校舎の写真、生徒の表情等々なかなかよかったですね。
 せりふがすり替えられているというのは非常におもしろいアイディアだなあと思ったのですが、でも、そーなると、あの舞台に置かれた花瓶やスクリーンに写しだされたスライド、赤と黄色のランプで芝居の間とテンポを調整した演出は、実行委員の方では前もって準備できなかったことになりますよね。すりかえるだけでなく実際操作もしないといけないわけで、ちゃんと説明が付けられるのかどうかちょっと疑問。
 元この学校の教師だったという津村沙世子の祖母はかなりあやしい行動をとっていますが、一体どういう役割なのでしょうね。
 秋くんチェック(笑)としては、玲に対して「心配だった」と心情を吐露しつつ甘々に終わらなくてちょっとほっとしたり。あと、パニックしている実行委員長に喝を入れるシーンはよかったですね。体育館に行く前に、下駄箱に置いていった秋のカメラが意味深なショットで何度も出てきたのがちょっと気になりますが。  それにしても、このサブタイトル「恐怖の文化祭(前)」ってダサくないですか? 三流ホラー映画みたい。



第7回「罠」(5/20放送)    
 玲と津村は無くなった台本を再現するために、サヨコの芝居について卒業生に聞いて回るが成果は芳しくない。秋が郵送した台本が文化祭実行委員長の元に届くが、二人は新しい台本を創りあげ、サヨコの台本が保管されているロッカーにこっそり置いてくる。
 9/1、実行委員長が全校生徒に向けてアナウンスした内容は、玲たちの台本に基づいた全員参加のサヨコの芝居についての注意だった。しかし、何者かによって台本は盗まれている。
 一方、玲たちのクラスの企画「歌声喫茶」は津村の祖母の指導を受け着々と準備がすすめられる。
 そして、文化祭当日の朝。サヨコの花瓶が入っていたロッカーの前で秋は玲に出会う。「サヨコの妨害者は秋だ」という津村の言葉を確かめるために玲は待っていたのだ。「どうして?」と詰問する玲。一方、登校してきた生徒たちは、掲示板に「サヨコが現れる」というメッセージを見つけ、騒然となる。

 いよいよ文化祭も近づき、盛り上がってきました。
 手芸部がPRのために作った雪だるまは意外性、笑い、トリック道具と三拍子そろってなかなかうまい使い方ですね。(着ぐるみを着て現れた溝口くんを見て、「会長!」と思ったというのは内緒です(笑)。←まったく関係ない『ブレイクエイジ』ネタなので知らない人は無視してやってください(^^;。)
 文化祭準備の最中に、ファインダーをのぞく秋に玲がカメラを向けるシーンがありましたが、ファインダーから顔をあげた秋の一瞬の表情がなんともせつなくてGOOD!(おねーさんはファンになってしまいそうです(^^;。)原作で秋の観察癖を津村がずばっと指摘するシーンがすごく好きなんですが、でてこないかしら。
 次回は山場、体育館でのサヨコの芝居。楽しみ〜。



第6回「七夕の秘密」(5/13放送)    
 またあらたなメッセージが登場。朝登校してみると、教室の黒板に「四番目のサヨコが扉を閉ざす」と書かれ、ビラがまかれており、玲たちのクラスは大騒ぎ。「サヨコなんていない」と言う佐野に秋も賛同するが、クラスの皆は納得しない。雅子は姉から聞いた話をもちだし、「小夜子の一人芝居を文化祭企画案として提出すると、7月7日7時に小夜子の碑の前に本物の小夜子があらわれる」かどうか、確かめようということになる。玲は佐野にも一緒に来てくれるよう頼むが断られる。
 当日、小夜子の芝居企画案は何者かによって文化祭実行委員長の家のポストに投げ込まれていた。夕方集まった玲、津村、秋、雅子、黒川先生の前には何もあらわれなかったが、玲は屋上で中学生時代の佐野の幻影を見た気がする。
 ゲームは終わった、としょんぼりする玲と津村だが、サヨコの花瓶の入っていたロッカーに鍵を返しにいき、そこで赤いスカーフと「六番目の小夜子への祝福」メッセージを見つける。

 まっすぐ決められたレールにのっていくことだけが正しい道なのではなく、回り道で何かが見つかるはず、という青春ドラマメッセージが露骨に感じられてしまうのは、年くったせいでしょうかね。お説教モードにはならないでほしいなあと思う今日このごろ。
 津村が「鍵は三つもあって、サヨコ伝説に障害がおきるたびにそれを修復しようとする者がいる。それは最初の小夜子からずっと見守ってきた人物」とはっきり黒幕を示唆をしていますが、これを物語半ばで登場人物に語らせてしまうというのはちょっともったいない気が。



第5回「不思議なうたごえ」(5/6放送)    
 津村沙世子は病院で手当てを受けた後、行方不明に。玲と秋は、津村沙世子のお祖母さんを尋ね、歌声喫茶「エーデルワイス」にたどりつくが、沙世子を一人にしておいてあげて、と言われる。
 佐野美香子は教育実習生として母校を訪れたという設定。玲は文化祭の一人芝居について、佐野に相談するが、彼女は、自分は在校中もサヨコ伝説を否定し、今回もサヨコという迷信を終わらせに来た、と告げる。
 一方、あらたに花瓶に赤い花が活けられ六番目のサヨコを名乗る者から「私は誰にも負けない」というメッセージが掲示される。秋は、犯人として佐野を疑うが、佐野から「玲が独り立ちするのがさみしくてサヨコを妨害しているのね」と言われて憮然とする。

 サヨコに関係している人間の数が原作より増えているので、どういう風にからみあっていくのか、目が離せません。
 原作のエピソードは形を変えながらもちゃんと登場しますね。歌声喫茶はしぶとく、玲たちのクラスの文化祭の企画として生きてきましたし。
 秋というキャタクターは、玲との関係だけで計られるような、底の浅いキャラクターでおわって欲しくないですね。子供っぽいところがあっても構わないのだけれど、でもやっぱり、もう一段深いキャラであることを期待しています。



第4回「謎のメッセージ」(4/29放送)    
 そろそろ原作にはないエピソードや新しいキャラで物語を膨らませにかかっている感じでしょうか。
 掲示板に謎のメッセージがはりださせれ、一つ目は「二人のサヨコは災いをもたらす」、二つ目は「サヨコをおとしめないで」とサヨコを名乗る者から。
 津村沙世子は玲に対して「サヨコを辞める」と宣言し、三年生の問い詰めに対しても、小夜子であることを否定するが、それは加藤がサヨコ騒ぎに巻き込まれて入院したことを気に病んでいたからだった。
 サヨコの花瓶が入っていたロッカーは、鍵が壊れ、中の花瓶が消え、さらに津村沙世子が入れておいたサヨコに関する全てのものもなくなっていた。秋宛に届いたサヨコへの次の指令は文化祭での一人芝居に関わるもの。津村沙世子のみに送られたという台本やメッセージの話を聞いた秋は、津村沙世子に対する不信感を露にする。
 玲の家からの帰り道、玲の弟と一緒に不良連中にからまれた津村沙世子は野犬を呼んで、難を逃れ、自身も入院の模様。
 新キャラとしては、前回玲が津村沙世子の家の庭で出会ったために彼女の父だと勘違いした人物が、実は、秋と由紀夫の父で、迷い犬や迷いネコの探索をする動物探偵事務所を開いていることが判明。和服を着こなすしぶ〜い関根多佳雄は出てこないのですね(;_;)。そして、”4番目の小夜子だった卒業生”として佐野美香子が登場。原作では、秋をめぐる恋敵だったはずが津村沙世子に利用されてしまうキャラクターですが、一体どういう役割を果たすのでしょうね。雅子の謎もまだ明らかにされていませんし。
 それにしても、玲って(今時死語ではないかと思うが)「青春してる」キャラクターですね。照れも皮肉もなしでやられるとどうもこう背中がもぞもぞするような・・・いえ、別に悪いとは言いませんが(^^;)。



第3回「見えない敵」(4/22放送)    
 玲は沙世子とバスケ部のレギュラーの座をめぐって争いながら、沙世子を排除するのではなく、「二人で小夜子をやろう」という気持ちに傾く。ところが、ここであらたな「二人のサヨコ」の呪いというべきモチーフが登場します。すなわち、6年前、2番目の小夜子こと津村沙世子が交通事故で亡くなったのは、その年二人の小夜子がいてサヨコの怒りにふれたせいだ、と。
 「二人の小夜子は不吉だ」、という秋に対して、玲は「押しつけられた規則にしばられた小夜子なんていや」「危険があったら私が秋を守ってあげる」と言い放つわけですが、うーん、このあたりなんとなく、こういう女の子がはやり、みたいな”大人の視点”を感じてしまったのは私だけでしょうか。同年代の子供たちは素直に感情移入するのかなあ・・・。
 ともあれ、ラストに碑の前で泣いていた雅子もなにかエピソードを抱えているようで、次回が楽しみです。
 そーいえば、いっつも編み物をしている男の子は溝口くんだったのですね。やっぱり歌声喫茶のエピソードは出てこないのかしら。あと小道具話では、秋がiBookを使っているのがちょっとうれしいです(^^)。



第2回「亡霊」(4/15放送)    
 設定に慣れてしまったので、リアリティという点はおくとして、見ながらドラマとしての雰囲気を楽しむ余裕がでてきました。「なにかよくわからないけれど怖い」という雰囲気はよく出ていますね。確かに連ドラだし、映像的には玲というキャラクターを加えて、彼女を軸に動かさないと難しいと判断した作り手の意図はわかる気がします。
 今のところ原作のエピソードを、表現は変えつつも生かしながらの展開。3人目の小夜子、加藤くんは「ヒヲミテ」と言い残して入院。
 津村沙世子はまだクラスに溶け込むことなく「謎の転校生」のままなのですが、このまま走るのでしょうか? 謎めいた怖さだけでずっとひっぱるのはちょっと無理がある気もするのですが。
 クラスメート達の演技は、劇団「ひまわり」とかそーいうところできっちり鍛えられている感じで、いささか教本通りという感じはしますが、不快感はないですね。秋も由紀夫も、最初は設定に面食らいましたが、案外成長すると原作のキャラクターにあうかもと思えるところがあったり。



第1回「謎の転校生」(4/8放送) 
 原作の舞台は高校ですが、ドラマの舞台は中学校。
 潮田玲(鈴木杏)という新しいキャラクターが登場しています。隣に住む関根秋宛に届いた小夜子の鍵を失敬して自分が「小夜子をやりたいの!」と主張する元気のいい女の子という役柄で、沙夜子と対峙する役割のよう。沙夜子(栗山千明)はいかにも「謎の転校生」しています(^^;)。秋は心臓病のため留年して2度目の3年生。由紀夫は秋の弟という設定のようです。ここまで設定が変わっているとすでに「別物」で、原作とは違ったストーリー展開、エピソードが予想されます。(しかし、こんな絵に書いたような健全な中学校っていまどき存在しないのでは、という気が・・・(^^;;。)


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