『ライオンハート』のに関連する本・映画などについてのコメントです。
あとがきで『ライオンハート』はこの作品への個人的なオマージュと記されているタイムトラベル・ラブストーリーの名作。児童文学として読んだ記憶がある方も多いでしょうし、古い映画に詳しい方はジョセフ・コットン主演の同名映画として記憶されているかもしれません。
貧しい画家イーベンがセントラル・パークで出会った少女ジェニー。キャンバスにジェニーの肖像画を描こうとするイーベンだが、彼女は出会う度に成長してゆき、やがて・・・。
という物語ですね。
『ゲイルズバーグの春を愛す』、『ふりだしに戻る』などのジャック・フィニイ作品とテイストが似ています。
タイムトラベル・ラブストーリーと言えば、他にもロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」などがあげられますが、 国内作家では「美亜におくる真珠」はじめ数々の名作で泣かせてくれる梶尾真治を忘れることはできません。とりわけ、『ジェニーの肖像』へのオマージュと考えられる短編「時尼に関する覚え書き」は傑作だと思いますので、読まれたことがない方がいらっしゃいましたら、ぜひこの機会にトライしてみてはいかがでしょう。短編集『恐竜ラウレンティスの幻視』(梶尾真治/ハヤカワ文庫JA)に収録されています。
作中のラストでエリザベス・ボウエンが店に積まれているレコードを覗き込むシーンがでてきますが、あとがきでもこのタイトルを小説のタイトルに使ってみたかったと書かれていますね。
自分の記憶には心当たりがなかったので、とりあえずCD(Kate Bush/"LIONHEART"/東芝EMI/CP21-6083)を聞いてみましたが、声を聞くやいなやこの声には聞き覚えがある、と一発で思い当たりました。それくらい印象的ですね、あのきわだった高音と独特の宇宙空間をただよっているような歌い方は。アルバム・タイトル曲は "OH ENGLAND MY LONELYHEART" で、この曲だけ聞くと「どこの上海歌姫だろう?」みたいに感じるちょっと不思議な旋律です。