参考作品〜『黒と茶の幻想』〜

『黒と茶の幻想』に言及される本・映画などについてのコメントです。


『森は生きている』
 サムイル・マルシャークの児童文学。(岩波書店版が比較的新しい版のようです。)

 14歳になったばかりの気まぐれな女王は、新年のお祝いに使うために、4月にしか咲かない「マツユキソウ」がほしいと国中におふれをだす。継母のいいつけで吹雪の中、森に「マツユキソウ」を探しにいった娘は、森の奥で12の月の精たち(←一月から十ニ月までの名前のついた人)に出会う。日頃の行いのおかげで娘は4月の精から特別に「マツユキソウ」を取り出してもらい、「困ったことがあったら使うように」と指輪をもらって家に帰るが、その指輪を義姉に取り上げられてしまう・・・。

 というお話。わたしも子供の頃に児童書で読みました。”ロシアの森”というのが、とても日常からは遠い存在で、しかも真冬の森が春になってしまったり、一難去ってまた一難な展開には、純真な子供心になんだかよくわからないけれど底意地の悪さ(というかそれがある意味人間の本質なんですが)が感じられて、わたしもちょっと気味が悪い感じがしたのを覚えています。

 舞台映えするので、演劇やオペラにもなっていますね。



ボリス・ヴィアン
 作家にして俳優、歌手、トランペッター、画家でもあったマルチアーティスト。39歳の若さで死去。
 引用箇所は『うたかたの日々』かな? そのうち暇な時にでも確認してみたいと思います。

 ちなみにわたしがボリス・ヴィアンで一番おもしろかったのは『北京の秋』ですね。今、全部読み返すとまた違うかもしれないけれど。



「ブラウン神父シリーズ」

 盗まれた表札の謎解きパートで、彰彦が「ブラウン神父のお導き」というフレーズが出てきますが、もちろんおなじみ古典ミステリー、G・K・チェスタトンのブラウン神父シリーズ。創元推理文庫はじめ、いろいろな出版社から出ています。「木を隠すなら森に」という定石は、初短編集『ブラウン神父の童心』に収録された作品に出てきたのではないかと思いますが、さだかではありません。

 G・K・チェスタトンといえば、個人的には奇想天外小説『木曜の男』が大のお気に入り。



『谷川俊太郎の33の質問』谷川俊太郎/出帆新社(1975) ちくま文庫(1986)
 渋谷のJan Janで「対話シリーズ」として行われた公開対談の収録。著者の質問に武満徹、岸田今日子、大岡信らが答えている。質問は「金、銀、鉄、アルミニウムのうち、もっとも好きなのは何ですか?」「白という言葉からの連想をいくつか話して下さいませんか?」「1日が25時間だったら、余った1時間を何に使いますか?」など。

 *質問だけてっとり早く全部知りたいという方は、ネットでキーワード「谷川俊太郎、33の質問」を検索すれば、この質問項目を使って自己紹介のページを作っている方なんかもたくさんいるようなので、お試しください。



ドリカムの歌
 「ドリカムの歌にあったよね、ガジュマルの木陰で笑って、って。」( p.269)

 Dreams Come Trueの1991年のシングル「Eyes to me」ですね。歌詞は、恋人とピクニックに行って人生バラ色、みたいなノリで、わたしも薔薇と並列して出てくる「ガジュマルの木」というのはもっとさわやかなものだと思ってました(笑)。



『愛と誠』
 梶原一騎原作、ながやす巧劇画、1973〜1976にかけて週刊少年マガジンで連載されていた”大メロドラマ”らしいです。わたしは実際には読んだことないんですが、あらすじ読むとすごい。。。



『マトリックス』
 最近見たSF映画の中で、侵略者たちが呟く台詞があった。(p.567)

 多分『マトリックス』じゃないかと思うのですが。エージェントが捕らえたモーフィアスにマトリックスとは何かを語るシーンで、字幕では「人類は不幸や苦しみがないと現実と思えない種なのだ」と出てきます。
 「ねじの回転」も『マトリックス』を下敷きにしているらしいので、恩田陸に大きな影響を与えた映画と言えるかも。


*他の関連作品のページに行く→『三月は深き紅の淵を』『月の裏側』『麦の海に沈む果実』『ライオンハート』その他

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