夏の影
夏の陽差しの中で白い花が咲いた。
その下にいつも
大きな四本足の影が二つ並んでいた。
長い影になったり、
短い影になぅたり
二つの影はいつも一緒
秋が来て、
冬が来て、
また春が来ても
いつも一緒の二つの影。
やがて、夏の終わりに
一つの大きな四本足の大きな影は
陽炎となってお空に上った。
高い高いお空の雲の上
大きな四本足の天使になった
残された大きな四本足の影に
秋のこの葉が舞い降りた
『君は大丈夫、元気になるんだよ』
大きな四本足の影は一人でもお散歩ができるようになって
少しだけ元気になった。
冬が来て雪んこがささやいた。
『たくさんご飯を食べなるんだよ』
大きな四本足の影はご飯を食べられるようになって
笑顔を取り戻した。
春が来て、たくさんの花に誘われて鳥が歌った。
『一人でも、怖くないよ・・・』
大きな四本足の影は、一人で走ってみた。
少し怖かったけど海で泳いでみた
一人でも歩いていけるような気持ちになった
夏がやってきて
公園に子供達の笑い声が聞こえた。
『一緒に遊ぼうね』
大きな四本足の影のシッポがブンブンと踊った。
夏の日差しの中で、
また白い花が咲いた。
一つの大きな四本足の影が揺れている。
時々、シッポを振りながら
時々、こちらを見ながら
時々、得意げな目を見せながら
ちょっとあぶなげな足取りで、
それでも、大きな四本足の影が楽しそうに踊っている。
来年の夏も
大きな四本足の影が
この白い花の下で揺れることを願って・・・・
2002・6・20(ニーナ&アミへ)