土壌汚染対策法関係
土地所有者等に汚染された土壌の調査及び汚染浄化を義務付けた土壌汚染対策法関係では、宅建業法35条(重要事項の説明等)に係る事項が追加され、平成15年2月15日から施行される。追加された事項は概要の「2.土壌汚染対策法制定関係」の通りで、9条で定められた制限について(下記「土壌汚染対策法(抜粋)」参照)、宅建業者は説明する義務が課されることとなる。
土壌汚染対策法(抜粋)
第9条 指定区域内において土壌の採取その他の土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の14日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
ただし、次の各号に掲げる行為については、この限りでない。
1)第7条第1項又は第2項の規定による命令に基づく汚染の除去等の措置として行う行為
2)通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの
3)指定区域が指定された際既に着手していた行為
4)非常災害のために必要な応急措置として行う行為
2.指定区域が指定された際当該指定区域内において既に土地の形質の変更に着手している者は、その指定の日から起算して14日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
3.指定区域内において非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、当該土地の形質の変更をした日から起算して14日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
宅建業法施行令の一部改正
建築基準法改正、土壌汚染対策法の制定に伴い、このほど宅建業法施行令等が一部改正されました。
重要説明事項等に追加される事項があるのでご注意ください。
土壌汚染対策法制定関係
土壌汚染対策法によると、汚染が判明した土地は「指定区域」として指定・公告され、都道府県等政令指定都市、中核市、特例市等を含む)が調整する台帳に登録、公示される。その「指定区域台帳」は、利害関係人等のみならず広く一般の閲覧に供することとなった。
また、「指定区域」内において土地の形質の変更をしようとする者は、都道府県知事等への一定事項の届出義務等が課された(同法9条)。
同法の施行に伴い、宅建業法施行令3条1項も改正され、下記の土壌汚染対策法9条1〜3項が重要事項として追加され、売買、土地賃貸に係る対象物件が指定区域内にあるか否か調査の上、当該区域に該当する場合には同法9条1項〜3項の制限の内容について説明することとされた。
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土壌汚染の問題点
土壌汚染(地下水汚染含む)は、従来のように工場周辺の住民だけの問題から、株主・マスコミ・国・自治体等数多くの関係者を巻き込んだ、複雑な問題に様相を変えつつあります。
瑕疵担保責任について
1 土地が売買された後に、汚染が判明したときは、買主は売主に対し瑕疵担保責任を、追及する事ができる。売主の責任は無過失であるが、責任を免れる為には、取引で一般に要求される注意をしても、汚染を発見できなかったことが条件となる。
2 責任の追及は、買主が汚染の存在を知ってから、一年間以内に行わなけばならない。判例ではこの期間内に裁判以外で、請求や解除の通知をしておけば、債権一般の消滅時効(10年)にかかるまで存続するとしている。
3 瑕疵担保責任の規定は、任意であるから売買契約で、責任内容を定めれば、原則として契約の規定が、民法の規定に優先する。ただし、売り主が責任を負わないという特約をしていても、売主が汚染を知っていた場合には、責任を免れない。
企業リスクについて
1 浄化・修復責任
浄化・修復を課す法律は特にありませんが、自治体や社会的な圧力等により、浄化・修復を行わなければならないケースが、ほとんどである。土壌汚染が近隣に拡大すれば、賠償責任を問われたり、浄化命令がでる可能性もあります。
2 損害賠償責任
土壌汚染により健康被害が生じた場合、事業者は地域住民や従業員に対して損害賠償をしなければなりません。(農作物等への影響についても、損害賠償を求められる)地下水汚染による健康被害については、水質汚濁防止法により無過失責任が課せられる。
3 資産価値の低下・瑕疵担保責任
土壌汚染による浄化費用・賠償費用の負担は、土地の経済的な価値に影響を与えます。(資産・担保価値の低下)土地の売買契約後に、汚染が判明した場合売主は、売買契約を解除されたり、損害賠償の責任を追及されます。
4 社会的信用や事業への影響
操業中の工場で汚染が判明した場合、操業の縮小・停止や生産工程・管理体制の見直し、設備の総点検作業等が必要となります。工場跡地の場合には、再利用計画が大幅な修正をせまられる、というケースが考えられます。リスクマネジメントの視点より、早期における汚染の調査、発見、修復をご提案させていただきます。
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