月のうさぎ


天を指差し 真剣な顔で
「月にはうさぎがいるぞ」なんて
議論したのはいつのこと
いつの間にかあなたは
むつかしい本ばかり
お友達にしているね

夜空の星を見て 瞳を輝かせて
「採りに行くか」なんて
そんな頃もあったわ
あの頃のあなたの
面影も消えうせて
今はやせ細った
頬ばかりが気になるの

あなたが知らぬ間に
想い出のすべてに
鍵をかけることがあったとしも
私だけ今も無邪気な少女のまま
決して忘れないわ
少年の頃の瞳を

いつの日かあなた
後ろを振り返り
落し物に気付くわ
少年の頃の夢を