トライガン予告編のアレ。

  ありていに言って原作もののアニメがよかったことってあんまりないんですが、これはスタッフさんの魂の入れかたが凄かったのか、全般にかなーりいい出来です。松井はここから黒田洋介氏のファンになりました。
 この予告も全て黒田氏が書いてらっしゃるそうですね。バックに流れる音楽と、小野坂さんの声がぴたりとハマって色々泣ける予告です(もっとも小野坂さん自身は長いので読むのが大変だったらしい……)。
 たまに内容とあってなくて「……?」があるけどさ。10話とか(笑)。
 そー言えば原作7話にあった「死なせるな、裏切るな、幸せを掴め、夢を語れ!」というセリフがアニメでは後半部分削られてました。「ええー?」と思ったんですが、実は最終回予告でちゃっかり使われていたという(笑)。
 あとナゾなのが16話予告。これ、「傍観」(ぼうかん)ではなく「諦観」(ていかん)ではないのだろうか。どう聞いても「ぼうかん」としか聞こえないので「傍観」にしときましたが……。
※ナレーション:小野坂昌也(ヴァッシュ・ザ・スタンピード)
 13話のみ鶴ひろみ(メリル・ストライフ)、17話のみ宮田始典(ヴァッシュ少年時代)

 

 第1話「600億$$の男」

 俺たちは水の雫。
 空から降ってきた雨露。
 この砂の星でジリジリと陽に焼かれ、いつの日か干上がっていく。
 今は大きな傘の下で存えていても、明日はどうなるか分からない。
 先のことは神様にしかわからない。
 俺たちは水の雫。
 空から降ってきた雨露。
 この砂の星で風に吹かれて、やがて地に染みていく。
 そして俺たちは、この星の糧となる。
 
 第2話「TRUTH OR MISTAKE」
 
 言葉では伝えられないものがある。
 それは人の想いだ。
 心の中の想いは言霊に宿らない。
 だが想いを知る術がひとつだけある。
 相手の目を見つめることだ。
 少女は俺に嘘をついた。
 紳士は俺に嘘をついた。
 だが、彼らの瞳を見た瞬間、運命は流転し、真実が解き明かされていく。
 相手の目を見れば分かる。
 真実は、ひとつしかない。
 
 第3話「PEACE MAKER」

 過ちを犯した者は自らを責め、心を閉ざす。
 過ちを正すことはできない。
 人は過去には戻れない。
 だから飲む。
 飲んだくれ。
 酔っ払い。
 偽っても隠しきれない想いを酒で薄め、喉に流し込む。
 銃職人、フランクマーロンはただ酒を飲む。
 そして、空になったグラスに問い掛ける。
 俺は間違っているのか。
 俺は間違っていたのか……。 

 
 第4話「LOVE & PEACE」

 清算できない過去がある。
 振り払うことのできない過去がある。
 心の中に抱いている想いは、お互いに同等だ。
 ひとりは愛した両親のために。
 ひとりは愛した娘のために。  
 引き金に指を掛けることでしか、ふたりの男は答えを出すことができない。
 想いを乗せた弾丸が互いに向けて放たれた瞬間、
 男はただ静かに涙をこぼした……。
 過去が、人を縛る。  
 
 第5話「HARD PUNCHER」

 何かを得た時、何かを失っていく。
 その事実に目を背けて生き続けることはできない。
 失った物は元には戻らない。
 大切なもの。
 かけがえのないもの。
 それをなくさないために必要なもの。
 弾丸の中に込められた揺るぎない決意。
 男は知っている。
 黙っていては何も始まらないことを。
 動き出さない限り、変革が起きないことを。

 
 第6話「LOST JULY」

 想いを抱き続けた年月が長ければ長いほど、人は過去を生きる糧とする。
 抱き続けた想いが深ければ深いほど、人は過去を美しく磨き上げる。
 美化された想いは、やがて憎しみへとその姿を変える。
 前を向いても、歩くことができなくなる。
 復讐という名の重い鎖が、心を縛り続ける限り。
 悲しみの涙が流れ続ける限り……。

 
 第7話「B.D.N」

 物欲。
 欲求を満たすために際限なく繰り返される悲劇。
 征服欲。
 他人を屈伏させて身震いするほどに得られる快感。
 その恍惚に身を委ねた男がいる。
 バト・ラド団のヘッド。
 光る男。
 ブリリアント・ダイナマイツ・ネオン。
 彼の両肩にある巨大なダイナモが光を放つ時、サンドスチームが震撼する。
 漆黒の闇の中で、凄惨な宴が始まる。 
 
 第8話「そして荒野と空の間を」

 罪を犯す者は言う。
 生きていく為に仕方がなかったと。
 罪を犯す者は言う。
 もう抜け出すことはできないと。
 罪という名の影が、何も語らずにひたひたとつきまとう。
 悔恨と苦悩が繰り返され、絶望へと行き着く。
 だが、罪人は知らないのだ。
 振り向けば、そこに光があることを。
 こんなにも、こんなにも温かく、自分を照らし続けていることを。

 
 第9話「MURDER MACHINE」

 砂漠で出会ったひとりの男。
 巡回牧師。
 ニコラス・D・ウルフウッド。
 彼は笑って俺に言った。
 「難儀な男だ」と。
 全てを見透かしたような彼の笑顔に、俺は何も言い返すことができなかった。
 この男との出会いは運命なのか。
 それとも神が与えたひとときの戯れなのか。
 その男の名は、ニコラス・D・ウルフウッド。
 砂漠で出会った、巡回牧師……。  

 
 第10話「QUICK DRAW」

 誰かのために何かをしてやりたいと思う。
 微笑むことで、相手が微笑んでくれればと思う。
 無償の行為は美しく、善意は人の心を育む。
 見返りを求めない想いは、人として尊ぶべきことだ。
 だが、それを維持しようとしてはいけない。
 無理を続ければ やがてそれは嘘という名の花を咲かせる。
 人の心を傷つけてしまう「刺」のある花に。
 
 第11話「ESCAPE FROM PAIN」

 二者択一。
 命を与えられた人間が、生き続ける中で避けては通れない別れ道。
 それが岐路だ。
 どちらに進んでも何かを失う。
 どちらに進んでも幸福を見つけることができない。
 だが、別れた道は本当にふたつしかないのか。
 違う。
 進むべき道は無数にあるはずだ。
 俺たちが選ぶべき道はひとつじゃない。
 未来への道は、決してひとつじゃない。

 
 第12話「DIABLO」

 人には、侵してはならない聖域がある。
 踏み込んではならない悲しみの傷痕がある。
 その想いを遂げるために、生きている者同士が相まみえる。
 白いコートを着た男は静かに俺に言った。
 「ついに見つけた」と。
 「お前の命が欲しい」と。
 その男は暗闇より深き笑みを浮かべた。
 レガート・ブルーサマーズ。
 死神に魅入られた男。
 ただ、静かに……。

 
 第13話「ヴァッシュ・ザ・スタンピード」

 7月20日付定例報告書。
 モネブという男が起こした事件から2日目。
 街の緊張は未だ解けていません。
 今回、私は改めて思い知らされました。
 普段彼と接していると、どんどん希薄になっていく認識なのですが……。
 ヴァッシュ・ザ・スタンピードが、ヒューマノイド・タイフーンと呼ばれる由縁。
 何故、彼のもとにはこうも大きなトラブルが数多く転がりこむのでしょうか……。
 
 第14話「LITTLE ARCADIA」

 前を向いていると見落してしまうことがある。
 自分の考えをかたく信じ、ただひたすらに走り続けるのは美徳だ。
 だが、他人の気持ちや想いをないがしろにしていいわけがない。
 父と母の想いに気付かないまま、がむしゃらに生きたとしても、
 それは自己満足でしかない。
 時には立ち止まるのもいい。
 しばしの休息であるのなら。
 人の想いが感じられるのなら。

 
 第15話「DEMONS EYE」

 人が人を裁く。
 己の理屈だけで、人の命が断ち切られていく。
 母も父も友も、過去の全てが一瞬にして虚空に消える。
 それを個人の感情だけで行なうのは、果して正しいのか。
 盗賊ロードレックの死体を前に美しき女は言った。
 「何の役にも立たないクズ共を大掃除しただけだ」と。
 ドミニク・ザ・サイクロプスが言った。
 これは、大掃除なのだと。  

 
 第16話「FIFTH MOON」

 生と死の狭間で失った記憶の断片。
 それは傍観への道を示すものなのか。
 シルバーメタリックの銃が破砕し、右腕が変貌する。
 過去と、人と、母と。
 護ってきた全てと邂逅した瞬間、光がオーガスタを包み込んだ。
 ヒューマノイド・タイフーン。
 600億$$の賞金首。
 ヴァッシュ・ザ・スタンピード。
 これが、過去の始まり。
 これが、旅の終わり……。
 
 第17話「レム・セイブレム」

 レムは僕に言ったんだ。
 地球で大好きな人が死んでしまったんだって。
 仕切りなおすためにこの船に乗り込んだんだって。
 大好きな人が死んでしまったら、どんな気持ちになるんだろう。
 僕はレムがいなくなったときのことを考えてみた。
 そしたら、目から熱い水が溢れて止まらなくなった。
 レム、僕がそばにいるよ。
 僕はきみをひとりにしない。
 
 第18話「今は、さよなら」

 天空に輝き、我々を見下ろす真っ赤に血塗られたあの5番目の月を見ろ。
 そして思い出せ、その男の名を。
 その男の伝説を。
 見上げるだけでいい。
 否が応でもその男の伝説は5番目の月に刻まれている。
 FIFTH MOONにヴァッシュ・ザ・スタンピードの伝説が刻まれている。
 そして時は充ちる。
 語るべきは、未来へと続くその軌跡のみ。
 
 第19話「HANG FIRE」

 強い意志は心を奮い立たせる。
 だが、強すぎる意志は心の視界を極端に狭めてしまう。
 家族を失った男の悲しみが憎しみとなり、やがて殺意へと変貌する。
 男が銃の引き金に指を伸ばす。
 罪が人を変える。
 罪が罪を生む。
 ああ、でも僕は。
 それでも僕は信じたいんだ。
 罪を感じる人の心を。  
 
 第20話「FLYING SHIP」

 辛いことがあった時。
 悲しいことがあった時。
 旅人が思いを馳せる場所が在る。
 それが故郷だ。
 どんな過去を捨てて旅人が故郷を離れたのか、今はわからない。
 どんな悲しみを背負っているのか、今はわからない。
 だが旅人は、自分を支えてくれるもの、
 自分を包んでくれる場所があるから前へ歩き出せる。
 一歩一歩踏み締めて歩いていくことができる。
 
 第21話「OUT OF TIME」

 譲れないものがある。
 守りたいものがある。
 どんな苦しみが待っているとしても、立ち上がらなけらばならない時がある。
 赤いコートをまとった男は、再び銃を手にした。
 これ以上悲しみを増やさないために。
 これ以上憎しみを増やさないために。
 遥かな昔、ゼラニウムの花を前にして教えられた花言葉を、
 揺るぎない決意を、胸に秘めて。
 
 第22話「ALTERNATIVE」
 
 保身。
 身を守る術。
 人は痛がりな弱さを露呈し、それゆえに群れを成す。
 そして、知らず知らずのうちに仲間以外の者を排除していく。
 だが、排除された者はどうなるのか。
 朽ち果てた屋敷で身を寄せ合って暮らす子供たちに、俺は笑いかけた。
 今日を生きよう。
 明日を生きよう。
 そして、明後日も。
 たとえそれが、永遠に続く苦しみだとしても。
 
 第23話「楽園」

 間違いに気づくこと。
 嘘をつかないこと。
 相手を慈しむこと。
 人を殺さないこと。
 とても簡単なことだ。
 でも、時代がそれを許さない。
 この星には緑がない。
 僕たちはあの場所を求めているのに。
 こんなにも求めているのに。
 そこでは穏やかな日常が続き、争いがなく、奪うこともなく、
 人が人として生きられる聖地。
 そう、そこは、
 その場所の名は……。
 
 第24話「罪」
 
 繰り返される悲劇。
 繰り返される傷み。
 人の想いはこんなにも強く、そして儚く、脆い。
 生きること、
 生き続けること、
 生き抜くことがこんなにも辛いものだなんて。
 こんなにも苦しいものだなんて。
 僕は選ばなければならない。
 選択しなければならない。
 生と死が交錯するその刹那、僕は人であり続けることを選べるのだろうか……。
 
 第25話「LIVE THROUGH」

 夢を見たよ、レム。
 その星ではなにもかもがひどく渇いていてね。
 そう、人の心も。
 僕は遠くからそこで生活する人たちを見つめながら、
 どうして人は生き続けるんだろうって何度も思うんだ。
 レム。
 聞いてレム。
 僕は間違ってしまった。
 僕は間違ってしまったんだ。
 僕は……どうすれば……。
 
 第26話「こんなにも青い空の下で」

 130年前、あの日、あの時。
 僕たちは生まれてきたよね。
 穏やかな日々が続き、僕たちの後ろにはいつもレムがいた。
 でも、すれ違ってしまった想いは、生き方を変えたね。
 後悔はしていないよ。
 僕はもう一度誓う。
 人を殺さないことを。
 人を裏切らないことを。
 幸せを掴むことを。
 夢を語ることを。
 未来への切符は、いつも白紙なんだから。