*** CONGRATULATION!! ***
 



 このたびは,当ダブルクロスリプレイキャラクター投票にご参加いただき,誠にありがとうございました。そのお礼と申し上げてはナンでございますが,このようなものをご用意いたしました。
 


 


 これぞ,伝説の「キルス専用バナナ」でございます。これをデスクトップに飾っておけばあら不思議! 某モンキーカイザーの如く,世間様を舐めきった楽しい人生が送れます。
 覇那名坐瑠大明神のご霊験もあらたかなありがた〜いご真影。この機会に是非お持ち帰りくださいませ。

 それでは,今後とも当サイトをご愛顧いただけますよう,よろしくお願い申し上げます。

Antediluvian's Cafe 管理人:松井暁




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 いや貰ったって困るだろこんなもん。
 だいたい,こーゆー人をナメたことやっといて,「今後ともよろしくお願いします」はどうよアンタ。例えるならばアレ。シヴァとミカエルとルシファーを3体合体させたら満月だったので合体事故っちゃって外道スライムに「コンゴトモヨロシク」とか挨拶されたけれどそんなこと言われても困るんだよつーか誰もてめーなんか呼んでねーし頼まれたって仲魔になんかしたくねーよ,な気分。
 端的に言うと金返せ。
 出会い頭にムド一発で昇天しレテの川のカロンさんに現世に戻されたはいいもののゼリーマンに憑かれて能力値が軒並みダウン,みたいな気分で(端的に言うと力が抜けた)俺はぐったりと椅子にもたれかかった。

 ――つまりこの場合,言うべきことはひとつだ。

 もうやってられっか。

 水上さんを見あげて言った。
「すみません。俺,ここで寝てっていいでしょうか」
「あ,どうぞどうぞ。今毛布を持ってきますから」
 そして俺はそのまま床に倒れ,眠りについたのだった……。



 水上磨亜矢は熟睡している大谷に毛布をかけ,点けっぱなしのパソコンに気づいた。彼女はそのままファイルを閉じ,電源を落とした。だから気づかなかった。

 ――そして次の日。UGNは,悲劇の朝を迎えた。

「お願いだから,お願いだから眠らせてくれええええッ!?」
 廊下にそんな悲鳴が漏れ出ていた。
 黒板を鉄釘で思い切り引っ掻いたような,あまりにも,あまりにも悲痛な叫びだった。それを聞いた誰しもが背を向け,遠ざかろうとする。彼らの顔は一様に青ざめていた。

 ――取材に応じてくれたS・Kさん(35)はこう語る。

「それはあまりにも恐ろしい出来事でした。ある朝PCを立ち上げたら,画面いっぱいに巨大なバナナが映し出されたんです。いやぁ,参りましたよ。その状態でハングアップしちゃって,うんともすんとも言わないんですから。え? いや,私にはわかっていましたよ。これがかの有名なコンピューターウィルス『モンキーカイザー』だってね。話には聞いていたんですけどね,こんなにも恐ろしいモノだったとは。え? 復旧にはどの程度かかったか,ですって? それは時間ですか,費用ですか? 費用は……私は正確には知らないのですが,そうですね……うちの経理が微笑みながら青筋たてるくらいの額ではあったと思います。時間ですか。時間もかかってますよ。今でもうちの支部長が不眠不休で作業にあたっています。ええ,このままでは仕事になりませんので,一刻も早く作業が完了することを祈りたいですね。ええ……」

 大谷真は気づかなかった。水上磨亜矢も気づかなかった。
 結局顧みられることがなかったテキストファイルがあった。それにはこう記されていた。

 大谷さんへ。

 そうそう,私からも一言。
  
 警告です。
 必ず,UGN支部の全PCにバナナ様を保存しておくこと。面倒くさいからって,放置しておいてはいけませんよ? でないと大変なことになります。

 いや,それがねえ。
 こないだ遙さんたちを待ってる間に,暇つぶしというか,お茶目な嫌がらせでそちらにウィルス流しといたんですよね。ふつー感染する前に止めるだろうと思ったら,いや,結構ザルですねおたくのファイアウォール。
 やりっぱなしで死ぬのもナンだから,このバナナ様にワクチンソフトを仕込んでおきます。立つ鳥跡を濁さずってことでね。(あ,壁紙形式もあります。少々重いので注意)

 じゃ,そういうことで。
 もう会うこともないでしょうけど,がんばって不幸してくださいねー。

 死を覚悟してちょっぴりセンチメンタルなK.Cより。

 

夜を徹しての復旧作業は続く。
 PCのスピーカーからは,そんな努力をあざ笑うかのような,軽妙な音楽が流れていた。
「もーんきー♪ もーんきー♪ もんきーかいざー♪」……。


 ――大谷真の明日はどっちだ。

〜 FIN 〜



《次回予告》
 
「どうして……どうして俺だけが,こんな目に遭わなきゃならない……?」
 パソコンのキーが叩かれる小刻みな音に,怨嗟の声が混じる。
「俺がいったい何をしたっていうんだ……? 謂れのないことでやつあたりされ,仕事をおしつけられてロクに寝ることもできず,やっと帰ってみれば居候どもに家を追い出され,逃げた先でもみんなが俺を陥れ,とっくに死んだヤツの戯けたお遊びにつきあわされてあちこち引き回され,意味不明なバナナの写真を押しつけられ,支部じゅうのPCはウィルスに感染し,そのことでさんざん嫌味を言われた挙句に後始末をすべて押しつけられ,こうして不眠不休の修復作業……」
 不幸に次ぐ不幸。悪意に次ぐ悪意。理不尽に次ぐ理不尽。
 流れる涙が,男の心をダークサイドへと誘う。
「そうだ……俺は何も悪くないじゃないか……なのにどうして……どうして……」
 彼は顔を上げる。冥い決意に満ちた瞳。
「思い知らせてやる……! そうだ,俺は……!」

 神に,運命に,管理人に逆らえ。
 俺は,このままでは終わらない。

Next, “Otani Strikes back,” see you later.









 

「って勝手にタイトルを変えるんじゃねえええええッ!?」

 ちっ。バレたか。
 ――あと大谷さん。シヴァとミカエルとルシファーはそもそも合体不可能だよネ?

「知るかそんなことおおおおおおおおおおッ!?」
 

(⇒管理人のイイワケを聞く)(⇒もう帰る)