アリーナとセイス


ある深い森の中にアリーナという雪のように白い馬がいました。

ある晴れた日、アリーナは朝ごはんを食べに

大好きなもみの木の葉を食べに行きました。

そこは友だちのりすのカーロットやメリーアのいる木でした。

アリーナは走って走ってやっとカーロットたちのいる木に着きました。

すると最初にカーロットがしゃべりはじめました。

「この森の中に巨大な大熊がいるんだ。」

「そうよ。その大熊はねずみやいたち、そしてりすたちを食べるのよ。」

メリーアも言いました。

するとアリーナはちょっと考えてから言いました。

「どこかの大きな森の木のうろにサーリットという物知り鹿がいるんだ。

そこに私が行って聞いてみてあげるよ。」

「きっとその大熊をやっつける方法が見つかると思うよ。」

「ありがとう。アリーナ。」

2匹は同時にお礼を言いました。

 

アリーナは大冒険に出るのでもみの木の葉をたくさん食べました。

そして深い森めざしてかけだしました。

アリーナは心の中で

「私はこれから大冒険に出るんだわー。」

と思いました。

そう思うと急にわくわくしてきて、

さっきよりもっと速いスピードで走りだしました。

ところが何か小さな声が後ろからせまってくるのを

アリーナは聞きました。

振り返るとそれは

足に金のシールのようなものがついたきれいな水色のおす馬でした。

アリーナはちょっと恥ずかしかったけどこう言いました。

「あたしね。

今からどこかの大きな森の中に住んでいる物知り鹿に会いにいくところなの。

すると足に金のついた水色の馬はこう答えました。

「へえー。そうなんだ。僕も今からそこへ行くところなんだ。

いっしょに行こうよ。」

「あ。そうそう僕の名前はセイスって言うんだ。」

「君の名前は?」

「あたしはアリーナ。

りすやねずみやいたちがたくさんいるあのきれいな森に住んでいるのよ。」

そう言って、アリーナは白い鼻を森に向けました。

するとセイスは悲しそうに言いました。

「僕の住んでいたところはもうないんだ。」

「人間の家などにされてしまったんだよ。」

「いいね。アリーナは森もこわされないで、のんびりと暮らせて。」

アリーナは首を振って言いました。

「そんなことないわ。だって大熊がいるんだもの。」

「その大熊は森の私の仲間を食べるの。」

「だから物知り鹿に会いに行って、

どうやったら大熊をやっつけられるか聞きにいきたいのよ。」

するとセイスは

「大熊をやっつける方法などを聞きにいかなきゃならいんだから早く行こうよ。」

と言いました。

 

2匹はどこだかわからないまま、どこかを目ざして走り出しました。

2匹は森の中で出会うとなかいやおおかみたちに

道を教えてもらいながら走って行きました。

(なぜおおかみたちに食べられなかったというと

その森は変な森だったので

肉食獣は木の皮を食べていたからです。

 

そうしてとうとうほら穴に着きました。

2匹は同時にほら穴の入り口にある鈴を見つけてしまったので

にらめっこで勝った方が鈴を鳴らすということにしました。

ところがアリーナとセイスが「笑うと負けよ。」と言った時

もう物知り鹿が

「何かご用ですか。」

と言って現れたのです。

アリーナはびっくりぎょうてんしました。

なぜかと言うとそれは全体が金と銀の体だったのです。

するとセイスがアリーナにささやきました。

「ねえねえ。すごくきれいじゃない。

それにあの巨大な角、だれでも倒せちゃいそう。」

アリーナもささやきかえしました。

「本当にそうね。あ、忘れてた。

こんにちはってあいさつしなきゃだめよ。」

そうして、セイスのかけ声で

「こんにちは。」

と言いました。

するとその物知り鹿は言いました。

「何かおとうちゃんにご用なの?」

「え。あなたが物知り鹿じゃないの。」

アリーナはまたびっくりしました。

「やあね。あなたなんて。あたしはラブティス。」

「そう。ついでに言うと、おとうちゃんはウィングメロディーって言うの。」

「おとうちゃんは羽がはえているし、鳴き声が歌のようにじょうずなのよ。」

そこで一息つくと

「かあちゃんとおとうとの名前は後で教えるからね。」と言うと

さっさとほら穴の中に帰って行きました。

 

すると次に羽のついたおすの鹿が出てきたのです。

そしてその鹿は言いました。

「おまえたちが用があるのは娘から聞いたよ。それで何の用かい?」

セイスは答えました。

「まず、僕がこまっているのは、人間たちが森をこわしてしまうことなんだ。」

「だから、人間たちが森をこわそうなんて思わないようにしてほしいんだ。」

物知り鹿は「ふーん。そうだな。あ。わかったぞ。」

「わしの体についている羽をあげるから、

人間たちのすみかが見える高いところに行って。」

「そこで、ハイパークロワースって言うんだ。」

「そうすれば下の町の人間たちは森をこわそうなんて思わなくなるよ。」

「で、そこのめす馬のなやみは?」

「あたしは大熊のことなんだけど、

森のあたしの仲間を食べるからやっつける方法を見つけてほしいの。」

「うん。うん。そうだな。や。わかった。」

「君にも羽をあげるから、

大熊を見つけたらクラックハイパーズと言うんだ。」

「そうすれば大熊は地面にたおれて死んでしまうよ。」

アリーナとセイスは「ありがとう。」と言いました。

セイスは帰る時、

「けっきょく、ラブティスは

おかあちゃんとおとうとの名前教えてくれなかったね。」

と言いました。

 

そして森はこわされないようになり、

大熊もやっつけられたので、

森の動物たちはみんな幸せに暮らしたということです。

 

(おわり)

この作品は8歳の次女の作品です。

 

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