ワールド2(その1)
<始まり>
ある日、ぼくがふとんに入ろうとした時、父さんが言った。
「スパッシュ、そろそろ運命の旅に出てみるか?」
ぼくはびっくりして父さんの顔を見た。
そして「えー」と言いたくなったんだ。
でも恐いと思われるのがいやだったから、かわりに
「うん。もちろん」と言ったんだ。
ぼくは眠れなかった。
なぜって運命の旅というのはとっても難しい試練だったからだ。
え、どういうものかって。
まずは自己紹介から。
ぼくの名前はスパッシュ・パール・プラテスというんだ。
ぼくの家族は3人と犬一匹なんだ。
ぼくのお母さんはもういない。
けどお父さん(ライト・ドミオン・プラテスっていうんだ)に妹のローがいるし、
なんと言っても、ティク犬のシロがいるんだ。
シロはぼくの大切な仲間。
外見はハスキー犬や日本犬に似ているかな。
じゃあそういうシロの紹介。
なまえはシロ、種類はティク犬。
すきな食べ物はうさぎ、木の実。
毛は純白で少し長め。
顔は耳がきりっとたち、鼻は黒い。
大きさは中型犬。
年は1才半。
誕生日は8月21日。
<旅だちの朝>
朝だ。とうとう出発の日がきた。
ぼくはどきどきして、朝食もろくに食べられなかった。
父さんがぼくをせかす。
妹に「おにいちゃん。恐いんでしょ。」と言われた。
ぼくはむっときて
「ふん、恐くなんかないよ。」と言ってやった。
そしてぼくは無事に帰ってこられるよう願うぎしきをするため、
青空会場と呼ばれている広場にシロとともに向かった。
広場にはまだだれも来ていなかった。
そこで台(ステージ)代わりになっている
岩に登って朝焼けをながめることにした。
その時、まるで上を向きな、とでもいうように
風がスパッシュのかみをなでていた。
ぼくがはっとして上を向くと空に大きな竜が泳いでいた。
「優善さまですか?」
ぼくはとっさにその竜に向かって呼びかけていた。
「そうだよ。」
竜は青いやさしい目でそう答えた。
優善様はぼくたちの村の神様だ。
ぼくは今、見たことが信じられなかった。
何と言っても神様がぼくのところに来て下さったのだ。
それに旅のぎしき以外めったにお目にかかれないと聞いていたからだ。
銀色の体に金色のつばさ。
もう本当にぼくの胸はおどりあがるばかりだった。
だがシロに顔をペロリとなめられてぼくははっとわれにかえった。
優善様が話し始めた。
「スパッシュ・プラテス、君は特に判断力と注意力を持って行きなさい。」
「私も私のへび、レインボーボアのシャインも見守っているからね。」
そう言うと竜の神とそのへびシャインは空のかなたへと消えていった。
その時、どこからか見なれた声がした。
まわりを見ると父さんたちがもう来ていた。
「おーい。ぎしきの時間だぞ。」
「はーい。」
ぼくがさっきのは夢じゃないだろうかと思いながらいくと、
父さんはぼくをさっき登った岩の上の前に立たせ、
自分はななめ後ろに立った。
そしてそのとなりには、なくなった母さんの写真があり、
父さんと母さんの後ろには村の長老リート・ライフが立った。
ついにぎしきが始まった。
まずみんなで「出かけよう。」いう歌を歌い、
その後、優善様に祈った。
「スパッシュにこの旅で幸運が訪れますように」
そうしたら優善様は
「スパッシュ・プラテスをどんな時も良い方向に導きます。」
と言った後、ウインクをしてくれた。
そして終わった。
あと13分ほどで出かける時間、午前10時になる。
(つづく)
この作品は11歳の長女の作品です。
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