バキ外伝
〜範馬勇次郎誕生〜
地球上で最も弱い生物とはなんでしょうか?
そりゃライオンに比べれば兎や虫は弱い存在です
しかし、毒をもった蛙が象をも殺してしまう毒を持つように
安易に大きさや筋力だけで生物の強さを測る事は出来ません
ならば、真に弱い生物とは何のなのか?
答えは赤ん坊
誰かに世話をしてもらわなければ生きられない存在
生物として、これ以上に弱い存在が他にあるでしょうか
しかし、もしも生まれた時から『最強』の赤ん坊がいたとしたら?
今回は、そんな地上最強となるべくして生まれて来た生物の話です
「ご・・・・・・ッッ
5万人ですかァ〜〜〜〜ッッ
ヘェ〜〜〜〜お婆ちゃんが取り上げた赤ん坊だけで・・・ッッ
市がひとつできちゃうじゃないですかァ」
テレビの司会者らしき人物が101歳の老婆に質問しています
郭海王似の彼女は15歳から86年間産婆をやっていた小倉ツネさん
一日に平均1・5人以上の赤ん坊を取り上げた計算になる、まさに産婆の中の産婆です
そんな産婆さんに、司会者がイチバン印象に残ってる出産について聞きます
すると、突然黙ってしまうツネさん。司会者が「・・・・・・あの」と困惑気味の表情をしています
「みんな・・・・・・・・・
(言うたところで いったい・・・・・・)」
「みんな・・・・・・?・・・・・・」
「みんなええ子でした
{誰が信じるもんかね}」
「ナルホド〜〜{ハート}」
どうやら、色々悩んだ挙げ句最もテレビ向きの回答をしたようです
101歳になったとはいえ、老いてますます計算が働くようです
まぁ、むしろ本当の事を語った方がよっぽどボケ老人扱いされるでしょうしね
そして195X年4月X日早朝 そのツネさんの『最も印象に残った』赤ん坊が生まれました
「(俺を取り上げろ!!!)」
読者もビックリしそうないきなりのドアップ
普通に本を開いてコレが出てきただけで驚きなのですから
妊婦の股を開いたらコレが出てきたツネさんはさぞビックリした事でしょう
思わず尻餅をついてしまうツネさん5X歳
「(赤ン坊がたしかに・・・・・・
目を開けて・・・・・・・・・・・・)」
見間違いかと思い再びおそるおそるツネさんが赤ん坊の頬に触ると
なんと、再び赤ん坊が目を見開いたではありませんか!
「(失敗は許さないッッッ
無事に取り出せッッ)」
本来、赤ん坊があれほど愛らしく見えるのは
ようするに、自分は誰かに育ててもらわないと生きられないって事をアピールするためだそうです
つまり、赤ん坊は本能で『媚びる』事を知っているのです
しかし、この赤ん坊は違います。この赤ん坊は、本能で『自分が地上最強である』事をもう知っているのです
そして「ひィ・・・・・・ッッ」と怯えてしまい、思わず赤ん坊から目をそらすツネさん
それもそのはず、産道から目映いばかりの閃光が迸っています
キン肉王家のフェイスフラッシュを思わせるような光りを放ち続ける赤ん坊
そしてさらに新たな驚愕の事実がツネさんを襲う!
「堅い!? 赤ン坊の体とは思えないほどに身体が堅い」
それはもう生物学的に人じゃなさそうです
つーかこの大きさである程度の硬度があったら、さぞや難産だったでしょうに
まぁ、下手すりゃ母体引き裂いてでも出てきそうなのであまり関係は無さそうです
そして小倉ツネさんは語ります
生まれたての赤ン坊は目が見えない事は子供でも常識
しかし、それでもベイビー勇次郎はツネさんを見たのだと言う
「あ〜〜いえいえ
もちろん言葉を喋ったワケじゃなく―――
念・・・・・・というか・・・実際に聞こえる以上に・・・・・・」
お茶をすすりながら昔を懐かしむように語るツネさん
目を意識すると言う事は、この場合の念ってのは目から発せられた強い意志って感じだったのでしょうか?
つまり目は『見えない』けど『見る』事はできたって事でしょうか
生物として必要な条件が整う前に、意思はすでに勇次郎だったと言うか
そう思えば、花園家での出産前親子喧嘩も普通に納得できてしまいそうです
そして所変わって烈が修行してそうな深い山奥のお寺
一人の年老いた尼さんがお堂の仏像の前に鎮座して語っています
「最初で最後の子でした
生まれた日のこと
よ〜く憶えてますとも
この道を選ばせた子ですからねぇ」
どうやら勇次郎ママは世を儚んで出家してしまってたようです
やはり、勇次郎の超人的行動の数々に世の全てが虚しくなってしまったのでしょうか?
まぁ、世俗に残ってても多分その後も勇次郎の奇行の数々を見せられたり
毒に侵されてガリガリになった孫が地上最愛な彼女紹介しにきそうな感じなので
早めに出家してて正解な気がします
特に後者は出家しててもキツそうな気がしますし
「初乳を飲ませようとしたときですから 午前中のこと―――」
乳房に痛みが走り、血が流れています
今まで乳房を含んでいたそして恐る恐る唇をめくってみると
なんと、赤ん坊にはすでに一本だけとはいえ犬歯が生えていました
まさに『鬼子』の単語が相応しい赤ん坊です
「なにをしているッッ
早く飲ませろッッッ」
「ええ 言葉ではありません
もっと直接的な
脳に直に届いた 彼の意思」
そして後が残るほど強く乳房を握り締めて乳を飲む赤ん坊
もう生後二日目辺りから食事が赤ワインとステーキになりそうな風格です
「母親として―――
教育する立場の者として
これ以上の屈辱があるでしょうか
授乳を強要される母親!」
あまりの事に、母親もボロボロ涙を流します
でもいくら涙を流しても決して裏返る事はありません
勇次郎は一生涯このまま生きる事を己に義務付けています
しかし、生まれた時から乳を飲み、母の涙も飲む
なるほど、バキの体液好きはコレに起因していたんですね
そして散々乳と涙を飲み、食事をした勇次郎が取るべき行動は、そう、もう一つの『食事』
「生まれたその日―――
ちょうど正午ぐらいのことでした
突然あの子が泣きだしたんです
それはもう「癇の虫」などという表現では
トウテイ収まるようなものではなく
まるで屋敷全体が震えだすような」
ある意味ちょっとした兵器として通用しそうですな
屋敷ってーからにはそれなりに人も多かったと思いますし
さぞや屋敷の人たちも迷惑を被ったと思います
そしてその泣き声がやみ、不安を覚えた母親がその部屋に飛び込んでみると・・・
「あの子 嗤っていたんです
それにはすぐに気付きました
それまでの人生で一度も見たことのないシロモノでしたから」
手に持ってたのは勇次郎の最初の犠牲者
ココイヤドクガエル亜種と言う日本にはいないハズの蛙でした
ウェザーリポートが降らせたのでしょうか?
とりあえず、生物界一の猛毒の持ち主が生後まもなく殺られたって事で
柳さんの「強さ」のランクが自動的に一つ下がりました
とりあえず、赤ん坊は何でも口に含んでしまうので
もし勇次郎が『まとも』な赤ん坊だったらお陀仏だったかもしれません
いや普通に丸呑みにしてそのまま消化しかねない気もしないでもないですけど
なんか、これだけ見てると勇次郎の小学校時代とかって
まんま浦安鉄筋家族の花園垣みたいな感じなんじゃないかと思います
そして、某国の元指導者の一人が取材に応じています
最初は「取材は2年振りになるかな」と落ち着いた態度だった指導者も
謎の男の投げかけた一つの質問で、思わずパイプを落とす程動揺してしまいます
その質問の内容こそが、日本時間百九十五X年四月X日の事!
「それは飽くまで
わたし個人のレベルでのハナシだったが
我国の核保有を決意した日だ
胸騒ぎというより
確信とも言える不安の根拠
何処か・・・たとえば東洋の何処か
そんなちっぽけな小国で
恐るべき兵器が生まれるッッ」
『無根拠のまま危機を事前にキャッチする皮膚感覚とも言える直観力』
それをもちえていたこその指導者が、指導者達が
現存する彼ら各々が核保有を一人密かに決意した日
つまり、勇次郎の誕生はそれ程地球上のパワーバランスを崩すものだったのでしょう
なるほど、そう考えると隣の半島の北側がそんなに核に拘るのもうわ何だ貴様らヤメロ何をする
「確信を持って言おう
この地球上に存在する人間をも含めた――
強さを拠り所とするあらゆる生物にとっての
千九五X年四月X日―――――――
自動的に一つだけ「強さ」のランクが下がった
最悪の日!!!」
まぁ、ムエタイなんぞはその道を選んだ瞬間強さのランクが著しく下がりますし
ロシア人なんぞはまさに生まれながらに自動的にランクが下がってしまうのがこの世界の常
むしろムエタイやらロシア人やらは、勇次郎が生まれて来た時に強さを全て吸われてしまったような感があります
ともかく、勇次郎はやっぱり赤ん坊の頃から勇次郎だったと
生まれて数時間も経たぬうちに母親の乳房に齧りつくような雄度の持ち主
女性に対し色々と無理矢理気味なところは赤子の頃から変わっていなかったようですね
って事は、同じ範馬の血を引くバキ君も赤ん坊の頃は
おもらしをしちゃった時とか、自分でオムツを破り捨てていたかもしれませんね
ともかく、ここまで怪物っぷりを発揮されると
果たして本編でバキ君は勇次郎に太刀打ちできるのかって話になります
この分だと、核ミサイルにまたがって突っ込んで行くぐらいしか勝ち目は無さそうです。それでも無理っぽいですが
どうでもいいですけど、今回父親が出てこなかったのはどういう伏線でしょうか?
母親は普通っぽかったですけど、父親はまた範馬らしい人なのでしょうか?
でも逆に、勇次郎って稀代の種を残すために性交の最中に死んでたりして
あまりにもパワー溢れる精子を放ってしまったため、生命力を全て吸い取られたとか
赤ん坊編の次は発生編。地上最強の生物は、精子の段階から地上最強だった、とか
でも何が恐ろしいかって、こう言うネタ発言しても
本編の後だと妙に真実味を帯びてしまうのが一番怖い点だと思います