試験五日前



放課後を告げるチャイムが鳴ってしばらくした後
一人の男子高生が廊下の掲示板の前に立って唸っていた

「う〜ん…」

「祐一、どうしたの?」

今日はテスト前で部活が無いために
一緒に帰ろうとしていた名雪が声をかける

「…いや、もう少しで試験だなと思って」

そう、祐一が見ていたのは
前期期末試験についての注意書きであった

「う〜、あまり考えたくないよ〜」

たしかに、試験の事ばかり考えている学生はあまりいないだろう
もうすぐ最後の大会を控えている陸上部の部長ならばなおさらだ

「お前は授業中も寝てるしなぁ
まぁ、追試候補の筆頭といったところか」

「…う〜、祐一意地悪だよ」

名雪は従兄弟の少年の心無い言葉に抗議する
しかし、祐一は決して意地悪で名雪にこんなことを言ったのではないのだ

「あれ? でも祐一ってたしか中間の平均私より悪…」

「頼むからそれ以上言うな」

半泣きで名雪に懇願する祐一
そう、本当に余裕が無いのは祐一の方だった

大体、授業中は名雪ほどは寝ていないにしても
大抵ろくでも無い事を考えていたり、内職をしたりで
まともに授業聞くなんてよっぽど気分が乗ったときだけだ

宿題も他人のを写すのが当然で
家でもまともに勉強なんてしやしない
お気楽な性格ゆえ、誰かに誘われない限り
そうとう追い詰められないと自習などしない
その上、机に向かっている時間よりも女の子と顔を合わせてる時間の方が多いような男だ

「そんな俺がテストでいい点なんて取れるわけ無いだろうが!!!」

「私にそんな事言われても…」

祐一の逆ギレに
本当に困ったような顔をする名雪

「こらこら相沢君、白昼堂々と女生徒を襲ってはいけないよ」

聞き覚えのある嫌味ったらしい声
祐一が嫌々ながらに振り向くと、案の定そこには
悪徳生徒会長と生徒会の役員二人、そして北川と斎藤が立っていた

「おい北川と斎藤、お前ら美坂チームのくせに
何故裏切って生徒会チームに混じってるんだ?」

祐一は久瀬を無視して北川に話かける

「別に裏切ったわけじゃないよ
それに祐一もよく生徒会チームと一緒にいるじゃない」

ボケをまともに返す斎藤
30点だ、と祐一は思った

「実はな相沢、ここだけの話だが俺達は二重スパイをやっているんだ」

手の甲を口元に添え
わざわざ祐一の耳元で北川が言う
すると、祐一は胸元で腕を組み、うんうんと満足気に頷いた

「見たか斎藤
これが100点の回答というものだ」

「これからは俺を先生と呼んで勉強するんだな」

そしてガシッと肩を組む祐一と北川

「…そういうもんなの?」

やや呆れた様子で斎藤が言う

「相沢君、あまりにもわざとらしく無視しないでくれるかい?
…まぁ仕方無いか、中間平均○○点の知能じゃそれが限界だろうしね」

愕然としながら祐一が振り向く
ニヤリと笑ってこちらを見ている久瀬
気の毒そうにこちらを見ている生徒会役員
下には下がいると知ってほっとする周囲の一般生徒達

「何でお前が俺の点数知ってるんだよ!!?」

祐一が久瀬に掴みかかる
しかし、久瀬はニヤニヤしたまま表情を変えない

「婦女暴行の次は傷害事件かい?
これは生徒会長として見逃すワケにはいかないね
おい助さん角さん、ついでにお銀と飛び猿、やっておしまいなさい」

久瀬は祐一の神経を逆撫でするように
少々おせっかいな越後のちりめん問屋のご隠居の声真似をする

「流れからすると俺が助さん?」

「飛び猿なら俺は会長とは別行動したいよ…」

「俺は情報収集役だからむしろ風車の矢七の方がいいな」

「…私お銀ですか?
相沢さんがいるだけに何か身の危険が…」

眼鏡っ娘の生徒会員が
もう一人の生徒会員の影に隠れる
祐一は他人の自分に対する評価に少なからずショックを受けた
ちなみに久瀬は祐一に胸座を掴まれながら、ポロッと出た部下の本音を手帳にメモっていた

「いやちょっと待て」

久瀬を掴んでいた手をパッと離し、祐一は一瞬考え込む

「北川…お前今…」

「30円で売れたぞ」

親指を突き立てながら爽やかな笑顔で北川が言う
それを聞くや否や、祐一は北川の胸座を掴んで叫ぶ

「お前の仕業かァァァァァッッッ!!!
どうやって俺の点数調べやがったこの野郎!!!」

北川の頭が前後に揺らしながら祐一が問い詰める

「はっはっは、相沢
タダじゃ情報は手に入らないぞ?」

笑いながらそう言って
北川は心配そうな表情でこちらを見ている名雪を一瞥する

余談ではあるが、中間テストが返却された数日後
学食で名雪が北川にA定食のイチゴムースを貰っていた姿が一部の生徒によって目撃されている

「しかもたった30円ってどういう事だ!!」

「仕方ないだろう?
その点数じゃそれぐらいが相場さ」

祐一の逆ギレに久瀬が口を挟む
すると祐一は北川から手を離し、久瀬をにらむ

「お前はどうしてそうやってすぐに喧嘩を売ろうとするんだ?」

怒りを通り越して呆れたらしく
祐一は思わず深い溜め息をついた

「これは失礼、喧嘩を売っているように感じたのなら謝るよ」

そう言って一旦言葉を切って続ける

「僕はただ馬鹿をからかうのが趣味なだけさ」

事も無げに言い放つ久瀬
その瞬間、周囲の空気が変化する

「それが喧嘩売ってるっつーんじゃボケェェェッッ!!」

怒りを通り越し、呆れたも通り越し、また怒りに戻った祐一が久瀬に飛び掛る

「うわぁ! 祐一が突然キレた!!」

「落ち着け相沢!!
久瀬には悪気しか無いんだ!!!」

「そうですよ相沢さん!!
それにそんな簡単に殺れるもんなら俺が殺ってます!!!」

北川、斎藤、男子生徒会役員が
三人がかりで祐一を押さえつける
争い事の中心である久瀬は、呑気に役員の暴言を再びメモしていた

「会長…せめてもう少し人の心を覚えましょうよぉ…」

涙ながらに眼鏡っ娘役員が訴える
もちろん、無駄な事は本人も自覚済みだ
しかし言わずにはおれないところが人のサガなのだろう







「…取り乱してすまなかったな
どうもテストが近くてテンパってたようだ
俺とした事が久瀬の言う事を聞き流さずにまともに聞いてしまうとは…」

ようやく事態が収まった後
祐一はバツが悪そうにつぶやいた

「まったくだぞ相沢
久瀬は相手が嫌がれば嫌がるほど調子に乗る最悪人間だと言う事を忘れるな」

北川が軽く溜め息をつきながら
そんな祐一にたしなめるように言う

「ふむ、なんだか酷い事を言われてる気がするね」

「会長…全然気のせいじゃないです
お願いですからいい加減少しは自覚してください」

二人がかりで久瀬にツッコミを入れる役員コンビ
涙ながらのツッコミと言うのが実にシュールなポイントだ

「祐一と久瀬君って本当に仲がいいんだね」

「まぁ、喧嘩するほど仲がいいって言うからね」

名雪と斎藤の天然コンビは
のほほんと会話を続けている

「お前{君}らの目は節穴か{い}?」

そんな天然'Sに
祐一と久瀬のハモリツッコミが入る

「ほら、やっぱり」

「結構似てるよ、二人とも」

見る者の心が癒されるような穏やかな笑みを浮かべる斎藤と名雪
しかし、それも己の醜態を恥じる二人の心の傷を癒す事は出来なかった

「ぼ、僕とした事が…」

思わず頭を抱えてうなる久瀬
後ろの役員コンビが妙に嬉しそうにしている

「…なぁ、俺はあそこまで性格悪く無いよな?」

「いやぁ、ハハハ…」

祐一の完全に笑いの消えた目で見つめられ
北川は苦笑いして適当に場をごまかそうとした
ショック状態の二人を尻目に、天然コンビは会話を続けていた

「斎藤君はテスト大丈夫なの?」

「人並みにはできるよ
さすがに香里には負けるけどね」

「…それは人並みとは言わないよ」

羨ましそうに斎藤を見る名雪

どうでもいいことだが
基本的に成績が平均以上な奴ほど
自分を人並みとか平均レベルとか言う

「…神様って不公平だよな」

「…言うな北川、俺まで悲しくなる」

羨ましいどころか
何やら物欲しげに斎藤を見つめる二人

ちなみに北川も祐一と同じような感じで
勉強よりももっぱら趣味の情報収集活動に勤しんでおり
以前撮影された祐一と北川が授業中まともに授業を受けている写真は
ウルトラレアな逸品としてマニアに高く売れたという逸話があるぐらいだ

「お前、今度のテスト問題とか手に入らないのか?」

こいつならありうる、と考えながら祐一が北川に聞く

「無茶言うなよ
うちの学校のテスト問題は全部石橋が管理してるんだぞ?」

「う〜ん、石橋相手に情報戦じゃ分が悪いか…」

「去年も超極秘裏に事を進めたにも関わらず
計画開始から一日も立たないうちから嗅ぎつけられたからな…」

二人で腕を組んで悩み始める二人
この労力を勉強に回す気は無いらしい

「そっちはどんな感じなんだ?」

埒があきそうに無いので
祐一は役員コンビに話を振った
すると、二人は途端に冷めた顔つきになる

「…そりゃ当然上位陣に食い込ませてもらってますよ、会長のおかげで」

「…ええ、生徒会のメンバーは会長より成績悪かったらペナルティですからね」

「そ、そうなのか…」

そのあまりにも生気の無い表情に祐一はたじろいだ
ちなみに、久瀬以上と言う事は、最低でも上位50人に入ると言うことだ

「でも意外だよな
お前の事だから、てっきり学年次席ぐらいだと思ってたんだが…」

あまり役員達の精神的外傷に触れたく無いので、祐一は話題を久瀬に振り替えた

「僕は特に予習復習してないからね、そのぐらいさ」

「…俺もそんな感じなんだが?」

ちょっと待て、と目で訴えながら祐一がツッコミを入れる

「授業を真面目に聞いていればこれぐらい普通だよ
本気で取り組もうとすれば、学年主席も狙えるかな」

祐一は呪った
不平等な知能の差を
憎まれっ子世にはばかるこの世界を

「…じゃあ、何で狙わないんだよ」

ねたましげに祐一が尋ねる
すると、久瀬は高らかに笑いながら返答する

「おいおい、何を言うんだ相沢君
そんな事をしたら美坂さんが可哀想だろう?
彼女から学年主席と言う肩書きを取ってしまったら
あとはあの腐った昆布のような髪型しか残らないじゃないか」

暴言もここまでくるとむしろ朗らかだ
祐一は呆れかえりながら無言で久瀬の横顔を見た

その時

「ふ〜ん…あたしには学年主席と腐った昆布のような髪型しか取り得が無いってワケ?」

静かに響く、怖いぐらい美しい声

そして、世界は制止する
まるで全てが凍り付いてしまったかのように

「あっ、香里〜、まだ学校に残ってたんだ」

「これで美坂チームも全員揃ったね」

間延びした声の名雪
のほほんとした声で言う斎藤

しかし、それでもなお世界は暖まらない
凍りついた場の中に二人の言魂はかき消される
祐一は、再び季節が冬に巡ったような錯覚を覚えながら
口をあけたまま完全に硬直している久瀬の横顔から目がそらせなくなっていた

「…やぁミス美坂、ご機嫌麗しゅう、今日もいい天気だね」

久瀬の声が上擦る

ここまで久瀬が動揺するのも珍しいが、それも無理の無い話だ
大型の肉食獣に背を取られて恐怖を感じない人間など存在するワケが無い

「えぇ、いい天気ね…
でもあたしの天気予報によると
これから天気が崩れるみたいよ…?」

ふぅ、と軽く溜め息をついて言葉を一旦区切り
香里は、さらに低温化した言葉をゆっくりと吐き出す

「今日の天気は晴れ、後、血の雨が降るでしょうってね…」

「…降水確率は何%ぐらいだい?」

香里は答えない
代わりに、カチャカチャと
メリケンサックを装着する音だけが聞こえてくる

つまりは100%というわけだ

「小便はすませた? 神様にお祈りは?
部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はOK?」

祐一と北川は恐怖で身動きが取れなかったが
せめて唯一彼らにできる事だけはしようと考えた
そう、心の中で久瀬の冥福を神に祈って十字を切ったのだ

「ふふふ…」

突然、久瀬が不敵に笑い出す

祐一は、そんな久瀬の横顔を見て哀れに思った

{恐怖に耐えかねてついに狂ったか…}

しかし、祐一以外を除く皆の反応は違った
名雪とともにイマイチ状況が把握しきれていない斎藤でさえも
久瀬の笑いに確かな自信を感じていた、久瀬には何か策があると

「生徒会長を舐めないでもらおうか!!」

突然の叫びとともに
久瀬の体が高速で移動する

久瀬に逃げ場は無かった
廊下で壁と窓ガラスに挟まれて
最も近い教室のドアまでは5メートル
どんなに香里の不意をつこうとも移動は1メートルが限度
窓から飛び降りようにも、三階の窓から飛び降りるのは自殺と同義だ

つまり誰がどう見ても完全なチェックメイト
クイーンに詰まれて逃げられるキングなど存在しない

ならば久瀬はどうしようというのか?
勝算があるとすれば、何にそれを見出したのか?
そして、久瀬はその場にいた誰もが想像すらしなかった行為に及んだ

なんと、壁に向かって肩から飛び込んだのだ

「何ですって!!?」

香里が驚愕する、当然だ
久瀬は壁に吸い込まれて消えたのだから

「そ、そんな…」

人が消えるはずが無い
そんなのは幼稚園児でも理解できる常識だ
しかし、現に久瀬の姿は完全に消えてしまった

一体何が起こったのだろう?
香里は、あくまで冷静に
学年主席の頭脳をフル稼働させ
久瀬消失のトリックを推理する

「…まさか!!?」

ある仮説を思いつき
香里はバン! と壁を叩く
そして、その反響音から確信する

「…隠し扉?
やってくれるじゃないの…」

香里がニヤリと笑う
久瀬を好敵手と認めたのだ

「ううう…生徒会費使い込んで何時の間にこんな仕掛け作ったんですか…?」

「また先生方や反生徒会派への言い訳考えないといけないのね…」

さめざめと泣く役員コンビ
久瀬と香里の事はもはやどうでもいいらしい
というか、そんな事に考えを回す余裕すら消えてしまったのだろう

「わっ、びっくり
久瀬君が消えちゃったよ」

あまり驚いていないように名雪が言う
驚くべき点やツッコむべき点はむしろ多すぎるほどなのだが
特に、目の前で殺気の塊となっている親友についてコメントすべき点は無いのだろうか?

「相沢、斎藤、水瀬、帰るぞ」

少し青い顔をしながら北川が言う
祐一も同様に青ざめながらコクコクと無言で頷き
のろのろしてる斎藤と名雪の手を引いて足早に歩き出した

同時に、背後から校内全てに響き渡る香里の蛮声が飛んだ





全校生徒に告ぐわ!!
今この瞬間から久瀬に組する者は
あたしと敵対するものと思いなさい!!!



ビリビリと窓ガラスが震え、束の間の静寂が校内を包む
そして次の瞬間、まだ学校に残っていた生徒や教員達全員が
巻き込まれるのはご免だとばかりに、我先にと戦場予定地から脱出を始める

その様、災害を察知して逃げ出す鼠の大群の如し
すでに役員コンビの姿も見えず、校内はシーンと静まり返った

「ねぇ祐一…」

「名雪、後でイチゴサンデー奢ってやるからしばらく黙ってろ」

「潤、まだ久瀬が…」

「久瀬は香里と鬼ごっこしてて忙しいから邪魔したら悪いぞ」

顔面の筋肉を引きつらせながら
名雪と斎藤を引き摺るようにして
北川と祐一は学校から離れていった
もはや、試験の事など脳に残っていなかった







「…だからアレが無かったら
俺達がこうして追試を受ける事も無かったんじゃないかなと…」

指先で鉛筆をクルクルと回して弄びながら祐一がボヤく

「他にも理由はあるんだろうが…
アレでやる気が完全に失せたのも事実だろうなぁ」

パラパラと教科書を読み返しながら北川が言う
そう、彼らは追試のために教室で待機していたのだ

「…僕…は…完全に…アレ…の…せい…」

くぐもった声で久瀬が言う

「いいからお前は黙ってろ、傷が開くぞ?」

祐一が包帯でグルグル巻きになった久瀬に言う
顔面から足の先まで包帯に包まれているその姿は
香里に受けた暴行の凄まじさを如実に物語っていた

ちなみに、アレから久瀬は行方不明になり
期末試験試験最終日に空手部のサンドバックの中に詰められていたのを発見された
なお、何故か腐った昆布も一緒に詰められていたが、それが一体何を示していたのか、警察は未だに特定できずにいる

「しかしお前のそういうとこだけは尊敬に値するな」

祐一が久瀬の無傷の右腕を見て言う
左腕は三角巾に吊られ、教室に入る時は
車椅子を北川に押されながら入ってきたというのに
右腕だけは肩から指の先までまったく綺麗なままだったのだ

「まさか試験のために右腕だけは庇うとはな」

北川も教科書から顔をあげて久瀬を見る
久瀬は右手の親指をグッと突き上げてみせる

「…追試…には…間に…合った…まだ…決着…じゃない…」

「明らかに香里の勝ちだと思うが?」

半分呆れながら祐一が言う

ちなみに、香里は重要参考人として警察に呼ばれたが
完璧なアリバイがあったために証拠不十分として釈放された
どういうトリックを使ったのかは学年主席の頭脳のみが知る事である

「まだ…右手が…ある…」

そう言って右手の指をゴキゴキと鳴らす久瀬

「久瀬は執念深いからなぁ」

そんな久瀬を見てけらけらと笑う北川
笑い事では無いと認識できる常識人はこの場にいないらしい

「とりあえずまずは追試をパスしないとな…
これが終われば名雪達が祝賀会を開いてくれるそうだから頑張ろうぜ!!」

「おお!!!」

ガシッと力強く握手する祐一と北川

「…う…包帯が…下がって…前が…見えな…」

久瀬の身体は微妙に痙攣していた

余談ではあるが
祐一と北川は合格はしたものの
満身創痍の久瀬にはるかに遅れをとり
えらく後味の悪いものを残して夏休みに突入したと言う





あとがき

樫の木おじさん「山場もオチも無いな」

いやほら、だって試験前のある日常の話だし…

樫の木おじさん「どこが日常だ、どこが」

久瀬VS香里はこの勝負は香里に軍配があがりました

樫の木おじさん「体を破壊された久瀬も哀れだが
キャラを破壊された香里も十分哀れだと思うのは気のせいか?」

気にすんな
ちなみに、こんな感じの勝負がありました


香里、校庭に学校中のガラスを集め、積み上げる

香里「久瀬君! もしアナタがこのまま隠れ続けるなら
あたしは一分ごとに一枚づつこのガラスを割って行く事にするわ!!」

スピーカーで久瀬の声が聞こえる

久瀬「正気か美坂さん!!?
そんな事をすれば大問題になるぞ!!?
それだけの数のガラスを破壊すれば、学年主席の君でもタダでは済まないはずだ!!」

香里「フフフ…何を言っているの久瀬君?
ここにあるガラスが破壊されても、知っているのは
天と地、そしてあたしとアナタだけ…そして事実を証言できるのはアナタだけよ?」

久瀬「…そういう事か、この人でなしめ!!」

香里「頭がいい人と話をするのは楽ね
そう、誰がガラスを割ったかなんて些細な事よ
この美坂香里を犯人と断定して敵に回す事に比べればね!!」

久瀬「……………………」

香里「さぁ早くでてきなさい!
そろそろ最初の一分間が終わるわよ!!?」

久瀬「…駄目だ、他人は見捨てられても、ガラスは見捨てられない…」


そして出て行った久瀬は香里さんにボコられました

樫の木おじさん「…お疲れ様でした」

香里「まったくだわ…
まぁ、何度挑まれても私は勝つけどね」

久瀬「リメンバーパールハーバー
必ずや君にはガラスを巻き込んだ事を後悔させてみせるよ」

香里「…挑戦と受け取っても?」

久瀬「どうぞご自由にミス『シス昆布』美坂」

香里「我は無敵なり、我が表技にかなう者無し…」

久瀬「我は無敵なり、我が影技にかなり者無し…」

樫の木おじさん「そこ! 武技言語開始しない!!
おい大吉! この二人止めろ!! 巻き込まれたら死ぬぞ!!?」

…また来週〜

樫の木おじさん「諦めて逃げんなぁぁぁぁぁぁ!!!」



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