ピクル
第2話「動き出した時間」
新連載開始第一話から数多の死亡フラグを打ち立てて次号に引く
アレン君の人生は最初からクライマックスです
もうみんながみんな、彼の死に様を見届けるために読んでいると言っても過言ではないでしょう
なんだか、後楽園地下闘技場の観客の気持ちが分かったような気がします。或いは帝愛の兵頭会長
『せっかく・・・・・・新しい死に方が見れそうだったのに・・・・・・』
「死刑の意義はそもそも善良な大衆にとっての娯楽なんだよなぁ」と思いつつページを開くと、
そこには「地上最強の肉(ティラノサウルスのステーキ)!」を目の前にするアレン君の姿
そして、編集がつけたアオリ文
「学者として不適、だが人間として素敵!
アレン君、前人未到の恐竜肉に挑むッ!!」
なんだこのオサレポエム
いえ、ブリーチどころかこれはもうストーンオーシャンに匹敵するインパクトです
多分、本来の主人公である範馬刃牙君でさえこんな輝いてる座右の銘は与えられた事が無いでしょう
どうやら先週のアオリといい、編集さんもアレン君の覇道に魅せられてしまっているようです
そういえば、板垣先生もこの連載の前に
「どうしても描きたいヤツに出遭っちまった!」と仰ってましたが、
板垣先生も出遭ってしまったんですね・・・『死亡フラグの進化(ダイアモンズ・プログレス)』アレン君に
そんな人間として素敵なアレン君
カッターナイフで肉を切り取り、1Pかけてじっくり肉を味わいます
さぁ、アレン君はこの肉を食べてどのようなリアクションをするのか!?
いっそ恐竜になって大阪城を破壊しようとするぐらいまでは許容量だ!!(ゴモラかよ)
「フム・・・・・・
(ビーフ・・・? いや・・・ラム・・・?
ん〜〜・・・以前 日本で食べたクジラ・・・・・・・・・??
いや・・・・・・いずれにしろ・・・・・・・・・・・・
ちょっとスジっぽいけどイケるじゃん十分に・・・・・・ッッ)」
フツーに淡々と食ってますよこの人
・・・いや、確かにそれがリアリティある思考ってものですが、漫画のキャラとしてはどうでしょうか?
それとも「漫画のキャラとして不適、だが人間として素敵!」とでも言うつもりでしょうか
今にも「ソースの味って男のコだよな」とか言い出しそうなぐらいの普通食いです
この堂に入った一人食いっぷりときたら。アレン君には孤独のグルメの資格が大有りなようです
多分、博士がアレン君を飲み会とかに誘ってくれないのが原因だと思われます
アレン君が恐竜肉を堪能している時、
覚醒したピクル君は環境のあまりにも急激な変化に呆然としていました
まぁ、本人時間でついさっきまではジュラ紀にいましたからね
人が未知を恐れるのは本能みたいなものですから驚いて当然の事です
しかし、全てが未知の空間で唯一ピクル君が知っているものがありました
そう、アレン君がただ今食している恐竜肉の匂いです
恐竜肉を求め、ピクル君がアレン君に今、会いに行きます!!
と、言うワケでアレン君パート再開です
主人公であるピクル君パートが前フリ文章より短い気がしましたが、
あんまり感想が長くなりすぎるとなんですし、
多分皆さんもアレン君が気になって仕方ないと思われるので、
サイレントマジョリティを考慮してピクル君パートはアニメ化した際の残酷描写みたいにカットしました
まぁ、板垣作品の主人公はないがしろにされるものなので、
ピクル君にはこの現代の洗礼に早く慣れてもらいましょう
さて、いよいよもう一人の主人公であるアレン君のターンです
彼は最早ポジション的に、『ダイの大冒険』のポップか『GS美神』の横島に匹敵します
背後に怪物ピクル君が迫っていながら、
♪を飛ばしながらご機嫌に食事を続けるアレン君
背後に迫る非日常と日常のシーンを共存させる手法ですね
あくまでハリウッド的な伝統を踏襲しつつ、死亡フラグを高めるアレン君
この時点で、もし私がアレン君を狙う刺客だったなら
彼の人間としての素敵さに敗北を認めて師事を請うところです
あんな無防備なのになんて大きな背中・・・
鬼の貌が浮かんだバキ君の背中よりも雄大さを感じさせます
そしてアレン君、さらに仕事中だと言うのにレミーマルタンをコップに注ぎます
「グラスはショボいけど・・・・・・・・・
一応仕事中だし・・・ね」
サラリーマン金太郎が聞いたらフルボッコにされそうな発言です
まぁ、末期の酒なんですからガタガタ言うのも野暮かもしれませんが
酒飲みながら仕事ができるなんて優雅なご職業ですなアレン君。さすがは自由の国、アメリカ
私は日本ではそんな自由な会社知りませんよ。東西新聞ぐらいしか
あの会社はたまに無茶な業務命令が飛んできますが、
代わりに文化部副部長が仕事中に酒呑んで暴れてもなぁなぁで許すという社員に優しい会社です
帝都新聞は至高のメニュー作ってる暇があるんならこの不祥事をすっぱ抜くべきだと思います
そういえば、アレン君の顔ってよく見ると富井副部長に似てますよね
なるほど、そう考えれば仕事中に酒を飲むのも当然の流れです
博士がアレン君のようなぐ〜たら研究者をクビにしないのも、東西新聞ではよくある事ですしね
さっきも、当たり前のようにクジラを食べた事のある発言してましたが、
多分、山岡さんに「捕鯨禁止なんて戯言ですよ」とか吹き込まれた事があるんでしょう
まぁ、恐竜肉を平気で食べるアレン君ですから、そんなチッポケなタブーなんて気にしないのかも知れません
もしかしたら、「こんなに可愛いのについていないはずが無い」とか
「『恋風』や『僕は妹に恋をする』・・・やはり、血が繋がっている妹こそ最高だ」とか、
タブーを破る事にアレン君は喜びを見出すタチなのかも知れません
ちなみにこの感想は私の実の妹も読んでるので、
あまりこういうネタを書きたくないんですが、中途半端に引くことは
アレン君の覚悟に対する冒涜だと思うので、とにかく全力で突っ走る事にします
酒を飲みながら肉を食べているアレン君
ふと、背後から聞こえる水音に気づき、後ろを振り向いてしまいます
「(緊急時 人間は考えない
夥しい数の思いを後先の順番なく
同時に感じるのである)」
出会ってはいけない二人が――出会ってしまった
アレン君、生古代人とのファーストコンタクトです
人類史上、歴史に残るような大事件にアレン君も目を見開きます
ちなみに、二人の位置関係的に本当にファーストコンタクトしたのは、
アレン君と、ピクル君のスパムだと思われます
(スパム……塩漬けハムのこと)
まぁ、スパムではなくソーセージやポークビッツの可能性もありますが
せっかくの古代人なんですから、マンモスサイズだという夢ぐらいは見たいものです
(Q:何の話だ) (A:ナニの話だ)
ともかく第一種接近遭遇を果たしたアレン君
アトラスの錬金術師もかくやという超高速思考をはじめます
「ピクルじゃん!!!」
「目覚めたのかよッッ」 「デカいッッ」
「バレた!? 「あんだけやっても
餌パクったの」 起きなかったのにッ」
「野生度高ッけ〜〜」 「さすが野生ッッ」
なんだか「○○スレの予感!」ってAAを彷彿とさせる並列思考をみせるアレン君
しかし流石「学者として不適」なアレン君
この緊急事態に科学者として実験成功の喜びに震えろというのは無理としても、
「野生度高ッけ〜〜」は相手を評価する言葉としてどうなんでしょうか
まぁ、確かにある意味規格外の相手を評価する際に便利な言葉かも知れませんが
※使用例
妹「母さん、お小遣いちょうだい」
母「なんに使うのよ?」
妹「執事喫茶行く」
私「(野生度高ッけ〜〜)」
うん、我が家では使い勝手は良さそうです
類義語としてすでに「雄度が高い」ってのがありますが、
アレン君リスペクトとして今後も使えそうなので覚えておくことにしましょう。試験には出ません
「(武器はカッターだけ・・・・・・ッッッ)」
「(ムリムリムリ100%勝てない)」
「(瞬殺確実!)」
「(何持ってもムリッ)」
「(一応引き出しに拳銃入ってるけどさァ・・・・・・・・・・・・)」
「(出す気しないッッ)」
「(拳銃持ったら勝てる!?)」
「(無理!!! ハッキリ理解るッ)」
「(拳銃出したとたんワンパンチ!?)」
「(え!? でも拳銃知らねェじゃんッ)」
「(知ってるんだよ野生がッッ)」
その間、わずか0.2秒(個人的予測)
いやぁ、中々いいパニックぶりですねアレン君
これが映画だったらとにかく喚きだすかもしれませんが、
漫画である利点を上手く使い、心理描写を中心に静かにパニクります
しかし、自問自答を繰り返す事であくまで冷静さを保とうともしています
ここはただ瞬殺されるだけの小物じゃ終わらないぞというアレン君の矜持なのでしょうか
だとすれば、ただワンパンチでフラグを達成するのではなく、
生き延びるために知恵を絞って色々ファインプレイをしてくれそうですね
並列思考を生かして、ピンチになったらそげキングに助けを求めてみるとか
しかし、拳銃でも勝てないと予測だてるのはいいとして、
アレン君の中で野生ってのはどんだけ万能なのでしょうか
野生があったら銃の危険度を察知したり蘇生したりもするそうです
きっとペイン博士とは、塩分万能説と野生万能説で論争を繰り広げているのでしょう
そしてアレン君が現状の打開策を考えていると、
ピクル君はなんと、アレン君のステーキを奪って食べてしまいます
「(え〜〜〜!!?
一口かよ!! 150g?
しかも噛まねェッッ)」
150gのステーキを噛まずに一気飲み・・・なんという事でしょうか
こいつの食べ方は邪道や〜〜!!(『食いしん坊』ネタはもういい)
こういう奴が文明の利器を扱えるようになったら、
ステーキをミキサーに入れて大食いしようとするんですよ
アレン君がじっくり味わっていたステーキは、
哀れ一口でピクル君の胃へと飲み込まれてしまいました
アレン君も、いっそここでピクル君の肩関節を極め、
『モノを食べる時はね 誰にも邪魔されず自由で
なんというか救われてなきゃあダメなんだ 独りで静かで豊かで・・・』
と説教でもしてやれば二人の間に絆でも生まれるかもしれません(ねぇよ)
ステーキを食したピクル君。いよいよアレン君に近づいていきます
「(こっち見た〜〜!!! 敵意!!?」
「(何!!? ナニ!!? なに!!?)」
二人の距離が、触れ合うか触れ合わないかのギリギリまで近づき、
そしてピクル君はスンスンとアレン君の体臭をかぎはじめます
「(餌!!? オレ餌ッッ!?
敵としてみてくんねェ!!!)」
なるほど、つまりアレン君はピクル君に食べられようとしているのですね
色々な意味で(待て)
なるほど、確かに私はアレン君の死に様を色々考えていましたが、
よく考えてみれば撲殺とか絞殺とかの可能性を考えるばかりで、
腹上死という可能性をまったく考えていませんでしたね
確かに、この漫画では男キャラが二人以上でてきていますから、
腐女子的思考をすればBLを視野にいれて然るべきでしたね
まったく、ピクル君×アレン君とは。その発想はなかったわ
不適とはいえ流石科学者。アレン君は常に私に新しい視点を与えてくれます
まぁ、BL展開については行間を読むとして
ピクル君はコトが済んだのでアレン君の体から離れていきます
「(餌として不適格ってか!?)」
「(良かった〜〜〜ッッ)」
「(不味いワケね食物として・・・・・・・・・・・・)」
「(それはそれで屈辱?)」
食われたかったんですかアレン君?
流石は死亡フラグの天才。新しい死に方に対し貪欲です
でもまぁ、これでアレン君の生存フラグが立ってしまいましたかね
なんせ相手は気まぐれモンスターとはいえ、無益な殺しを好む生物ではありません
よほどの事が無い限り、一度興味を失った相手を襲おうとはしないでしょう
つまり、この時点でアレン君の身の安全は保障されたも同然なのです
後は、ピクルがどこかに立ち去ろうとするのを見守っていればそれで終わりです
良かったねアレン君。多分、色々とこの不祥事の責任は取らされるだろうけど、
少なくとも命だけは助かったんだから、これも神様の思し召しだと思って・・・・・・・・・
『なに勘違いしているんDA?』
!?
「だけど一応・・・」
『アレンのターンはまだ終わっちゃいないZE!!』
!!?
「一応ね・・・」
『アレンのターン! ドロー!
牛も殺せなさそうなチャチなピストル!!』
!!!??
「一応ここは
俺が死KILL仕切らなきゃ・・・・・・・・・・・・」
『ずっとずっとアレンのターン!!!』
もうヤメテ! アレン君のライフはとっくにゼロよ!!
思わずリナリーのように悲鳴をあげそうになってしまいました(アレン違いだ)
ま、まさかここでさらに死に向かって邁進するとは・・・
私はどうやら、まだまだアレンという男を見誤っていたようです
せっかく拾った命だと言うのに、また惜しげもなくドブに捨てようとする姿
強大な野生の持ち主であるピクル君に挑もうとするその姿は、
まるで鷲巣に挑もうとするアカギのような迫力すらあります
今にも「体は死亡フラグでできている――」と呪文を詠唱しながら固有結界を展開させそうです
どれ程の死亡フラグを積めば、この境地に至れるというのでしょうか
先ほど拳銃では勝てない事を野生で理解したばかりだと言うのに、
まさか相手が背中を向けただけで勝てると思ったわけではないでしょう
アレン君は死が怖くないのか!!?
『貴様の辞世の句ならその程度だろうよ』
ここまで死に対して貪欲だと、
前世がレミングか垣原組長でないと説明がつかない気がしますが
多分、この展開もアレン君の求める『必然性』だったりするんでしょう
きっと拳銃が通じなかった後は、ピクル君とロマンチックな追いかけっこをしてくれるはずです
ひょっとしたら、このヤクザマンション研究所にピクル君とアレン君が二人きりになったのは
博士(ジジイ)の陰謀なのかもしれません
死亡フラグの極限に挑むアレン君がどうなるのか
その答えが知るには、再来週まで待たなければならないようです
くっ・・・なんていい引きで繋ぐんだ板垣先生!
これは車田引きの百倍は早く続きが読みたくなる展開ですよ!!
扉の前で泣き虫サクラがトレーニングでもしていてくれなければ、とても待てそうにありません
果たして、アレン君はピクル君に対し死KILLことができるのか?
う〜ん、もう少し早くピクルが連載してくれてたら良かったんですけどね
そうすれば、お盆には茄子に乗って帰ってきたアレン君に会えたのに
さて、2週間の間葬儀の準備でもして待っているかな・・・