範馬刃牙
第56話「距離」
「点呼ォォォォッッ
モタモタするなウスノロどもッ
さっさと並べェッッ」
「今さら言うまでもないッッッ
キサマらは人間のクズだ
自由は一切ないッッ
キサマらに許されるのは呼吸だけだッッッ
こんな所で朝を迎える自分を呪えッッ」
けたたましい朝の挨拶が、薄汚れた刑務所の壁にこだまする。
マリア様のお庭に集う受刑者たちが、
今日も蝋人形のような無機質なツラで、背の低い雑居房の扉をくぐり抜けていく。
いやぁ、冒頭の看守台詞はともかく、後者は別に台詞を引用してるわけじゃないんですよ?
引用してるわけじゃないんですが・・・
JASRACよりもよっぽど怖い団体に怒られそうな気がするのでこのぐらいにしておきます
とりあえずごめんなさい。とらさんもごめんなさい。色んな意味でごめんなさい
まぁ、お決まりの刑務所の朝を囚人の皆さんが迎えていると、
空気の読めない(アンチェイン)な主人公君がいきなり看守さんに声をかけます
「どーしたボウヤ オシッコか?」
一応、問答無用で殴るような真似はせず一言声はかけるようです
しかしこの「オシッコか?」と言うバキ君を小馬鹿にしたような表現はいただけませんね
ヘタな事言うとその小僧はその場で出すもの出してしまうから
できればシモの話題は避けて下さい。誰が撒き散らされた戦いの聖水の後始末をするんですか!!?
「外出・・・・・・いいスか
ちょっと外の空気を吸いたいんで
ほんの4〜5分・・・」
囚人とはとても思えないこの不遜な態度に、
看守も耳を疑ったかのようにオーバーリアクションで聞き返します
しかし、次の瞬間「ごめん」と声をかけながらバキの蹴りが下顎に命中!
看守さんは一撃で昏倒してしまます
さらにバキ君は銃を向けて制止しようとしてきた看守にも、
背後に回ってこめかみに軽く一撃を入れ、無力化してしまいます
この蛮行に、囚人達も盛大に口笛を吹きながら喝采を送ります
「いってらっしアアい」
「行ってこい少年ッッ」
「外の空気たっぷり吸ってこいッッ」
「そのままどこか行っちまえッッ」
囚人達の声援を受けながら悠々と歩きだすバキ君
普段看守に押さえつけられてるアウトローからしてみれば、さぞ爽快な出来事でしょう
ただ、最後の一言に本音が透けてでてるような気がするのは気のせいでしょうか?
頼むからもう戻ってくるなよ的な、バキ君が聞きなれているであろう言葉の響きを感じます
・・・ひょっとして犯人はマイケルでしょうか?(なんでよ)
そしてバキ君は止めにかかる看守達をかわし、
手すりを使って次々と階下に飛び降りながらまっすぐ出口を目指します
上方からの一斉射撃をプリキュアみたいなアクロバティックな動きで全弾回避
廊下の先で銃を構えて待ち受ける看守達の懐に一気に踏み込んで三人まとめて無力化です
流石主人公! たった一人で大勢の銃を持った看守達相手に影すら踏ませぬ勢いですよ!!
つーか、ほんと一般人には強いですねこの人
小学生に勝ってみたり妄想のカマキリに勝ってみたりボッシュ大統領に勝ってみたり暴力看守に勝ってみたり
戦績はいい感じに勝利ばかりですが、対戦相手が格下もいいとこと言うか
ほとんどただの弱いものイジメしかしてないよこの主人公
なんか悲しくなる事実ばかりが確認されますが、
それでもバキ君は振り向かずに走ります。若さゆえの、自由に向けた暴走です
しかし正面から外に出たところで、バキ君の進撃は止められてしまいます
「残念ながら外の空気は吸えない
速やかに帰宅したまえバキ・ハンマ」
外にいたのは大勢の武装看守を従えたプリズンの所長
この短時間でよく所長室から移動してきたもんです
まぁ、この人もこの人で立場の低い相手にはわりと強いので、お似合いの相手かも知れません
マイケルの再起不能作戦とかは諦めたんでしょうか?
あるいは、マイケルの出所話ごと板垣先生が忘れちゃったとか
「ずいぶんとガンバったじゃないか
聞かせてくれんかね 暴挙の意味を」
「イヤ・・・俺もね・・・
なろうかなって・・・・・・・・・・・・アンチェイン・・・」
なんと、ここでバキ君もアンチェイン宣言!
ゲバルが去った今、再びオリバへの挑戦権を得るために自由を求めると言うのです!!
決して、もうこうなったらオリバが老衰で倒れるまで待つとか
脱出ルートが開通するまでロッカーに閉じこもるとかは言い出さないわけですよ
問題は、恐ろしいまでの今更感が漂う事だけで
アンチェインコンビに吹っ飛ばされ、ゲバルに無視され、オリバにあしらわれ
そんなバキ君に「そうだ、京都に行こう」並みの気軽さでアンチェインになるとか言われても、
『ワンピース』読んだ後に『キャラメルリンゴ』読んだような虚しさを感じるわけですが
しかし当のバキ君はどこからきてるのやらよく分からない自信がたっぷりのようです
「・・・・・・・・・で
今 この時点での結論は?」
「なれるさ 多分ね」
・・・・・・今週はまぁ、実に間が悪いと言いますか良いと言いますか
私、このバキ君の台詞を読んだ時にある人の台詞が浮かんでしまいました
「厄い・・・ってほどじゃないわね」
タイムリーすぎますよみどろさん
いやぁ、ここで今週の涅槃姫みどろを連想してしまうのもバキ君には失礼かも知れませんが
バキ君はもっと失礼な真似を読者にしてきたと思う(ヒント:SAGA、カマキリ)ので、おあいこという事で(何がだよ)
しかしバキ君、アンチェインになると言う決意はいいのですが、
そのためにする事がまずオリバさんやゲバルさんのように自由に振舞ってるって
とことんまず形から入るのが好きですねこの子
そう言うとこだけは単行本一巻の頃から変わってないようです
鎬鋼昇と闘う時には末堂から始めてたけど、
オリバさんと戦うとなるとどこから始めりゃいいんでしょうねぇ・・・ゲバルさんからも忘れられてましたし
ここは大人しく、同室のマイケルに八つ当たりするところから始めたらどうですかね?(行動が終わってる)