範馬刃牙
第40話『前夜』

前回から引き続き、今週はオリバさんが恋人から詰られるシーンから始まります


詰ると言うか、この間のバキ君を彷彿とさせる見事なキレっぷりです
読者の9割が松本梢江を連想し、残り一割がキレル君を連想するぐらいの見事なキレです


と言うか、この世界に出てくる「若くていい女の恋人」ってみんなこんな感じなんでしょうか

キレる時は大抵暴力が伴われるんですけど。松山せいじもビックリのゾクセイの偏りぶりです


きっと、女子部の井上さんが登場したら

「やりすぎだろうがッ! 押忍!!」って叫びながら克己に上段正拳突きかましてきたりするんでしょう



「この・・・役立たずッ
この・・・・・・ごくつぶしッッ
この大飯食らいッッ この人でなしッッ
このナルシストッッ 親不孝ッッ ロクデナシッッッ
女たらしッッ カスッ バカ」



酷くオリバさんを罵るマリアさん
罵り様がどんどん子供の悪口みたいになってるのは、
感情に任せて思いつくままに罵詈雑言を並べているだけだからでしょうか?

そのうち「ばか! ばか! まんこ!」とか言い出しそうな勢いです


そして一通りオリバさんを罵倒して息切れをおこしたマリアさんに、
ちょっと困った顔を向けながら「もう・・・・・・いいかな・・・・・・・・・?」と問いかけるオリバさん


おお、なんだかオトナの余裕ってものを感じますね
とても先週、泣きそうなぐらい困った顔でうろたえていたり、
実際ハンカチに唾吐きかけられて号泣した
人の態度とは思えません

やはり男の仕事はやせ我慢なようです


オリバさんが宥めようとすると、
今度は言葉の暴力から直接攻撃に切り替えるマリアさん
無言でウィスキーのボトルを投げるわコップを投げるわ花瓶を投げるわとやりたい放題です


と言うか、相手の顔面にぶち当たって花瓶が粉々に砕け散るって、

どういうパワーで放り投げたんですかマリアさん


アイアン・マイケルぐらいだったら十分昏倒させられるぐらいの威力があるように見えるんですけど


『狼と香辛料』って小説の二巻に、
「ヒロインがキレて椅子を投げようとするけれど、
椅子が重すぎて結局投げられない」と言う、
女性の激情と腕力の無さを表現したシーンがあるんですが、


板垣ヒロインズには激情も腕力も有り余ってるのが問題だと思います

怒ってるけど、それを表現できる肉体的パワーが無いってギャップがいいんじゃないですかッ!


我々はそのギャップに萌えを感じ、それを求めているのであって、

別にヤクザのスネを蹴ってダメージを与えるようなパワーを求めてはいないんですよ


どうも板垣先生は女性の「か弱い」と言うイメージがお嫌いなようです。駄目ですよ、漫画で好き嫌いしては


松山先生だって最近貧乳を頑張って描いてるんですから


『ナンバMG5』の大丸が余計な事言ったせいでまた最近クリーチャーが出てきましたが、


板垣先生もたまにでいいから「可愛い女性」と言うものを描いてみて下さい。中年女以外で



ともかく、マリアさんのパワーにひるむ事なく、
逆に空中に散らばった薔薇の花を掴んで花束を作って微笑むオリバさん



「どうか・・・機嫌なおしておくれよォ・・・ハニィ・・・・・・」


すると、先ほどまでマジギレしていたマリアさん。涙を流しながらおっしゃいます



「バカァ・・・」

「バカで幸せ者だ
君がそばに居てくれてる・・・・・・・・・・・・」

「ダーリン・・・」



・・・・・・え〜と・・・これはつまり・・・・・・・・・ツン・・・デ・・・レ・・・?


思わず「達人のツンデレは難しすぎる!」と逃げの一手を打つところでしたが、

えぇ、よく考えるとなんでもかんでもツンデレ扱いするのはおかしな話ですよね


最近では、ツンデレの説明として「外では恋人にツンツンしてるけど二人きりになるとデレデレ」と言う


それだとバカップル以外はみんなツンデレになりますと言う不十分な論理もありますし


便利だからと単一のカテゴライズになんでもかんでも型を嵌めるのではなく、
もっとミクロな視点でものを見て、相応しきカテゴリーに分類する事が必要になってくる・・・

そう言う板垣先生のメッセージを感じられるやり取りでしたね
板垣先生ならきちんと萌えるツンデレを描けると言うのは、烈先生で証明済みですし


と、言うワケでマリアさんをカテゴライズする類型は、ツンデレなどではなく



きちんと情緒不安定と呼ぶのが正しいのでしょうね


うん、そりゃオリバさんも一室に閉じ込めたまま外に出さないよねと言うお話で


ともかく、二人はホントに相思相愛との事
マリアさんもオリバさんの事をダーリンと呼ぶほど慕っているようです


なんか本音はデレデレっぽいですし、
さっきの罵詈雑言の語彙がどんどん少なくなったのも
罵倒すべき言葉が見つからなくなってしまった結果なのでしょうかね?

バキ君に対してだったら、19ページ丸々使っても悪口の語彙が尽きなかったような気もしますが


しかし、当のオリバさんはダーリンと呼ばれると、
両の拳を握り締め、上体をのけぞらせて天井を見つめながらつぶやきます



「ダーリンッ 強すぎるんだ 刺激が・・・
受け止めきれないんだ 言葉を」



・・・・・・数年前から恋人関係続けてて、未だにこの状態と言うのも治療が必要な段階だと思いますが


いや、愛が溢れてどうにもならないってのは分かるんですよ

私も最近『邪魅の雫』を買って、刺激が強すぎるんで常に携帯するだけで満足してる段階ですし


ただ、ここまで過剰に反応されると流石にやりすぎと言うか、

お前はちょっといやらしいシーンを見ると鼻血を噴出して気絶するキャラか


ヒロインの超常ツンデレぶりといい、ちょっとヌルいエロゲー系ファンタジー世界の住人になりつつありますオリバさん


そしてちょっとイっちゃってるオリバさん
溢れた愛に我慢できなくなったのか、さらに刺激的な行為を求めてマリアさんに飛びつきます



「マリアッッ
君は・・・ッッ 美しいッッ
試合場で見せつけてやるんだ 君の美しさをッッ
思い知らせるんだ 愛以上をッッ マリアッッッ」



軋むベッドの上で叫ぶオリバさん


サカるな! むしろSAGAるな!!


試合場で見せ付けるって、ナニするつもりでしょうかこの人

まさか駅弁スタイルで登場するつもりじゃないでしょうね


と言うか、この期に及んで姿も見えないし、
やっぱりオリバさんにしか見えない類の恋人なんでしょうか

そう考えると、ぶん投げられた花瓶の事も説明できるんですけど


まぁ、あんまりこのバカップルに注目してると目をやられそうなんで次いきましょう


所変わってゲバルさん達の雑居房では、
ゲバルさんが壷を耳に当てて何かを聞いています


あれ? この壷、昨夜巨人の人に預けたばかりでは?


なんか色々ヤバげなものが詰まってるって言ったから、突っ返されちゃったんでしょうか?


「夕べから何度もそうして・・・・・・
何を聞いてらっしゃってるんで・・・?」



壷に興味津々な爺さんがゲバルさんに壷の中身を尋ねます
なんか色々情報通ですし、やたらと好奇心が強いようですお爺ちゃん

すると、ゲバルさんも親切に教えてくれます



「勇気だ」


そしてイメージ映像として挿入される、
台風の崖に立ち、雨風吹く方向に壷を向ける何者かの姿

おお、この映像はどんなイメージなんでしょうか。気になりますね

あんまり気になって、直後に出てくるバキ君の姿も映像の一環かと思ってしまうぐらいです


・・・・・・流石に一晩経つと復活しますねバキ君
周りのみんなが壷に興味を示している中、一人で寝ています


修学旅行で揉め事起こして拗ねて先に寝ちゃった子供みたいですね


後で寝てる間に落書きされて、泥沼になるんだよなぁ・・・(哀れむような目つきで)


まぁ、登場してるのに哀れを誘う不思議な主人公はともかく、ゲバルさんの口から壷の秘密が語られます



「(記録的なハリケーンの翌朝だった
俺が米国へ旅立つ日――――――)
あそこで集めたのか 夕べ一晩中・・・あんな場所で・・・・・・・・・
君が・・・・・・君が仲間にイジメられてる姿を何度か見ている
アリガトウ 島一番の勇者よ」



島から出て行くゲバルさんへの餞別として少年が送った島の嵐を詰め込んだ壷


それがゲバルさんの『勇気』の正体だったようです


奇しくも今度のゲバルさんとオリバさんの勝負は、
少年から『勇気』を受け取った男と恋人から『愛』を受け取った男の勝負になるようです


うんうん、少年漫画的には両方正しいのになんででしょう



前者と後者が善悪二元論で片付けられそうなのは


なんか、前半のオリバさんがゲバルさんのイメージの引き立て役になった感じがします

あれ・・・? ボク、恋人から受け取った愛のパワーってもっといいもんだと思ってたのになぁ・・・?


まぁ、そこはSAGA直後の柳戦の時にある程度諦めもついたので置いとくとします


普通は、その愛と勇気の両方持って戦わないといけない主人公が、

どっちも持たずに不貞寝してるのも置いておきます


・・・そろそろ、置き場が無くなってきたのはどうすればいいんでしょうかね?

ともかく、来週はアンパンマンの半分ずつしか友達を持ってない男達の勝負に入りそうですね


試合前のPR勝負ではゲバルさんが一歩先んじた感じですけど、どうなるんでしょうかね?

できれば、オリバさんにネガティブキャンペーン以外の出番が欲しいところなんですけど



・・・・・・そういや、なんで怒ってたんでしょうかねマリアさん?


なんて言うか、オリバさんの恋愛は難しすぎると思いました