範馬刃牙 
第217話「ミリオンダラー」
 



ボクシングでミリオンダラーと言われると、



鬱になる映画しか思い浮かびません



あれか? 原田さんが烈のガウンに『モ・クシュラ』とか書いて送るのか?

……烈先生だったら、半身不随になってもリハビリで普通に復帰しそうですが

プロレスにも人生にも一発逆転はあるんだ!!(喧嘩商売かよ)



あと、今週の扉絵は烈先生が義足で跳躍してるシーンです

最近は、グラビア専門主人公もすっかり影をひそめちゃってますね

やっぱり、イメージ的にゴキブリみたいになる人だと敬遠されてしまうんでしょうか?


まぁ、そんなついにタイトルにしか出番の無くなった主人公はともかく

今週は試合に勝った烈先生がギャラを受け取る回です


執務室みたいなところで机の上に札束を置き、

大股をおっぴろげて烈先生に声をかけるカイザー



「ウェルカム」



……援助交際もちかけてるんでしょうか?



そりゃ確かに、烈先生はバキ同人会ではミリオンダラークラスの萌えキャラですが

流石に金を積んでウェルカムというのは、烈先生を安く見過ぎではないでしょうか?(何の話だ)


烈先生がいぶかしげにしている前で、カイザーはけっこう仮面のように股をおっ広げながら説明をします



「昨夜の君のファイト
あのスーパーテクニックに対する報酬だ」



ポーズと文字だけで言われると、なんか卑猥な表現ですが

烈先生の超テクニックに対する報酬として、カイザーはミリオンダラーを用意しました


なんだかんだでプロモーターとして超敏腕なカイザー

上手くスポンサーを煽って大金を引き出していたようです


なんかここまであっさり大金を手に入れられると、

バチバチとか任侠姫レイラとか、斜陽格闘技がテーマの漫画読んでて


とても悲しい気分になってくるんですが、



アメリカ人にとってボクシングとは、一昔前の日本人にとっての相撲以上の存在です

前世界チャンピオンを一撃で倒すという偉業を達成した烈先生は、

本人の望むと望まざるに関わらず、すでに最高のショーマンとして認知されているのでしょう



「君は一夜にして
全米で最も注目される中国人になった
早朝からスタッフが問い合わせに追われているよ
無理もない 全米が目にしたのだ
静止したグラブが――顔面を打ち抜く様」
 



なんか、一晩で烈先生グッズとかプロマイドとかが売れてそうな感じですね

いや、もしかしたらなんだかんだで計算高いカイザーはすでに用意していたのかもしれません


嫌われ者(?)のプロモーターが連れてきた、最強のヒール

これ以上に盛り上がるアングルが他にあるかって勢いです


ひょっとしたら話題作りのために、原田コーチも


「中国人にニンジュツを教えるサムライトレーナー」とか紹介されてるかもしれません



とりあえず、烈先生は、高級ホテルの一室で慎ましく缶ビールを飲んでた原田さんに、

なんか美味しいものでも奢ってあげればいいんじゃないかと思います


そして回想シーン代わりに、烈先生がワーレフさんを一撃で仕留め、

ヒーローインタビューを受けている姿にシーンが移ります



「今の気持ちを」

「既にワカっていたこと――
中国武術の優位性を示したまでです」
 



相変わらず不遜な烈先生。さらっととても失礼な事を慇懃無礼に言いました


まぁ、ある意味ヒールらしいパフォーマンスとも言えますが、

そこを天然でやっちゃうのが『最強のツンデレ』と呼ばれる所以なんだろうな

ガッツ石松クラスのオバカ芸人のように、計算の及ばない天然がそこにあります



「フィニッシュブロー
あなたはこうして 触れた状態から打ち抜きました」

「無寸剄……ノーインチパンチとでも云うべきか……」

「ノーインチ」
 


かつてブルース・リーが行った『ワンインチパンチ』

ある意味それをさらにパワーアップさせたノーインチパンチ!!


アメリカ人のハートもがっちりつかむ、メジャーかつスペシャルな必殺技だ!!



……ここでさらっとそんな命名ができるあたり、


この人は興業の天才かもしれません



猪狩さんが見たら、思わずプロレスにスカウトしてしまうかもしれないぐらいのパフォーマンスです


そしてさらに、この興業の申し子は発言します



「いずれにしろ―――
君たちの拳法は―――ボクシングはまだ幼い
成熟した拳の闘いを見せたい
次なる強敵をすぐにでも・・・」
 



ヒールの鑑かお前は



いや、ある意味これが烈先生の『ツン期』なのかもしれません

彼のツンに世界中が憤り、彼のデレに世界中がメロメロになる

そんな日がいつか来てしまうのかもしれません


ともかく全米のボクシング関係者を敵に回した烈先生

これからも、最強のヒールが負ける姿を見るために人と金は群がり、

同様に最強のボクサーが集まって烈先生を叩こうと躍起になるでしょう


ここまでは、全てカイザーの計算通りに話が進んでると言っても過言ではありません



「あの一言で―――
君は世界を敵に回した
言った通りだろう ミリオンダラーがダースで舞い込む
逃げだしたくなるような怪物達もね
さあ……持って帰りたまえ」
 



大金をちらつかせ、烈先生に追い払うようなしぐさをするカイザー

ボクシングが人気ある理由の一つに、このチャンピオンに与えられる高額な報酬があります


拳一つでミリオンダラーを掴む『アメリカンドリーム』は、

アメリカだけでなく多くの国の人々にとってもまさに『夢』と言えるでしょう


逆に言えばカイザーは、それを利用して烈先生を飼おうとしているともとれます

はたして、大金をちらつかされた烈先生の対応は……?



「いくらあるのだ……?」

「ドルにして200万 重量さにして20キロというところだ
アタッシュケースを用意した ちょうど入るハズだ」
 



お金を円で数えずに、キロ単位で数えるカイザー

流石はウブくありません。徳川のじっちゃん並みのダークサイドの住人です

まぁ、選手が凄いのも確かですが、ここまで金を引き出すプロモーターももちろん凄いです


仕組みはともかく、これだけの大金を用意できるカイザーはかなりの凄腕です

ふんぞり返るのも分かります。しかし……



「なるほど……どのような仕組みが
この大金を生むのかは知らぬが
受け取れと云うなら受け取るとして
それは何だ わたしの金の横にある汚いブーツだ」
 



今までカイザーは、多くのボクサーを金で飼ってきたはずです

言わば、商品としてファイターを値踏みしてきた人間です


だからここでも『金を稼いでやっている』という大きな態度で出ているのでしょう

しかし、『ファイトマネー』と『施される金』には大きな違いがあります

烈先生は、烈先生への公正な評価としてこの金額を受け取るのであって、

決してカイザーにこのお金を恵んでもらおうと思っていたわけではありません


そして烈先生は、警告としてカイザーのサングラスを蹴り飛ばします



「持って帰れではない
君があのケースに入れ手渡すのだ
さもなければ―――その悪い脚をヘシ折る」
 



カイザーは烈先生のツンデレを甘く見過ぎたようですね

元々、プライドの塊のような男に、こんな優位性を見せつけようとするのはよくありません

カイザーにとっては、立場関係をしっかりさせるための挑発だったのかもしれませんが、


克巳と知り合う前の烈にやっていたら黙って転蓮華が発動していた可能性があります


ようは、ツンデレに「デレた」と思って馴れ馴れしくし過ぎて、

逆に好感度を下げる結果になった構図
と言えば分かり易いのでしょうか


(分かり易いのかそれ?)


とにかく、最近はデレ易くなったと言われてる烈先生ですが、

決して安易にカップリングされるわけではないという強いキャラ性をアピールしてくれました


まぁ、なんだかんだでここでボコボコにしないあたり、烈先生も丸くなりましたよね



そして、アタッシュケースを手渡される烈先生



「謝々……」

「車を用意した」

「ありたがく…………」
 



そして、相手の好意には笑顔でありがとうと返す


この淡泊さが実に味わい深いデレです


この呼吸ですよ! ツンツンしまくって、最後に少しのデレ!

このぐらいのバランスが萌えるツンデレとしてちょうどいいのですよ!!


今週のバキは内容としてはちょっと薄かったですが、


ツンデレの教本としては高等教科書並の密度がありました



くれるなら感謝して貰う。でも、上から目線とか馴れ馴れしい態度は許さない

ここで、デレっぱなしだったり、貰っても感謝しなかったりするのは駄目なツンデレなんですよ


ツンツンした態度を見せつけてから、デレっとする。これがツンデレのかくあるべき姿なのです




格闘技者としてのパフォーマンスはまだまだ初心者かもしれませんが、



ツンデレのパフォーマンスはすでに達人の領域



カイザーも、このツンで搦めてデレで落とされてしまうのでしょうか?


そして、車で送ってもらう烈先生

豪華なリムジンの中で、運転手から尋ねられます



「ブランデーでも飲りますか ミスターレツ」

「イヤ……ウーロンティーを……」

「あいにく…紅茶のフォションなら……」

「不便なものだ……」
 



200万ドルあっても、好きなお茶を嗜めないなら不便なもの

烈先生はあくまでもアメリカで蛮勇を奮いまくっているようです


さて、今週は烈のツンデレ技を見せつけられてご満悦なのですが、

最後のページにはこんな一文が添えられていました








『次回35号は激突直前!!
「範馬刃牙特別編 最強闘士、闘争への渇望」をお送りします。
そして、次々号の36+37号は…バキ3倍祭!!
オールカラー袋とじ+本編一挙2話掲載をお楽しみにっ!!』
 






板垣先生のツン(休載)デレ(3倍祭)攻撃は、


私には厳し過ぎるんですが……



感想書きとしては、ツンデレよりも幼馴染のヒロインぐらいの安定感の方が欲しかったりします