範馬刃牙
第196話「事切れる前に・・・」
人間、いつどんな事で亡くなるかどうか分かりません
人生最大の不条理にして、唯一絶対のルール
それが今、徳川光圀という一人の老人に振りかかろうとしています
あ、その前にじっちゃんにお願いしたい事があるんですが、
私は今、藤田まことさんがお亡くなりになってその死を悼む気持ちでいっぱいなので、
あまり生き死にを茶化すようなボケだけはやめていただきたい
あんた、本人は真面目のつもりでも一挙手一投足がツッコミ対象になるぐらいボケ体質なんだよぉ!!
(理不尽で不謹慎極まりないボケ方をするな)
「終了る前に・・・・・・・
事―――・・・・・・切れる前に―――・・・
夢を叶えたい」
悟りきった表情で、重々しく呟くじっちゃん
吐血し、倒れた事で今まで己とは無縁であった「死」を自覚したのでしょう
ならば、その人生に悔いを残さぬように行動したい
たとえすぐには死なぬとしても、たとえ悔いの残らない人生なんてありえないとしても
死を前にして、『夢を叶える』事を諦める事はできません。悔いの無い死のために、人は精一杯生きるのです
「ん〜〜〜・・・・・・ッッ
カルテを診るかぎり・・・・・・
徳川さんの健康力と財力
この2つの力でだいたいの夢はかなっちゃうでしょ」
「そりゃそーだ ハハハ・・・・・・」
ただ、死を臨む事と、病院でヤケ起こされる事は別問題です
被害妄想に取り付かれて痴呆が進むなんてのもよくある話ですし、
患者を安心させる医者の立場として、軽いジョークを言う紅葉先生の行動は正しいものでしょう
権力者に阿ろうと媚びた笑いをする人も、政治家としてある意味正しい行動だと言えます
出張リアル波斗カフェはいいから、早く帰りなよフーテン総理
まぁ、問題あるっぽい行動ですけど最近やたらと露出が増えてるのはやっぱり、
イジり役として板垣先生が気に入っちゃってるんだろうなぁ・・・
きっと、政治のニュースを見ながら板垣先生はサムワン海王を見るような目をしているのでしょう
「一か月か―――三か月か―――半年か―――
どの道一年は持つまい」
「徳川さん」
「ならば急がねば」
「吐血というのはショックを伴うものです
しかし実際の病状は―――」
死を前に、何かを悟った徳川のお爺ちゃん
紅葉先生は、焦らず、慌てず、ゆっくりと諭します
大丈夫だよと。落ち着いてと。ヤバいスイッチ入れるんじゃねぇぞと
医者の務めとして、紅葉先生は語りかけますがじっちゃんは知ったことじゃないと言うように、
小坊主の佐藤さんを呼び寄せて何やら耳打ちします。また何かろくでもない事を考えてそうです
紅葉先生は、患者を興奮させないように会話が終わるのを待ち続けます
医者の仕事もお忙しいでしょうに、御苦労様な事です。あ、これ別に隣にいる政治家先生への皮肉じゃなくて
「かしこまりました」
「すぐにとり掛かりなさい」
「少しよろしいですか 徳川さん」
じっちゃんがなんかヤバい方向に煮詰まりだしてるのを感じたのか、紅葉先生が会話を進めようとします
ホスピスとか、死について生前から考えるのは、
身内の臨床にのぞんだ時にパニックにならないためと、
自分自身がいざ死に臨んだ時でも精神の安定を得るためなんですよね
人間、テンパると手負いの獣みたいに暴れだす事がありますし
特にじっちゃんはさっきも紅葉先生が言った通りとんでもない権力と財力を持ってます
ここで総理に、「何が国だよク○ニしろオラアアア!!」って命令する事だってできちゃう人です
あ、単行本じゃちゃんと伏せられてました。でも、真ん中だけ伏せれば済むって問題でもないと思うの(何の話だ)
とにかく心を落ち着かせないと、色んな意味で大問題です
紅葉先生は、根気強く徳川のじっちゃんに話しかけます
「急ぐのだ・・・・・・」
「徳川さん」
「もたもたするんじゃないッッ」
いきなり生き急ぎですよお爺様
なんかいきなりキレて、ベッドの上で胡坐をかきはじめました。おいこのジジイ死にそうにねぇぞ
と言うか、これを防ぐために紅葉先生は優しい言い方してたのに
また吐血してぶっ倒れるんじゃないでしょうかこの爺さん。それはそれで万々歳だな
まぁ、爺さんについてはまだ言いたい事もありますが、
タイトルが「事切れる前に・・・」と言うわりにはもうここで出番は終わりなので、また後で語ります
しかし、なんかこのインパクトあるブチギレシーンを見ると、
事切れる前に・・・ってよりはブチギレる前に・・・って感じのサブタイですね
志村けんのコントに出てくる老人よりも死にそうにない人はともかく、
烈先生のボクシング入門編のお話
OFBFスーパーウェルター級チャンピオン 麻仁アキオさんがインタビューを受けています
一般的な日本人は、ほとんどがボクシングに興味無いと言っても過言ではない状況です
そりゃ内藤だ亀田だと話題作って、テレビ局が一からお膳立てすりゃ見るでしょうが、
たとえばそれ以外の、現役日本人世界王者なんて10人いても9人が知らないと答えるでしょう
人気が低迷しないように、プロレスは常にショー性を求めたし、
TBSは『亀田一家』というキャラ性に注目して散々演出を繰り返していたのです
そんなわけで、スター性のある選手にはマスコミが群がります
とにかく素人受けする要素のある選手をアピールしないと、業界全体がしぼんでしまいます
その点、この麻仁というチャンピオンには華があります
なんと、アマチュア・プロを通して無敗。しかもプロでは14試合全てが1RKO勝ち
ボクシングにまったく詳しくない素人でもなんとなく「すげぇ」と思える肩書きがついてます
ワカり易いスター。まさにボクシングの未来をしょってたつ人物です
そのスターが、マスコミのみなさんにその成績が狙ってのものかと問われて、答えます
「数字の記録を意識しているワケではありません
心掛けていることは―――リングという凝縮された非日常―――
その空間で―――無駄な時間は過ごしたくない
相手のアクションに対し 理に叶ったリアクション
理に叶うなら 3分は長すぎるということです」
「―――ということは 次の世界選も1R・・・・・・」
「理に叶えます」
なんか、昔ヤンマガで連載してた『チキン』の城島と戦わせてみたい人ですが、
とてもワカり易く強い人ですね。ある意味、アイアン・マイケル以上にワカり易い戦力を持ってる
つまり、試し切りにピッタリの素材と言う事です
パンチ力があるとか、ディフェンスに定評があるとかではなく、「1Rで勝つ人」
なんかもう1発で倒されるのが前提になっているかのような投げやり感溢れる強い人です
その強い人が、ボロボロのサンドバックを見つけます。早く片付ければいいのに
リサイクルのために、後でまた加藤詰め物をいれて使うつもりなのでしょうか?
マスコミが取材に来るって言うのに、こんなものぶら下げてちゃいけないと思うんですが
それとも、打岩を飾ってたみたいに、烈先生が作品として展示してるんでしょうか?
そんなトンデモ事情を聞いたチャンピオン。冷や汗を流しながら否定します
「バカな・・・・・・・・・
素手の右ストレートでへヴィバッグが・・・
理に叶ってない・・・・・・ッッ」
チャンピオン、常識キャラのようですね。ますます噛ませキャラとして磨きがかかってきました
さらに、鏡の前で構えをとっている烈先生とスパーをやりたいと申し出ました
「やれるよアイツ・・・
怪我させないからさ」
もう、この時点で噛ませの世界王者の風格が漂ってますね
もっと経験を積んだら、噛ませ犬統一王者のサムワンとやらせてみたくなるほどの逸材です
そもそも、理に叶ってないというなら「やれるよアイツ」とか烈先生の実力を見抜いたっぽい台詞した直後に、
「怪我させないから」とか三下の台詞吐くあたりがとっても理に叶ってないんですが、
そこは「1Rで勝っちゃう人」というお花畑の住人なんで、生温かい目で見守ってあげるのが一番でしょう
そして、スパーを申し込まれる烈先生
相手が麻仁さんだとしると、その姿を見て一言
「お断りします」
「・・・・・・・お断りって・・・・・・オマエ・・・・・・」
「彼が相手ではわたしにとってハンデだ
あの人の力量では わたしが全力を出せないのですッッ」
うん、読者はみんなそう思ってるけど、本人の前で言うこっちゃないよね
先程も言いましたが、相手はスター選手です。その株を下げちゃいけません
別にこのチャンピオンがいるからって憧れて入門してくる選手はそんなにいないでしょうけど、
ここで烈先生がチャンピオン叩きのめしちゃったら、損になりこそすれ得になる展開なんてありません
そもそも、相手が申し込んでるのはスパーリングです
全力出す必要がそもそも一切ありません
お前はアレか、青木をボコボコにする一歩か。烈先生はいつでも真剣勝負過ぎます
なんかもう、勇次郎に中国拳法を虚仮にされた仕返しに、ボクシングを虚仮にしに来たんじゃないかという態度です
ひょっとすると、ボクシングしに来たのも、神心会で会員をボコり過ぎて追い出されたからだったりして
来週は、チャンピオンをボッコボコにしてジムを叩きだされて相撲部屋に入門する烈先生が見られるかもしれません
ともかく、先週と同じく2部構成で話が進みます
Aパートのじっちゃん死ぬ死ぬ詐欺編では、来週以降に危険な予感が残ります
いったいぜんたい、どんなムチャな『夢』を叶えようとするのでしょうか?
じっちゃんの夢と言えば『最強の男』を見たい事です。そして、そのトーナメントはバキ君が優勝して幕を閉じました
まぁ、そのトーナメントの優勝者は死刑囚に負けるわ勇次郎に負けるわ
ほっといたら急に強くなってアライJrに勝つわオリバに勝つわ、でもピクルと引き分け(?)てまた勇次郎に負けるわ
いまいち釈然としないものが残ります。戦績だけ見ると、一歩よりもよっぽど負け慣れてます
このまま親子喧嘩させると、まず確実に「やっぱり勇次郎が地上最強でした」で終わります
「地上最強の男」問題は、ある意味詰んでる状態です。じっちゃんの夢は、この状態を崩す事でしょうか?
もういっそ、範馬一族はほっといて、地球人最強を決めるべくトーナメントを開くんだッッッッ!!
主人公がまったく絡まないトーナメントはもう『餓狼伝』の方でやりましたしね
まぁ、これだとトーナメントで活躍した人達を片っ端から影の薄い主人公が噛んでいく展開になりそうなんで、
ほんと、親子喧嘩をさっさと決着させるのが一番平和なのかもしれません
いっそ、決着をつけやすいように麻酔銃で捕獲した勇次郎とバキ君を、2人だけで宇宙に飛ばすとか
しかし自分で1年とか期限つけてましたが、どうせリアルタイムでは向こう何年も死なないんだろうなぁ・・・
愛すべき老人キャラとして、じっちゃんには長生きしてもらいたいものです。なんだかんだで、この人いないとネタに困るし