範馬刃牙 
第188話「友情の証」
 



今週は3倍祭りなので、編集の盛り上げっぷりもハンパなかったですね



『最強とは・・・・・・成る―――ものではなく 在る―――もの
追うとは―――目指すとは―――すなわち未完を認めるものなり

―――でもやるんだよ!!!

勇次郎VSストライダム!!

親友へ贈る最強武器力!!

友情デスマッチが今、始まる!!

何故!? 2人の友情に何があった!!?

最新鋭軍事力を誇る米軍の最強兵士・ストライダム!!

全ての力を持って、親友・範馬勇次郎の前に満を持して、完全武装で立ちはだかる!!』
 




もしこの文章を、本編の原稿を最後まで読んでから書かれたものだとしたら、



彼こそ本物のプロフェッショナルと言えるでしょう



まぁ、そんな編集さんの影の努力に涙を流しつつ本編の内容

先週、全読者に「死ぬ気か!!?」と心配させたストライダムさんの爆弾発言

範馬勇次郎に挑む発言の真相が、まずモノローグ形式で語られます


かつてバキと勇次郎が親子の死闘を演じた米軍基地にてたたずむストライダム

その脳裏をかすめる範馬勇次郎との『約束』とは―――



「(ストライダムよ・・・・・・
俺との関係を維持したくば―――
年に一度―――俺を狙え
公正か否かは問わない 俺を脅かせ
刃物可 銃器可 爆薬可 核可
全身全霊を傾けよ 必ず仕留めると決意せよ
範馬勇次郎の知己を名乗りたくば―――
オーガの側近と認められたくば―――
それが―――唯一無二の方法だ
ストライダムよ・・・殺すつもりで企め)」
 




要するに、恒例の接待戦闘でした



あんたもプロだよ! 接待のプロだよ!!

私だったら、いくら接待でもそんな暇を持て余した神々の遊びに命なんて賭けられませんもん


だって勇次郎のシナリオブレイカーっぷりを散々至近距離で見せられて、それで一年に一回殺しに来いときたもんです


撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだと、とある映画でおやっさんも言ってましたが、



勇次郎が「俺、絶対反撃しないからさ!」って笑顔で言っても嫌です。だって絶対痛くするもん


むしろ殺されないようにするため一年がかりの準備が必要になる勢いです

勇次郎の知己って、そこまでして保ち続けないといけない地位なのかと疑問に思いますが、



アメリカ軍人(勤め人)として避けられぬ戦いがあるんでしょう


ある意味、日本のサラリーマン以上に過酷です

そりゃピクルの前でも平気で全裸になれるし、多分裸踊りだって人前でできる

(バブル時代のイジメられっ子サラリーマンか)


そんなワケで、スネ夫がジャイアンを玩具で懐柔するように、

命がけの接待を毎年行っていたという新設定が加わったストライダムさん


よくこの年まで生きられたものだと感心する事しきりです


って言うか、一年間準備してた末とかならともかく、先週見てた限りではわりと思いつきで装備固めてましたよね


なんか、先週の行動には「満を持しての決意か!!?」って緊迫感がありましたが、毎年の恒例行事だと考えたらあら不思議

締切間際になって色々考えて「あ、そうだ。爆薬詰めればイケるんじゃね?」って思いついて行動したように思えてきます


きっと、軍人のみなさんをボコボコにしたのも自分がボコられる未来を考えての八つ当たりだったんだろうなぁ・・・


先輩にボコられた人が、また後輩をボコる。体育会系の悲しい伝統を垣間見た思いです



そんなワケで、一気に悲壮感が吹っ飛んだストライダムさん

戦闘に備えて、軽くステップを踏んで準備を整えてるといきなり声をかけられます



「おい・・・」

「オ”ブッ(解読不能)




ちょっとしたホラーの勢いで勇次郎が背後に立ってました



この人は、彼女同衾の息子の部屋にもこっそり忍び込んだり、

誰かをビックリさせる事にわりと全力をそそぐハタ迷惑な人なので友人やるのも大変です



そして、この時点で負けフラグな驚き方をして飛び退くストライダムさん

回転回避を行ってから、気を取り直すように勇次郎へ言います



「勇次郎・・・今回は―――」



その瞬間、火がついたように笑いだす勇次郎



「今回はなんだと!!?
いいッ 言わんでいいッ
去年は100年に一度の―――
2年前は類稀にみる―――その前は空前絶後の―――
まるでボジョレ・ヌーボのキャッチフレーズだぜ」
 



まぁ、あのキャッチフレーズコピペは何度見ても笑いますが、

とりあえずこの時点である程度接待が成功したような爆笑は取れてますね


しかし、一度笑わせただけで丸く収まるようなら、100人ぐらい知己がいるはずです

ストライダムさんぐらいしか知己がいない、ある意味海原先生より友人少ない『めんどくさいツンデレ親父』は、


いきなり表情を変えて、超高速のつま先蹴りでストライダムさんのマスクを蹴り上げます


基本的に動きがジャブより迅いわ気配が感じられないわそもそも筋力が凄まじいわ、

小学生が考えたチートキャラ並のスペックがある人なうえに、精神年齢はある意味幼稚園児だから相手するのも大変です


呆気に取られているストライダムさんに、勇次郎は言います



「ストライダム 約束を違えたな
勝てるハズがないと捨ててかかってるッ」



まぁ、わりとムチャ言うなって注文ですが

あんたの息子も、幼年編以降はあんたの前に立つたび負け犬の目になる

毎年毎年こんな命がけの遊戯に付き合えるだけ、接待軍人の鑑だと思うんですけど


しかし、ストライダムさんにはストライダムさんなりのプライドがあるようです

嘘を見抜かれた子供のような眼になりつつも、すぐ自分の装備に対する自信で復活します



「イヤ・・・・・・
(火薬を仕込んだこの拳を・・・ッッ
火薬を仕込んだこのツマ先を・・・ッッ
せめて一撃でもッッ)フフ・・・・・・
オーガと言えども人の子・・・範馬勇次郎らしくもない読み違い」
 



まぁ一撃当てても、わりとピンピンしてそうですけどね

むしろストライダムさんこそ甘い読みをしてるんじゃないかと


そりゃ登場したての頃は、鎬紅葉とのドアノブ回し対決で負けてましたけど、

そりゃ最強トーナメントでは腕っこきのハンター達に仕留められてましたけど、



今の勇次郎は、板垣先生の『だって勇次郎だから』補正がかかっているのです



宇宙の膨張速度と同じスピードで成長すると言われてる勇次郎の成長っぷりを一言で表すなら、



最初は空手の教科書読んで大会に出て勉強してた主人公が、



最近では巨大カマキリと妄想の中で戦うぐらいの成長っぷりです



ぶっちゃけ、如意棒伸ばして戦ってた少年が、瞬間移動と元気玉を駆使して攻撃してくるぐらいに厨二的成長(パワーアップ)してます


まともに戦うつもりなら、せめて斬魄刀ぐらい装備して立ち向かわないと

もしくは、ギャグ漫画キャラに特化して火薬が直撃してもアフロになるぐらいで済む体質にならないと


とても現在の勇次郎の相手はつとまらないと思います


下手すると、作者が畳み続けてる風呂敷を突き破って成長する男。それが範馬勇次郎なのですから


で、そんな甘い見通しをしていたストライダムさん

ちょっと離れた所に、先程蹴りあげられたヘルメットが落下したのを目撃します


なんか、「あれ? なんでこんなに長時間浮いてたの? 勇次郎ってこんなパワーあったっけ?

とか考えてそうな間抜けヅラになってしまっています。さらに呆けていると、


蹴りあげられた時にすでに当てられていたのか、

ストライダムさんが火薬攻撃を当てるまでの時間稼ぎに用意した防具が、

ファウルカップに至るまで真っ二つに割られてしまっています。衣服が残っていたのはせめての情けでしょうか?



「読み違いが・・・・・・
どうしたって・・・・・?」
 



まぁ、そりゃこうなるわな・・・・・・



だって、言っちゃ悪いですけど準備の時間がやっつけ過ぎですもん

どうせ毎年の事なんだから、もっと「やり過ぎ」なぐらい仕込んでおけばよかったのに


まるでコミケ当日に「ネタを用意する時間が無かったから、とりあえず土下座しよう


とか考えた私のようなノープランさです。しかも、土下座して写メられたら机の影で頭が隠れるぐらいのやっちゃった感があります


うん、とりあえず土下座しよう。それしかない。そんな諦めムードが漂う中、不敵にストライダムさんが笑い始めます



「オーガよ・・・・・・読み違いも甚だしい
わたしはね・・・・・・

(たった今 捨てたのだよ)Aッchiiッ」
 



決まり手―――自爆



そして、ささやかな花火を用意して、ストライダムさんは二人の友情を祝いましたとさ。めでたいのかこれ?めでたいのかこれ?


ちなみに、見開きであれだけ熱いアオリを載せてくれた編集さんはこんなコメントを最後に残してくれました



『完全武装で挑むも完全敗北!!
しかし、約束は果たされ―――2人の友情は来年まで安泰か!!?』
 




いや、「安泰か!!?」って言われましても。知らんがな


とりあえず、勇次郎も満足してるのか呆れてるのか無言ですし

この後、二人でクリスマスケーキ食べながら残念会でもする事になるんでしょうか


とにかく、年末最後の2週かけた出オチと言う事で、

接待って大変なんだなぁと。お父さんの苦労がしのばれるような話でした


ストライダムさんは、ヌーボーみたいに来年もこんな一発芸をやる事になるんでしょうか?


いっそ、バキ君に弟子入りして『接待の席で使えるリアルシャドー』とか教えて貰った方がいいのかもしれません