餓狼伝BOY
最終話 『最強』
最終回は相撲取りの尻の見開き絵で始まる
この清々しさが板垣イズムです
投げっぱなしになった設定については忘れましょう
ともかく、先週切雨先生の張り手を食らい、吹っ飛んだ丹波君
なんか表情もうつろげで、このまま決まっちゃうんじゃなかろうかとさえ思えました
しかし、最強を目指した丹波君に何かが微笑んだのか、
吹っ飛んで地面に叩きつけられながらも、反動で偶然立ち上がります
あるいは、執念が足を動かしたのか、ともかく勝利の女神は丹波君を見放しませんでした
ギャラリーは無責任に喜んでますが、ハルヤさんと木戸君の視線は真剣そのもの
満身創痍、もはや立っているだけでも辛いであろう丹波君に残された手はあるのか!!?
「(あ・・・・あの貌ッッ)」
丹波君必殺、思わず殴りたくなる貌ッッッッ!!
当初から、どんな顔をしたんだろう? と興味津々でしたが、
そりゃこんな貌見せられたらぶん殴りたくもなるわ
だって例えるんなら、餓狼って言うよりチュパカブラだもん
ハルヤさんも「ア〜〜〜・・・・」と「出ちゃったか」みたいなノリです
とりあえず、ギャラリーがこの顔に怯えて空き缶や小石をぶつけないか心配です
そして丹波君が嫌な顔のまま歩いてくるのを見て、いきなり背を向ける切雨先生
「喧嘩やりにきたんだ
殺し合う度胸はねェ」
え? 思わず、私もギャラリーと同じ声を発してしまいます
目を丸くしながらコマを追っていくと・・・
「ハルヤさん」
「勝負ありだ」
丹波君が勝っちゃったようです
この逆転勝利に沸くギャラリー達
「スッゲェ〜〜」
「やっぱスゲェよタンバさんは」
「ホンモノの相撲取りに勝っちまったよ」
「さすがタンバさん」
「やっぱ風天組は最強ス!!」
と、口々に丹波君を褒め称えます{最後のは何だ}
そして巻き起こる「タ」「ン」「バッ」コール
いいギャラリー達です。こんないいギャラリー達ばかりなら
正月早々マケボノ画像なんて流行らなかったでしょうに
しかし、ほんとによくこんな玄人好みの極地みたいな決着でここまで盛り上がれるもんです
あと、切雨さん本物の相撲取りじゃないって。お前らんとこ視察に来た教師だって
そして木戸君の前まで歩いてくる力士教師。通称ゼンラーマン{主演哀川翔}
「シンイチィ
嘘も百万回繰り返すと本当になるって――――――
あんのヤロウ・・・・・・たった一回で真実に変えやがったよ」
まぁ、その一回の前に積み重ねたインチキの山があるのですが
とにかく、この一回の死闘でついに丹波君は狼の皮を被った羊から本物の餓狼へと進化したようです
そしてハルヤさんを見やり、切雨先生がつぶやきます
「シンイチィ
オマエの友達・・・・強えヤツばっかりだな」
一目でハルヤさんの実力を見抜いた切雨先生
彼もまた一流。一流故に、あっさりと背を向けたのでしょう
そして「じゃあな」と言って去ろうとしてから振り向きます
なんか男前な顔に、木戸君も思わずドキッ!いい男・・・となります
「明日転出願い出すよ」
笑うような表情でそう言い残して去る切雨先生
思えば、切雨先生は本当の意味で負けた事が無かったのかもしれません
嫌な先輩をぶちのめし、因縁をつけるヤクザをぶちのめし、自分に歯向かう高校生もぶちのめそうとした
偽者の教師を演じて暴力を貫いた男が、
最強を演じて、そして最強を貫いた少年に喫した敗北
それが何か、切雨先生の心にささやかな変化を与えたのかもしれません
そう考えると、切雨先生はバキの死刑囚編で、
板垣先生が描き残した一つのカタチだったのかもしれません
・・・いや、別に切雨先生の存在意義をでっちあげようとかじゃなくて、何となく思った事なんですけど
あと、伊波さんはどうするんですか先生
初めてコレを読んだ読者は彼女を正ヒロインと思ったかもしれませんし
ただ暴力教師に手篭めにされるためだけに出てきたなんて、ちょっと可哀想な気がします
味の助に出てきた、顔射リアクションされるためだけに出てきた幼女と同じぐらい可哀想です
でもまぁ、ぶっちゃけいらないですしね
どっちかって言うと、ハルヤさんの娘さん以下の存在感ですし
はぁ? ネギま!じゃ何十人も女性キャラ出てくるのにこの漫画じゃ女性キャラほとんど出ないのはおかしい?
そんなに女性キャラみたいなら、バキSAGAでも読んでりゃいいじゃない
正直、板垣ファンの読者は伊波さんのその後よりも
末堂の安否の方が気になったりするもんなんですよ。人気投票最下位でしたけど
ともかく、切雨先生は去りました。もう二度と会う事もないでしょう
背中を見送る木戸君に、ハルヤさんが声をかけます
「おいボウヤ
はやく友達ンとこ行ってやんな
すぐに起こしてやるんだ」
そして丹波君と二人っきりになる木戸君
夜空には満天の星と、もし木戸君が梢江ちゃんだったら丹波君を押し倒しているシチュエーションです
「(陽もとうに暮れ
友達もハルヤさんもいなくなり
時の経つのも忘れ
彼の勝利を褒め称えていたその時――――
ハルヤさんの言っていた 長い眠りから目覚めた)」
この時の、なんか嬉しそうに語ってる木戸君の横で無表情のままの丹波君見ると、
パンチドランカーにでもなってるんじゃないかと思えますが、
『目覚めた』後も無表情のまま「勝ったんだ・・・・そうか・・・・勝ったか」とか繰り返してて
今にもアムロに旧型の回路を押し付けそうな感じです
「(失神しながらなおも勝利を掴んだ
そんなタンバくんに ボクは永い間暖め続けた
質問をする決心をした
最強を目指すボクの 最強の質問―――――)」
「タンバくん
仮に将来ボクが総理大臣になったとして
その時もしーーーー君とボクがケンカをして
この指で君に向けて 核ミサイルのスイッチを」
しかし、振り下ろそうとしたその指は丹波君の右手に捕まれ、
そして彼は左拳を木戸君の鼻先に近づけて言い放ちました
「一撃でKOだぜ」
「(最強の友がくれた
最強の回答・・・・・・・・・)
チクショー」
最強とは、この世全ての何よりも強い事
そのシュミレートの段階で、木戸君は負けてしまいました
まぁ、SPはべらせまくってガードするとか方法論の段階では色々ありますが、
それは置いておくとしても、「自分の方が最強だ」と言う迷いの無い丹波君の回答に思わず悔しがります
つーか核て。木戸君、それ日本の総理大臣が持てる権限じゃないですよ?
秘書A「総理、今我が国が核を保有しようとすれば世界中が黙っておりません! どうか考え直して下さい!!」
木戸首相「だってタンバくんに喧嘩で勝ちたいし」
こんな総理、三日で断頭台の露と消えます
え? 日本に断頭台は無い? 核がある方がよっぽどおかしいだろうが
ともかく、木戸君と丹波君の物語はひとまず終わりを見せました
最後の「チクショー」とか隣に座って笑ってる丹波君とか、個人的にかなり爽やかな終わりだと思います
まぁ、今後の木戸君がどういう活躍をするのか気になりますが
もしかしたら、再開した本編でも木戸君が現れるかもしれませんね
丹波が試合をする前に、大人になった木戸君が激励をしに来るとか
そうなったらBOYを読んでた読者にとっても嬉しいオマケとなるかもしれません
まぁ、原作の夢枕先生は怒るかもしれませんが
夢枕先生「おい板垣! なんだよこの木戸って。俺こんなキャラ小説に出した覚えねぇよ!!」
板垣先生「静かで・・・いい夜だなオイ」
夢枕先生「ワケの分からんノリで誤魔化そうとするな! それに俺こんな漫画の原作書いた憶えないのにいつのまにか原作者扱いしやがって! ここで最強に目覚められたら、斉藤先輩との絡みに違和感出るだろうが!!」
板垣先生「何言ってるんですか。読者は梶原の扱いですでに違和感感じてますよ」
夢枕先生「確信犯かお前! 不自然主義にも程があるぞ! だからあんまり無茶はするなって言ってるだろ、もうオリキャラは十分なんだよ! なんだよクライベイビーサクラって」
板垣先生「オリジナルは駄目ですか・・・じゃあ、久我の出番もうちょっと増やしてバランス取りますね」
夢枕先生「『餓狼伝』に出てくるキャラ以外出すなって言ってるんだよ」
まぁ、こんな妄文はともかく、木戸君のエピローグは少々知りたくもありますが、
天内の生死から投げっぱなしにしてる板垣先生にそれを求めるのはちょっと酷かもしれません
とりあえず、最強を目指す少年達が出会って友情を深めた
それだけの話ですが、私としては外伝として爽やかな終わり口でよかったと思います