樫の木おじさんと桜邪の初心者でも分かるダブルクロス用語説明



「と言うわけで、ダブルクロス3rdに出てくる単語の解説をはじめまーす」



「そもそもTRPGってなんじゃいってヤツもいると思うが、それはリプレイにおいて別に重要じゃない。
このリプレイって読み物は、TRPGのセッション――ゲームをする事をこう呼ぶ――の様子を文章化したものだ。
TRPGに興味が無いヤツは、とりあえず演劇の台本を読むような感じで、まずは無料で楽しんで貰えればそれでいい。
そしてハマった奴から課金と言う名目で金を搾り取っていくという業界のシステムよ……



のっけから初心者をドン引きさせる与太を吐くのはやめて下さい」(ハサミを眉間めがけて投擲)



「みんなで1つのドラマを作るゲームをしている様子を文章で再現するのが『リプレイ』と言う読み物だ。
リプレイに出てくる基本的なゲーム用語を解説するので、ゆっくり読んでいってね!」(額からハサミを生やしながら)


『PC・PL・NPC・GM』



「これはダブルクロスに限りませんが、以降リプレイではこのように略して表記します

PC(プレイヤーキャラ)、PL(プレイヤー)、NPC(ノンプレイヤーキャラ)、GM(ゲームマスター)」



「PCを操作するのがPL、GMは物語を進めつつNPCを操作するとかそんな感じだな」



「ちなみにPC1って書くと1人目のPC、つまり主人公的立ち位置のPCって意味になります。
一般的に、このPCの隣につく番号が若い人ほど物語において重要な立ち位置とされますね」



「ゲームマスターってのは進行役だな。ゲーム中、ルールの裁定役をしたり物語の筋書きを作ったりする役目の奴だ。
まぁ、このリプレイの中ではGMと言えば大体が仕切り役をやってる大吉マスター21の事になるな」


『ダイス』



「TRPGは、乱数を使って行動の成否を判定するゲームです。よって、乱数を便利に表現できるサイコロを多用するわけですが、このサイコロをダイスと呼びます」



「ダブルクロスでは、主に10面体のダイスを使って判定する。ちなみにnD10と言う単語が多く出てくると思うが、これは「10面体ダイスをn個振る」と言う意味だ。ちなみに20D10とかそういう大きな数字がドカドカ出てくるからな」



「ダイスの出目が一定以上だと、「クリティカル」が発生し、出目の総計が大きくなるのがこのゲームの特徴です。
理論上、高い出目を出し続ければ出目の総計が1000になる事だってありえるという夢の膨らむ仕様になっております」



「クリティカルしたダイスの数だけ、さらにダイスを振れるからな。クリティカルを永遠に続けられればそうもなろう。
ちなみにTRPG者はいついかなる場合でもダイスを携帯しているからな。体のどこかにダイスを隠していたらそいつはTRPG者だ


『シーン』



「ダブルクロスでは「シーン制」と言うものを導入してまして、これはドラマやアニメでの1場面のように舞台背景をはっきりさせる事でゲームにメリハリをつけようと言うシステムです。
ゲーム的には、シーンごとに「浸食率」と言うものが上昇しますが、読み手にとってはまぁ定期的に区切りが入ってるんだなぁと言う程度の認識で十分だと思います」



「シーンで区切るのが便利な例として、グダグダした展開をすっぱり打ち切れる事にあるな。まぁ、大吉マスター21のセッションでグダグダが無い方が珍しいんだが」


『レネゲイドウィルス』



「さて、いよいよゲーム設定の根幹とも言える存在ですね。このレネゲイドウィルスに感染すると、超能力が使えるようになります。PCは当然、このウィルスで超能力者になっています」



「ウィルス進化仮説ってやつか……どんな超能力が使えるようになるんだ?」



「はい、手から光線を出したり、動物の姿に変身したり、時間を止めたりできるようになります」



「それ全部をウィルスに感染したからで済ませるのは、『天狗の仕業じゃ!』に近い気がするんだが」



「要するにまぁ、スタンド能力に目覚めるようなものですよ。このウィルスは無限の可能性を秘めた凄いウィルスですから。地球上のほとんどの存在が潜伏的にこのウィルスに感染しているとも言われています」



「しかしレネゲイド(背信者)か。タイトルのダブルクロスも裏切り者と言う意味だし、PCである能力者は人間にとって裏切り者と言う意味になるんだな」



デビルマンみたいなものですよね♪ 人間以上の力を持って、人間達の平和を守るのです。このゲームでは、『日常を守る』がテーマになっているのでみんなの平和な日常を守るために裏切り者として怪物の力を振るうのがPC達です」


『シンドローム』



「PC達の使うレネゲイドで得られた能力は、シンドロームと呼ばれる区分でカテゴライズされています。
動物に変身する=キュマイラシンドローム、重力を操る=バロールシンドロームのようになってますね。要するに、ゲーム的には魔法使いや僧侶みたいな区分です」



「ゲームではこのシンドロームを組み合わせて、独自のキャラを作って遊んでるわけだな」


『ブリード』



「シンドロームは1〜3種類選んで組み合わせられるわけですが。これらを
『1種類だけ:ピュアブリード』『2種類:クロスブリード』『3種類:トライブリード』と表現します
前述を参考に重力を操る動物に変身する能力者、だと「キュマイラ/バロールのクロスブリード」と表記されます」



「取り方によって色々得られるデータも違うんだが、それはまぁゲームをやってのお楽しみだな」


『オーヴァード』



「PC達のような、レネゲイドウィルスの力に覚醒した人間の事をオーヴァードと呼びます。理性を持って怪物の力を振るう人達ですね」



「敵として出てきてもまだ交渉の余地がある連中って事だな」


『ジャーム』



「そして、レネゲイドの力は諸刃の剣です。レネゲイドウィルスの力を使いすぎると精神がウィルスに浸食され、ジャームと呼ばれる怪物になってしまいます。ジャームは一見して変わらないように見えますが、すでに精神構造が人間とは変質し、分かり合う事のできない異質な存在です」



「要するに、PC達にとって完全な敵ですよって事だな」


『浸食率』



「レネゲイドによる人体の浸食率が高いほど、大きな力が使えます。しかし、浸食率が高すぎるとジャームになる危険性があります。ゲーム的に言うと、1回のセッションのエンディング前に浸食率を下げるチャンスがあって。そこで浸食率が100%を超えたままだと、ジャームになってしまいゲームオーバーです」



「PLが「ギャー! 浸食率が高すぎる!」とか悲鳴を上げてたら、そういう理由で慌てているって事だな。
ボスとの戦闘では浸食率が高い方が有利だが、高すぎてもゲームオーバーの危険性ありって事か」


『エフェクト』



「PC達が使う能力で、シンドロームごとに設定された呪文のようなものです。
マジックポイントを消費するのではなく、エフェクトを使用するごとに浸食率が上がります。上がり過ぎたら困るので、エフェクトも使いすぎには注意って事ですね」



「エフェクトは組み合わせる事で強力になる。これを「コンボ」って表現したりするそうだ。
また、浸食率が大して上がらない「イージーエフェクト」や、必殺技的な「○○エフェクト」って単語もあるが、要するに弱い呪文とか強い呪文を使った、的な意味だ」



「ちなみにある意味一番よくつかわれるエフェクトで「ワーディング」ってものがありまして。
これは「一般人を無力化できる」と言う便利な能力なので、目撃者を気絶させたり人払いしたりするのに使います」



「PCがやたらと「ワーディングを張ります!」って宣言しようとしていたら、それは一般人避けをして面倒を避けようとしてる場合って事だな」


『ロイス』



「オーヴァードが浸食率を下げるために必要なのは、「自分は怪物ではない。帰る場所がある」と強く思う事。そのために必要な絆をロイスと呼びます。
ゲーム的に言うと、最高7個までロイスが持てるので、それをキープしておいてエンディング前にバックトラックと言う浸食率を下げる行為をするのです。
ロイス1個あたりで1D10の浸食率が下げられ、ゲームクリアで得られる経験点を放棄する事でさらに2倍、3倍と浸食率を下げる倍率を上げられます」



「物語に言うと、自分と日常とのヨスガである絆を大事にしているように見えて。ゲーム的にはいかに絆をリソースとして抱え込むかにPLは終始しているんだな」



「特に制限が無い限り、PCは望む相手とロイスを結べます。自分にとって相手はこんなにも大事だと、アピールするんですね。
「シナリオロイス」とか「PC間ロイス」とか、GMが「この相手と絆を結んでおいて」って指定するロイスも多いですけど」



「とにかくロイスと言えば読み手にとっては「大事な絆」の事でも、PLは戦力としてカウントしてるからたまに絆の安売りするから気をつけろって事だな」



「あと、ロイスは対象へ抱く感情をポジティブ(P)/ネガティブ(N)と表現します。ロールプレイするための指針ですね」



「まぁ、読み手にとってはあんまり関係ない部分だからPCは絆(ロイス)の対象に複雑な感情を持ってるぐらいに思えばいいよ」



『タイタス』



「ロイスは、相手との関係性が変わる事でタイタスと言うものになります。相手が死んでしまったり、相手との絆を振り切ったりするんですね」



「そうする事でゲーム的に有利な効果を得られるんだな。タイタスは、ゲーム的に言うと「クリティカル値が下がる」「振れるダイスが下がる」などの効果が期待できるから、結んだ絆を戦闘に勝つためにタイタスにしたりすると。
PC達は口では絆が大事だ日常を守れと綺麗事を言うが、PLは戦闘に勝つために「じゃあボスにロイスを結んで絆を得て、その絆を即タイタスにしてリソースに変えまーす」と絆を戦力としか見ていないと!!」



「……商業リプレイだととてもじゃないけど説明に出せない台詞ですねぇ。いや、おおむねその通りなんですけど。
リプレイの中では戦闘中に「○○にロイスとってタイタス切ってパワーアップ!」とかよくやると思うんですけど、そういう事ですね。
タイタスはロイスに戻せず、浸食率を下げる効果にできないので、ロイスはロイスで必要なんですけど」



「読み手は生暖かい目で、PLが絆の力を戦闘用リソースとしてやりくりしている様子を見て、
「この戦闘に勝って日常を守るために絆を力に変える。自分が日常に帰れなくなっても構わない!」と言う覚悟として汲みとれって事だな」


『Dロイス・Sロイス・Eロイス』



「ロイスにも種類がありまして。自分の能力を強化するDロイス、最も大事なロイスを表現するSロイス、ジャームだけが使用できるEロイスなんてものがあります。これらはまぁ、ゲーム的な違いなので。○ロイスって単語が出てきたら「あぁ、特殊な絆でパワーアップしてるんだな」って感じに受け取っていただければOKです」



「毛色が違うのはSロイスだな。これはPCが持っている一番大事な絆だから、シナリオにギミックとしてよく使用される。
ゲームを知らない初心者は、通常のロイス以外はSロイスが特別な絆だってなんとなく思っておけば読み易いだろうな」


『UGN』



「で、PC達は怪物から日常を守るために戦ってるんですけど。そういう人達の互助組織をUGN(ユニバーサルガーディアンズネットワーク)と言います」



「味方の組織って事だな。ゲームでは味方の組織なんて盤石じゃなかったり敵が紛れてるのが当たり前だったりするが」



「まぁ、その方がゲームは面白くなるんですが。一応、心構えとしては「こいつらは味方だ」って記号だと思ってもらうとやりやすいですね。
PCの中には、「UGNチルドレン」と言うUGNに教育された若い戦士がいたりしますし。彼らは日常を守るため、自分達の日常を少なからず犠牲にしている戦士達なのです」



「UGNで直接働いてる人間が「UGNエージェント」、囲われて育てられてるのが「UGNチルドレン」、外部協力者が「UGNイリーガル」と呼ばれるそうだ」


『FH』



「対して、このFH(ファルスハーツ)と言う組織は、レネゲイドの力で自分達の欲望を叶える事を最優先にした敵です。
ダブルクロスでは基本、UGNとFHが戦うって構図が一般的ですね。FHが欲望のために日常を破壊しようとし、UGNがそれを防ぐって感じで」



「悪いジャームがたくさんいる悪い組織だから正義の力でぶっ飛ばせ!ってぐらいに思っておけって事だな」



「そうですね。実際にゲームしてたら他にもいろんな組織があったり、FHも解釈が色々あったりで複雑なんですけど。
そういうのはリプレイの中で説明してたり実際にゲームやる時の個々人の好みだったりするので、基本はそれでOKだと思います」