バキ
第274話『戦士』

巻末の板垣先生曰く、『刃牙誕生14年、最終章近し』

よくもまぁ、14年もこんなに人を殴ったり殴られたりしたものです


そのうち、5年ぐらいは主人公の出番が無かった期間も含まれそうですが


最大トーナメント編あたりか徐々に、『バキ』になってから一気に出番減ったからなぁ・・・


ともかく、そんな強さと引き換えに自分の影を薄くしていった男が、
ようやく超えるべき目標に最後の宣戦布告をし、恋人と共に試合場を後にします


アオリは「勝者とその恋人、
静かな空気が二人を包む――――――!!」となってますが、

二人の様子見てると、単に倦怠期で会話が無いようにしか見えません



「強いね バキくん」


沈黙に耐えかねたのか、バキに言葉をかける梢江ちゃん

しかし、あくまでバキ君は無視。頭の中は勇次郎のことでいっぱいなのでしょうか


歯痛のように梢江ちゃんの事が消えなくても、
勇次郎というさらなる痛みのせいで歯痛を感じられなくなってるのかもしれません



「イッパツで終わらせちゃった たったイッパツ」


無視されたのが悔しかったのか、ちょっとイヤミっぽく言う梢江ちゃん
まぁ、実際は最初に殴ったりチョークスリーパーしたり色々あったのですが

やっぱりこれはJrのジュニアに未練があって、
Jrの(男性機能を)イッパツで終わらせちゃったと言う意味でしょうか?


いえ、もしかしたら、最近はバキ君が淡白なことですし
自分との情事も最近イッパツで終わってると言う皮肉をこめた寓意なのかもしれません


そんな梢江ちゃんの皮肉げな物言いにカチンときたのか、バキ君が言い返します


「彼は立派な戦士だったよ
逆に俺がイッパツで倒されかねないほどにね
そんな言い方をしちゃダメだ」



・・・あんた、先週「殺られて当然だ」とか抜かしてましたやん・・・
立派な戦士ってのは、単に腕力的な意味だけの表現で使ってるでしょうか?

なんか、Jrをねぎらってるように見えて、
梢江ちゃんに「外野に何が分かる」みたいな言い方してるだけのような気がします


SAGAまでラブラブに見えてたんですけど、
最大トーナメント決勝での「あんた達は大馬鹿よ」の認識の溝は埋まってなかったようです


そりゃ、バキ君的にはJrとの間に拳を交えて思うとこはあるんでしょうけど
傍から見りゃ一方的にバキ君が殺人しようとして、それを見て恋人が震えてたんですから
なんかフォローが欲しいところなのに、それに対してなんのリカバーもなければ、ただ突き放すだけ

なんか、勇次郎戦を前に余裕ぶってるように見えて、一切の余裕が無いようにしか見えません



「・・・・・・・・・・・・・・・
ゴメンなさい・・・・・・」



謝る梢江ちゃん。何も答えず水を飲むバキ君

ここはスネを蹴るなり石を投げるなりしても許される場面だと思いますが


恋人をないがしろにするバキ君に対して一方的に梢江ちゃんが謝罪する状況


田島陽子が見たら怒り狂ってチャンピオンを爆ぜさせそうな光景です



「次が・・・最後になるのね」


めげずにさらにバキ君に優しく言葉をかける梢江ちゃん。また水を飲み始めるバキ君


・・・・・・何この昼ドラを漫画化したみたいな状況・・・


なんつーか、読んでるこっちまで居た堪れなくなりそうな空気です


あと、一応漫画なんだから。絵で表現されてるんだから


ちょっとぐらい表情変えようやお二人さん


なんというか、能狂言みたいな世界になってます

少年誌の格闘漫画のヒーロー・ヒロインがこの調子なんですから、


そりゃ人間国宝の孫も四角いリングで空中元弥チョップかましますよ


しかし梢江ちゃんはくじけません
いつだってスタンド&ファイトとバキ君に声をかけ続けます



「嬉しい・・・
ホッとしてるわ」



最後の戦いを終えれば、もう戦う事はなくなる
殺される事もなければ、さっきのように殺す事もなくなるだろう

バキの身を案じる「女」として、心からの喜びを短い言葉と能面フェイスに込める梢江ちゃん


そしてそれに対して能面カップルの片割れの返答は・・・



「どこの家でもある親子喧嘩にすぎない
人に自慢できることじゃない」






会話を成立させようと言う気がありません


言葉のキャッチボールを成立させる気が皆無。ショーバンもビックリの大暴投です

むしろ、故意にデッドボールを狙ってるとしか思えないような棘のある言動
こんなもの、岩鬼だってホームランにできません。むしろアストロ超人野球の世界です


この突き放すような言動に、さすがの梢江ちゃんも愛想をつかせたのか



「なんか・・・
リッパになっちゃったなぁ・・・
ひとりで帰るね」



と、皮肉めいたコメントを残して帰ってしまいました

なんかもう、泥沼に首までずっぽりハマってる感じです


なんでしょうかバキ君のこの釣った魚への餌のやらなさっぷりは

以前、男と女も競争状態にあるとか偉そうに高説のたまっておられましたが、


この御方は勝負すらしていません。ヒロシからの挑戦状を受けた花山さん状態です


好意的に見ると、勇次郎戦に集中しすぎて他の一切を試合放棄したような感じですが、

そうやって全てを捨てるってのも少年誌の主人公が取るべき選択としてどうもなぁ・・・


なんかやりきれないものを残しつつ場面転換

バキ君に瞬殺され、廊下で四つんばいになって号泣するJr



まだ股間が痛んで歩けないんでしょうか?



顔の穴と言う穴から汁をあふれさせてなきじゃくるJr
戦いに対する意識の未熟さ、無様な試合、父親に救われる惨めな決着

ありとあらゆる要素が、Jrのプライドを完膚なきまでに粉砕したのでしょう


いつものクールな様子が微塵も見られず、ただただ子供のように泣きじゃくるJr


その顔も、さっきの能面カップルの対極の位置するぐらいドロドロに泣き顔に染まっています


数ページにもわたってただただ泣き続ける息子に対し、無言で背を向ける父親


かける言葉なんてありはしない。だからこそ、冷たく背を向ける

バキ君はどこの家にでもある親子喧嘩とか言ってましたが、
「闘い」と言うものの中にしかお互いの接点が無い範馬親子と比べて、
一度拳を交えたこの親子の関係には、親子だから通じる濃密な情があると思います


そして、偉大なる父親が去った後、
号泣し打ち震えるJrの前に現れるのは、我らがヒロイン梢江ちゃん
もしかしたら、策士なパパのことですから、梢江ちゃんの接近に気付いて席を外したのかもしれません


梢江ちゃんの存在に気付き、顔をあげるJr
その顔は、いつも梢江ちゃんに向ける爽やかな好青年の顔ではありません


玩具を取り上げられて泣きじゃくる子供のような顔
最愛の人を前に、もっとも見せたくないであろう姿を隠す事すらできない惨めな姿


そんなはじめてみるJrの姿に動揺したような様子を見せる梢江ちゃん

そして、その場にしゃがみこみ、Jrの目線の高さにあわせるようにして慰めの言葉を言います



「あなたは・・・・・・・・・戦士でしょ」



しかし、そんな梢江ちゃんの言葉を聞き入れる余裕もなく
Jrはその言葉を否定するように、顔汁を撒き散らしながらただ首を振るだけ


そして、梢江ちゃんの顔面を直撃するJrの汁・・・・・・・・・

・・・視覚的ダメージがエイケンとどっこいどっこいなのがなんですね


まぁ、梢江ちゃんの乳が激しく揺れるのとどっちがいいかと言われれば、どっちも嫌なのですが


ともかく、汁を浴びたショックで、
梢江ちゃんの中でJrの記憶が次々とよみがえります
バキ君の時といい、こいつら他人の体液浴びるとなんか化学変化でも起きるんですか?


なんというか、「ヒロインの涙で主人公復活」とか言う演出を虚仮にしてるとしか思えない汁コンボです



ともかく、ブラブラ振り子のように垂れるJrの鼻汁を見つめながら次々と今までのJrを思い出す梢江ちゃん


なんと言うか、催眠術にでもかかってるかのような状態です


ともかく、Jrの体液に感化されたのか、梢江ちゃんの目からも涙がこぼれます。そして・・・



「あなたは・・・・・・・・・・・・」


Jrのまったく偽らない素の姿に、
初めて見るその情けない姿に愛おしさを感じたのか、そのまま強くJrを抱きしめる梢江ちゃん


・・・・・・・・・パパ・・・息子さんは彼女に飽きてないかもしれませんが・・・



彼女が息子さんに飽き果ててしまったようです・・・


そして追い討ちをかけるかのように、次のページで告知される『バキ』最終回


まぁ、このままあと二回ほどで終わる事になると、

まずバキが勇次郎をボコボコにして梢江ちゃんを取り戻して、


それで夢オチでシメるしか無いと思うんですけど


まぁ、「そしてッッッ――!!!!!?」とかありますし、
バキ三部作の最終章がきて、そこで諸々決着つけて完結って感じでしょうか

なんというか、この土壇場で主人公の株大暴落と言うか、
この『バキ』って物語の主人公として範馬刃牙の存在がやけに希薄だった気がしますが、

最終章では、読者が感情移入できる「主人公らしい」バキ君の姿が見られるんでしょうか?


ともかく、あと二回で最終回になって、梢江ちゃんとも別れそうなのはまぁいいですが



ここでアライSAGAだけは勘弁して欲しいところです



とりあえず、新ヒロインとして『少林ツンデレ』烈先生とかどうでしょうか?(何がだ)