バキ
第240話『最強の称号』

擂台賽を終えて帰路につく観客達
結局、全ての試合が終わるのに夜までかかってたようです
と言うか、何を以って閉会宣言となったのかがいまいち不明なのですが
ひょっこり生きてた海皇が観客を驚かして締めたとかだったら、ある意味面白いオチだったでしょうが



「そもそもは――――
最強の称号「海皇」を手にするための大会だった
それが中国チーム対他国チームの団体戦へと変化し―――
遂にはその決着もあいまいなまま大会は幕を閉じた
しかし帰路につく観客達のその足取りは飽くまで軽く・・・・・・
その表情は飽くまで満足気で・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



とりあえず、グダグダになった擂台賽でも観客は楽しんでたようです。途中乱入とかありましたけど
私、正直アンガールズのコントで笑った事が無いんですけど、同じ類の面白さなんでしょうか

まぁ、観客は良い闘いが見られて満足だったのでしょうけど
その影で、わざわざ玉ピンで恥を晒されたり「ワケわかんねぇ」噛ませ犬だったり、
団体戦へと変化する過程で手を斬られてしまった人達の苦労があった事を知ってほしいものです


そして観客達が帰った後、閑散とした擂台に一人立つ勇次郎
郭海皇との闘いの後は確かめるように擂台に刻まれた傷跡を見つめています

と言うか、こういうのは主人公の仕事なんじゃないでしょうか
実際、最大トーナメントではバキ君が似たような事をやっていたわけですし

扉絵でニタついてる場合じゃないと思うんですが


まぁ、要らん子になっちゃった主人公はともかく、
擂台に一人たたずんでいた勇次郎の前に、郭海皇が姿を現します



「くそジジィ」


「流石は海皇」と認めても、自分を嵌めた相手に対する第一声は「くそジジィ」
憎まれ口を叩いても、いきなり襲い掛かったりはしないあたり海皇を認めているのでしょう


その無礼な言葉にも、郭は満足気に笑顔を浮かべます



「ホホ・・・よき擂台賽じゃった」


だからあんたがそれ言うと武術省の人達が浮かばれんのですが

結局、あの人達がとらされた責任って、何の責任だったんだろう・・・



「ともに意識し・・・
ともに尽くしあった
のう範馬海皇」



海皇の口から勇次郎へと贈られる海皇の称号
己は倒されなかったが、己よりは強いと心から認めたのでしょう

ともにワガママを貫き、ともに闘い、そしてともにサムワンをボコボコにした二人


この二人の間にも、また新たな『闘いの絆』が生まれたのでしょう







だからそれは主人公のやる事だろうがよバキ坊


毒で裏返してもらった相手放置したり二秒で倒してんじゃねぇぞ
結局、バキ君が療養してる間に勇次郎はまたさらに新たな強さを身につけた感じです

何ていうか・・・この中国編で、バキと勇次郎の力と心の器の差が、また開いちゃったんじゃないかなぁ・・・・・・・って・・・


とにかく、ちょっと驚いた様子の勇次郎に海皇はさらに続けます



「この郭 海皇が認めているのだ
堂々と名乗り上げたらよい 誰にも文句は言わせん
―――とは言ってはみたものの
この世でおぬしに文句をつける者など最初からおらんか」



まぁ、この二人に文句つけようもんなら、玉ピンされた挙句にさらにぶん殴られそうですからね

ワガママを貫き通しまくった二人の意見が合致したら、
2対60億でもこの二人の意見が通っちゃいそうな勢いです

しかし、海皇の言葉に、勇次郎は静かに異を挟みます



「中国全土の
中国武術に命を賭した者達の中から
たった1人だけが名乗ることを許される海皇の称号
たとえあんたを倒したとしても
俺が名乗ることなど誰も納得するまいよ」



「中国拳法を虚仮にしてぇ」と言い放って参加したものの、
その言葉の重みは十二分に受け止めていた勇次郎。よっぽどタチ悪いなそれ

海皇の称号は中国人達だけのものとでも言いたげです
そして、そんな勇次郎の言葉を、一部分だけ訂正する郭海皇



「倒しちゃおらんがの」


実力では劣っていても、あくまで自分は敗れてはいない
その武術精神に対する自負に、勇次郎も穏やかな笑みで返します



「ヘッ くそジジィ
気持ちだけもらっておくぜ」



海皇の「気持ち」を受け取り、擂台賽を後にしようとする勇次郎



「オーガよ
100年経ったらまた闘ろうや」



あまりにも大きい海皇の器
劉海王は、100年生きて、「もう半分生きたか」と言いましたが、
郭海皇はさらに100年生き、それで勇次郎と戦おうなどと大口を叩きます

その言葉に、満面の笑顔を浮かべて去る勇次郎。その後姿に、海皇は思います



「ワシも・・・呼ばれてみたいのォ・・・
地上最強の生物・・・・・・」



「最強の中国拳法家」の称号である『海皇』ではまだ足りぬ「地上最強の生物」の呼び名


これこそ、海皇もみとめる「最強の称号」と言ったところでしょうか
海皇ですら憧れる呼び名を持つ男の背中は、あまりにも大きなものでした


そして場面は変わり、大空を飛ぶ一機のヘリコプター
中に乗っているのは、寂先生と、サングラスかけて不審者全開の烈先生

そして、『ヘタレ主人公』『エロボケ』の称号を持つ我らが主人公
恋人である梢江ちゃんを腕に抱きながら、なにやら考え込んでる様子です

いやぁ、周囲のウザったそうな空気が目に見えるようですね
多分、烈先生がわざわざ似合わないサングラスかけちゃってるのも、

見たくないもんが機内になるからなんでしょうね
寂さんが烈先生の方に熱い視線を向けているのも、対面を見たくないからなのでしょう


ともかく、我らが主人公殿は何を考えているのかというと―――



「勝てるとか―――
勝てないとか―――
そういう次元のハナシではない
やれる理由もやれぬ理由も
無限に用意 用意できる
だからやる・・・・・・時期が来た!!!」




無理無理無理



なんか今、読者の心が一つになった気がします

いやね、今週は普通に「100経ったらまた闘ろうや」って台詞が最燃えだったんですよ


それで、主人公が最後にどうオチつけてくれるか、楽しみではあったんですけど


つーか、つい数時間前に調子に乗って親父に吹っ飛ばされて、
決勝戦でなんか負け犬の目で憧れたように親父見てたばかりじゃないですか

なんていうか、スーパーサイヤ人になった悟空にヤムチャが挑むような理不尽さです


勝てるとか勝てないとかって次元じゃないってのはそういう意味ですか?

もしくは時期が来たって、死ぬのにいい日だとかそんなオチですか?


多分、「時期が来た!!!」の辺りでほぼ全読者が

「調子こいてんじゃねぇぞ小僧ッッッッ!!」って叫んだと思います


今までの一連の展開の後でバキが勝てる要素が見つからんのですが
もしこれでバキが勝てたら、それはまず夢オチか地獄甲子園オチとしか思えませんし

勇次郎に負けちゃって、「やっぱり親父には勝てないや!」とかだったら
私は「幼年編は無かった事にして下さい」とか感想で書きかねません


とりあえず、来週が楽しみなような怖いような気がするのですが・・・どう収集つける気なんでしょ板垣先生?


やっぱり、バキが返り討ちになってタイトルが「ユウジロウ」になるとかなのかなぁ・・・?