バキ
第238話『鬼哭』

ライオンの牙が獲物を噛み砕くような勢いで勇次郎の拳が海皇に迫ります
普通は走馬灯で、五万日の武術生命を振り返ってしまいそうな程の確実な死の状況

まさに絶体絶命。バキ君の主人公生命と同じぐらいピンチな状況です


果たして、海皇の生命の行方やいかに?

そして、本当にズボンを下ろすのか?{下ろしません}


先週から引き続き、うなる勇次郎の全力の一撃
獲物に飛び掛ったライオンがその牙を止める事はありません
しかし、何故か勇次郎の拳は海皇に触れる寸前で寸止めされてしまいます

風圧だけを浴び、大きく歯がむき出しになる海皇
その様子を見て、やや呆然とした表情になる勇次郎
別に寸止めによる決着を望んでいたわけでは無さそうです

何がなんだかわからない様子で「?」と見ている主人公
ある意味読者の気持ちを代弁してくれていますが、ヘタレ街道まっしぐらです


そして次の瞬間、擂台に勇次郎の絶叫が響きます



「バカかてめェェッッ」


真意のつかめぬその叫びに、言葉も出ない観客達
海皇も同じように黙って立ち尽くしていますが、何か様子がおかしいです

目に生気が感じられないと言うか、魂が抜けているような状態です



「ふざけんなアァッッッ」


物言わぬ郭に浴びせられる勇次郎の悲鳴にも似た叫びで、
ようやく観戦していた他の格闘者の皆さん達もその異変に気づいたようです



「なにィ・・・」「バカな・・・」「エ・・・・・・」「ウソだろう・・・・・・ッッ」


予想外の事態に、龍さんも「バカな・・・」とか普通にコメントしちゃってます
烈先生も珍しく心配そうな顔です。バキ君がヘタレ顔なのはいつもの事ですが


そして、一応まだ試合中ですが緊急のドクターチェックが行われます
瞳孔の開き具合を見て、脈をはかって、そして医者が下した判断とは・・・



「老衰です・・・」






あなたはこんな顔で死ねますか?


〜地獄擂台賽〜完


なんと、海皇は試合中に老衰で死んでしまいました
やはり、100歳過ぎてから春成を仕込んだせいで寿命が縮んだのでしょうか?

あまりに予想外な幕切れに、呆然として涙を流す観客達
そして、極上の餌を堪能する寸前でお預けを食らい、悔しそうに身を震わせる勇次郎


まぁ、流石に戦闘中に殺すのは慣れっこでも、
戦闘中に老衰で逝かれるのは初めての経験なのでしょう



「な・・・・・・
なにも・・・・・・・・・
なにもこんなときに・・・」



親父の無念さに呼応するかのようにバキ君も悔しがります
烈先生も、海皇のあまりにあっけない幕切れに悲痛な表情になってます


でもまぁ、これでバキ君も読者の痛みを分かってくれたのでよしとしましょう



ドリアン戦で白熱している時に梢江ちゃんとデートシーン
本誌の盛り上がっている流れをぶつ切りにしながらのバキSAGA
その他、諸々の読者に対する精神的ブラクラ行為の数々・・・


ようやく、バキ君にもその「なにもこんなときに・・・」と言う気持ちを味わってもらえたようです


そして、気の抜けた表情をしながらタンカで運ばれようとする海皇に背を向け、
日米連合軍の待つ入場口まで歩いて帰ってくる勇次郎。烈先生が混じってるのはご愛嬌でしょうか


そして、微妙な表情で出迎える面々に一言



「フン・・・くたばっちめェやんの」


嘲るように言いますが、一同の表情は曇ったままです
勇次郎に道を空けながら、微妙な表情のまま心中でつぶやきます



「{これは・・・勝利なのか?}」


有利にすすめていたとはいえ、雨天中止のようなこの決着
1対0でコールド勝ちしてしまったかのようなやるせなさが残るのでしょう


勇次郎が去り、微妙な空気になったところで・・・

徐々に脈拍を取り戻す心電図の描写が入ります


安堵する先ほどの医師。驚愕する医療スタッフ。そして・・・



「武術の勝ち」



なんと、郭海皇は死んではいなかった!
ライオンに背を向ける事を恥じ入る草食動物はおりません
己を餌とするなら、恥じるのは獲物を逃がしてしまった獅子の方です


圧倒的暴力から身を守る術が武術なら、これは充分勝利と呼べるでしょう

まぁ、来週いきなり勇次郎が「ラウンド2ゥ〜」とか言って戻ってくる可能性もありますが{笑}


しかし五万日もかけて武術を極めた男になると、
スタープラチナで心臓を握りこむように自分の心臓を止められるんですかね

まぁ、仮死状態というのは弱い昆虫や小動物が稀に使う擬態ですし、
暴力をしりぞける集大成としてはある意味アリなのかもしれません


老衰で死んだ時は、嫌な方面で予想が当たったかとあせりましたが、
久しぶりに板垣先生の『予想を裏切り期待を裏切らない』を見せてもらえた気がします

これで来週、郭と勇次郎がどう動いて決着になるのか、非常に楽しみですね


とりあえず、ここまできたんですからやはり決着は、

どちらかがズボンを脱いで決着と言う事になるんでしょうか?{絶対ならん}