バキ
第229話『消力』
柔道の畑中におしっこポーズをさせ、
夜叉猿の生首で腹話術をやったパフォーマー勇次郎
その勇次郎が今、郭のメガネ乗せパフォーマンスに翻弄される!
こうなったらもう、勇次郎的にはただ虚仮にするだけじゃ気がすまないでしょう
きっと郭の攻撃を食らったら、実はバキ君と入れ替わってたぐらいのパフォーマンスはやってくれるはずです
まぁ、勇次郎のパフォーマンスや郭の消力も凄いですが、
たまに主人公なのに存在感を一切消してしまうバキ君は輪をかけて凄いと思います
ともかく、おちょくられたままで黙ってる勇次郎ではありません
手首に乗せられたメガネをそのまま宙に放り投げると、それを郭ごと蹴り抜くように蹴りを放つ!
しかし、その蹴りを食らい、郭はなおもフワフワと宙を舞って着地します
これがセルジオ・ジルバだったら地面につくまでに100回は回転していた事でしょう
「かわした・・・・・・!?」
「イヤ・・・当たっている
消力・・・それも凄いレベルだ」
勇次郎の蹴りを食らい、笑いながら外れたアゴをブラブラさせる郭海皇
やはりダメージがあったのか? と思った次の瞬間、なんと自らアゴを嵌めてしまいました
これぞ消力。きっとお笑い番組とか見た時も、
笑いすぎてアゴを外さないように予め外して笑ったりするのでしょう
「当たったときの衝撃を吸収するように
ワザと外していたんだ」
「・・・・・・・・・オヤジの打撃が・・・
当たっていたというのかッッ」
「それが消力だ」
なんだかんだ言って父親を認めているバキ君
かなり動揺しているようです。もう、意味不明な言葉で読者を翻弄する余裕すらないようです
「洋の東西を問わず
武術 護身術の要諦は古来より
かの剣豪 宮本武蔵の自画像にも表現される脱力にある
戦闘という命のやり取りのさ中に
全ての筋力を総動員させるハズの緊急事態に
赤子の手を扱うかのように 手にある卵を潰さぬように
そのように抽象される脱力の開眼に
古今の術者は腐心を余儀なくされる
緊急事態に―――脱力を!
言うは易し 行うは難し」
烈先生、いつもいつも他国民を下に見るくせに、いやに日本通です
武蔵の自画像とか言われても、多分バキ君の方が分からないと思います
バキ君に脱力云々とか言っても、梢江ちゃんとデートしてた時期の
あのやる気の無いツラすんのが精一杯だと思うんですけど
でもまぁ、難しい難しいとは言っても、緊急事態に脱力するのって意外に簡単かもしれません
だって私もこの前、6時間はかかるレポートを残り3時間で終わらせなきゃって時に
物凄く脱力しちゃってましたもん(現実逃避と消力を一緒にするな)
「究極とさえ言える範馬氏の打撃を目の当たりにしてさえ あの脱力振り
まるで宙に浮くティッシュペーパーに カミソリを振り下ろすような心もとなさ
今のわたしが真似るには 若すぎる」
まぁ、脱力と言うか烈先生の場合、緊急事態と言うか、
ちょっとからかわれただけでムキになって怒り出してしまうので、
確かに脱力するには若すぎるみたいです。寂相手にもう少し心を落ち着ける修行をした方がいいかも?
すると、突然バキ君がとんでもない事を言い出します
「・・・・・・ッッ
オヤジは本気で打ったのかな・・・」
バキ君、それは雑魚敵の台詞です
何と言うか、そのうち勇次郎が負けそうになったら
「範馬勇次郎が負けるはずがねぇ!」と擂台に乱入し、
そのまま一撃で郭海皇に吹っ飛ばされそうなパターンと言うか
つーかバキ君、重みのある台詞を言えと言ったら意味不明な事言って、
分かりやすい台詞を言えと言ったらドラゴンボールのヤムチャみたいな事を言い出す
なんかまだ毒が脳に残ってるんじゃないかと疑えます
そして烈先生は、そんな現実から目をそらす駄々っ子に優しく言います
「むこうの壁・・・・・・
消しゴムほどの重さしかない眼鏡が壁にメリ込んでいる
全力で蹴ったとみるのが妥当だろう」
ふと思ったんですけど、勇次郎がこうやって眼鏡ごと郭の顔を蹴っていたら、
眼鏡がめりこむ先は壁ではなく、郭の顔面だったんじゃないでしょうか?
つまり、郭は勇次郎の攻撃は直撃させ、眼鏡は回避していたと
必要最小限の表面積の蹴りを受け、衝撃は一切消力で消してしまったと
もしかしたら勇次郎も、衝撃の逃がしようが無い眼鏡メリ込みによるダメージを狙っていたのかもしれません
まぁ、深読みのしすぎかもしれませんが、
その方が駆け引きの妙ってのがあって良いと思います
どっちにしろ、駆け引き以前に勇次郎の蹴りが手抜きかどうかも見抜けないバキ君もアレですが
そして、勇次郎がさらに郭海皇にしかける!
踵落とし。あえて玉ピンの危険を大きくする大股開きによる攻撃です
まぁ、サムワンならこの隙に三度は玉ピンを食らうでしょうが、
そこは流石に勇次郎。電光石火の踵落としを郭の顔面に降らせます
しかし、郭は踵落としと食らって数回回転し、
軽やかに着地して、己が出した鼻血を舐めて余裕を振りまきます
「ホッホッホッ
たいしたものじゃよ強き人よ
鼻血を出すなんて何十年振りかの」
「弱点とされる・・・上からの打撃にも対応している・・・ッッ
つくづく・・・海皇・・・ッッ」
さすが烈先生。読者には難しすぎるこの現象を、
弱点を狙った勇次郎の意図とともに簡潔に説明してくれます
これこそが試合に出れないキャラの真の役割
戦力はそれ程でも、本部さんが愛され続けた所以でもあります
さぁ、烈先生のこの見事な働きを見て、バキ君はどう動くのか?
「オヤジの・・・技が・・・
範馬勇次郎が通用しないのかッッッ」
いやぁ、珍しいですね。ここまで小物臭のする台詞吐く主人公って
今まで我々読者は、勇次郎の親バカぶりに目がいってましたが、
こういうの見るとバキ君もバキ君で結構ファザコンなんじゃないかと思えます
別に世界最強でなくてもいいとか言ってましたが、
それでも勇次郎が地上最強でなくちゃ嫌みたいです
だったらお前が勝てるはず無いだろ
とりあえずバキ君は範馬勇次郎に挑むとか以前に、
勇次郎と絡むと途端に雑魚端役になる弱点を克服した方がいいと思います
ともかく、バキ君がもうダメダメになっちゃってる中、
突然勇次郎がドラッグがきまっちゃったような壮絶な笑顔で笑い出します
「ハハハハハハハハハ」
「・・・・・・・・・・・・」
「イヤ〜〜〜・・・・・・・・・
しょせんはお遊びだぜ中国拳法なんてものはよオ」
「ほう・・・」
突然、口で中国拳法を虚仮にし始めた勇次郎
これは一体どういう事でしょうか? まさか、消力を見切ったのでしょうか?
勇次郎ならまぁ、むしろ逆に消力が使えても不思議じゃないぐらいなんですが
流石に、ハッタリで怒らせようって作戦じゃないでしょうから、
来週はいよいよ勇次郎の本領が発揮して激戦に発展するのでしょう
まぁ、ハッタリでも烈相手なら充分に効きそうですけど
もし今の烈が消力使えても、この一言で簡単に脱力から解けそうですし
とりあえず、来週で一番嫌なパターンは、逆転劇があるにしろ無いにしろ
勇次郎が活躍しだした途端、烈先生とバキ君の言動が逆転してしまう事です