バキ
第225話『海皇』

今週、一抹の望みをかけてチャンピオンを開いてみましたが、

範海王はあのまま退場してしまったようです


・・・いやぁ、歴史にif(もしも)を求めるのは愚かな行為だと思いますが、


ひょっとして普通に擂台賽進めてたら、毛が二回戦に進出してたんじゃないですか?


なるほど。毛が海皇に口答えしてまで試合にこだわった理由もこれで分かりました


絶対拾える勝ち星を落としたくなかったって事なんですね?


まぁ、噛ませっぷりまで克己をトレースしたクローン人間はおいといて、
いよいよっつーか完璧に追い込まれてしまいました中国連合軍

果たして、これからどのような展開に繋がるのでしょうか?



「龍がオリバに潰され――
春成がバキに瞬殺
烈が寂に一矢報いたのも束のま―――
範がアライJrに一蹴ッッ」



まぁ、オリバと烈の試合はともかく、
左の2コマの試合に関しては、このダイジェストだけで充分って感じですね



「今現在ッッッ
全5試合中4試合を終了
3対1 つまりッ
中国連合チームの勝ちはなくなったのです!!!!」



アナウンサーが震えながらも力一杯叫ぶ残酷な事実
それが何を意味するかは誰にも容易に分かることです



「たとえ残りの一勝を得たとしても――――
我がチームの敗北は決定
誇り高き中華民国サポーターの落胆振りは救い難く――――
救い難く・・・・・・―――とその時」



拳法を誇りにする国の勇士が、他国の者に敗北を喫する
日本で言えば、柔道で金メダルが一個も取れなかったようなもんでしょうか?
まぁ、相撲を引き合いに出そうかと思いましたけど、アレはすでに外国人力士が幅利かせてますからね


ともかく、あまりの屈辱に悔し涙まで流すサポーター達
自国の負けが確定した途端に帰りだすサッカーのサポーターよりはマシですが


そんな中、突然闘技場に現れる一人の男



「勇・・・次・・・」
「日米勝ち残りチームのキャプテン」



勇次郎は困惑する観客達を一瞥すると、何故かいきなり演説を始めます



「5対0
全勝で終えて見せよう
それが――中国連合軍大将――
郭 海皇の言葉だ 約束は破られた」



破られたどころか、3敗もしてるから大破って感じですけどね
死者に鞭を打つような敵軍の大将の言葉に項垂れて静まる観客達
それとも、本能で寂の時みたいに口答えしたらヤバイと思ってるのでしょうか?


まぁ、もし物を投げようものなら、それを宣戦布告と受け取って観客を虐殺しそうな人ではありますが



「中国武術4000年の威信は
海王改め海皇の称号は
それでもなお 地に堕ちぬッッッ」



敵軍大将のこの発言に驚くサポーター達
そして、勇次郎から相手は立てる発言が出てビックリする読者達


えぇ? 何、この人さっきまで「中国4000年を虚仮にしてぇ」とか言ってた人よ?

それとも、今は持ち上げといて後で落とそうとかいうつもりなのでしょうか?



「中国武術史4000年―――
幾万 幾十万もの武術家が
己の思い描く功夫の完成を見ず消えていった
ある者は病に倒れ ある者は怪我に泣き
ある者は修行の苦痛に耐えきれず抜けてゆく
そして―――寿命・・・・・・
今ここに―――そのいずれの障害にも屈せず
完全を成した奇跡が存在する
過去ッ国手達人と呼ばれた誰もが到達できなかった頂へ
生れ落ちて百と数十余年
片時も武を忘れず離れず
道を歩みきった漢が存在するッッッ
おまえたちは誇っていい
郭 海皇は 中国拳法そのものだ」





誰だあンた



勇次郎が! 勇次郎が他人を褒めるために長々と演説を!!?

しかも言ってる事もまともです。「強くなりたくば食らえ」とかそんな内容じゃありません


意味深で捻った内容でもなく、直球ストレートにいい事言ってます
バキ君もどうせなら、こういう部分だけ学んでくれればいいのに


肝心な部分でダイジェストとカラー扉絵でしか出てきません
そんなんだから壁ごと外に吹っ飛ばされちゃうんだと思います


しかし、勇次郎もほんとに不自然なぐらい相手を持ち上げますね
とてもサムワンに気が弱い人なら自殺物の喧嘩の売り方した人とは思えません


一体、どうしたことか。まさか、梢江ちゃんの涙でも飲まされて性格が裏返っちゃったとか?


「おまえ達は誇っていい」ってんなら、
そんな存在に玉ピンされたサムワンも誇っていいのでしょうか?
まぁ、サムワンは、あんな扱いしてきた板垣先生に対して怒っていいと思いますが


そして、勇次郎の演説が終わる頃に合わせたように現れるのが、
中国連合軍総大将にして中国拳法そのものである郭 海皇その人です


と言うか、ちゃっかり出てくる辺り、この爺さんも試合する気満々だったわけで


勇次郎が言い出さなければ、「わしが中国拳法じゃ」とか言い出しかねません
もしかしたら、勇次郎はそれを見越して先にこういう嫌がらせをしたのかもしれません

勇次郎は大人気ないところが多分にあるので、自分を弱い扱いした郭に対しては嫌がらせを惜しまない気が(笑)



「ここで俺が敗れたなら―――
先に挙げた3勝など なんの意味も持たぬッッッ」



むぅ、つまりこれはアレですか。要するに、勇次郎的にも

全勝したかったけど、寂が負けてゲンが悪くなったので仕切りなおしたいと


道理で寂に対して何も言わなかったと思ったら、
あの時からこの演説の台詞を考えてたって事ですかね?

だとしたら、Jrが負けてたら「せっかく名演説を考え付いたというにッッ」と、
負けて帰ってきたJrと寂と、ついでにバキ君をボコボコにしかねなかったって事です

Jr、勝てて良かったね


ともかく、両雄が試合場に並び立ち、観客達も盛り上がります
そして、郭はノロノロと立ち上がると、ヒョイ・・・・と手をあげて観客にアピール


先ほどまでの落ち込みようもなんとやら。盛り上がる観客達
いやぁ、なんかこの二人、エンターテイナーの才覚も超一流って感じですね

まぁ、これが興行なら郭が勝って終わるのでしょうが・・・

勇次郎の事ですから、最終的に擂台賽が色んな意味でお通夜になりそうです


そして郭は、無言のまま自分が今まで座っていた車椅子を放り投げ、
それを合図としたかのように、試合開始の宣言がされます



「開始めいッッッ」


そしていよいよ、この大擂台賽のメインイベント


『海皇』VS『地上最強の生物』の死合が始まりました


いやぁ、楽しみですねぇ。楽しみですねぇ。楽しみにしていいんですよねぇ?(血を吐くように)


もう、もう「その間、実に二秒!」とか「ワケわかんねぇ・・・」とかは嫌ァァァァァァ!!


・・・まぁ、一抹の不安は残りますが、そこは板垣先生です
今までの単発試合は、全てこの試合のためだったと思いましょう。思いたい。思えるといいなぁ・・・(遠い目)