バキ
第190話『超回復ッッ』

中国の『ちょっといい話』に、こんなお話があります


ある偉い人がある夫婦の家を訪ねたところ大変歓迎され
亭主は自分のできる限りの豪勢な食事で彼をもてなしたそうです

翌日、男が帰ろうとすると、昨日いたはずの妻がいません
そして男は気付きました。「あの亭主は、自分をもてなすために妻を料理して出してくれたのだ」と

男は、亭主のもてなしの心にとても感激しましたとさ


まぁ、つまりは







先週から梢江ちゃんの姿が見えないのはそう言う事だって事で{えぇ!?}


もしかしたら、劉海王も料理されてるかもしれません


まぁ、そんな藤子不二夫A先生が書きそうなブラックジョークはともかく
烈は満腹状態になっているバキに対し、デザートの入ったバケツを突き出します

海原先生なら、「こんな器で飯が食えるか! 不愉快だっ!!」って叫びそうな器{バケツ}です


え〜、海原先生の名前が出た所で『美味しんぼ』の受け売り話になりますが

グータラ社員の山岡さん曰く
中国料理にとって『デザート』と言う代物は
フレンチのそれのように『有終の美を飾る』ものではなく

食べ過ぎた胃腸を楽にするための意味合いがある料理が作られるそうです


まぁ、バキ君も散々食べまくって胃腸もパンパンでしょうし
烈先生も、さぞ胃腸に優しいデザートを用意したのではないでしょうか?



「これは?」

「水だ」



W・A・T・E・R! WATER!!


ヘレンケラーもビックリです

デザートだと言われて出てきたのはバケツに入った水

一昔前のアメリカにおける黒人の扱いを思い出しかけました


その内容量を聞いてさらに愕然



「10リットルある
今の君に最低限必要な水分だ」

「飲めってのかよ10リットル」


バキ君が驚くのも無理はありません
炭酸抜きコーラならなんとかなるかもしれませんが
腹一杯飯を食った後で10リットルも水をガブ飲みした日には
ジャック兄さんもビックリのマックシングを引き起こしかねません


ちなみに、フランスでは水を30リットル飲んで自殺した女性の前例があるそうで
それに、一度に大量の水を飲むと、体内の浸透圧が下がって赤血球が壊れてしまうそうです


もし万が一バキ君に何かあったら大変です
柱の陰から様子をうかがっていた梢江ちゃんが飛んできて
烈は両手両足を封られ、口にじょうごねじ込まれて熱湯を流し込まれます

まぁ、そこのところは烈先生にも考えがあるようで



「そのままでは無理だろう
こいつを混入{まぜ}る」


そして取り出したるは、『果糖』と書かれた札の張られた瓶
まぁ、これで『毒繋がり』とかで砒素とか混入されたらたまったものではありません



「果糖 果実を精製した純粋な甘味料だ
約4キロ・・・量は多いが 吸収率は無類だ」


早い話がデザートは砂糖水って事ですね。カブトムシの方がまだいいもん食ってそうです

バキ君も思わず「・・・・・・・・・・・・・・・」と、黙ってしまいます
烈先生の行動がボケなのかマジなのか判らず、ツッコミ辛くなってるんでしょうか?

まぁ、デザートを『食う』つもりでいてこんなもん出されたら流石に二の句も継げないでしょうが



「毒が裏返り
恢復したとは言え
気味はまだまだ まるで完全じゃない」


そう言って果糖をバケツに混入し、素手でかき混ぜる烈



「おいおい・・・・・・汚ェよ」


烈先生の事ですから、トイレ行った後でも手は洗ってそうですが

さっき闘技場に乱入した時に劉の血とかが飛んでついてる可能性があります

まぁ、血液だけだったら別に問題は無いのですが

万が一劉さんがHIVだった場合、バキ君経由で梢江ちゃんにも感染する恐れがあるわけで


ちょっとした『神様、もう少しだけ』状態に突入してしまいかねません

でもそう言うのって、ドラマみたいでちょっとカッコイイですよね{そんなワケあるか


とにかく素手で砂糖水を混ぜる烈
と言うか、それだけ用意がいいんだったら
かき混ぜる棒ぐらい用意しておけばいいと思うのですが

やはり、「これがほんとの手料理だ」と、バキに愛をアピールしようとしてるのでしょうか?


多分、柱の陰から見てる梢江ちゃんを挑発しています



「本来はタンパク質やデンプンが望ましいが 時間がない」


さっきバキ君色々飲み食いしてましたが

あの中に肉や魚、ジャガイモや米などは無かったのでしょうか?

と言うか、砂糖水で済むんなら、さっきガツガツ食ってたアレはなんだったんでしょうか?


まぁ、『優しい』烈先生のこと、なんらかの気配りがあったのだとは推測されます
きっと、時間があれば、白米を咀嚼して甘くなった奴をバキ君に口移しで食べさせていた事でしょう



「14キロの・・・・・・砂糖水・・・・・・」

「奇蹟が起こる」


実際に起こっているのは遠回しなイジメのような気もしますが

むしろ14キロも砂糖水一気飲みできる方がよっぽど奇蹟のような気もします


しかしまぁ、バキ君も忙しいですね
梢江ちゃんとセックスしてパワーアップした次は
烈先生の砂糖水を飲んで奇蹟を起こそうとしています

そのうち小石を金に変える術を身に付けるかもしれません


そしてゴクゴクとバケツに入った砂糖水を飲むバキ君、その時・・・



「猛毒に冒され

極限まで衰弱しきった少年の肉体

そこへ闘争による更なる負担が加わり

人体最後のエネルギー貯蔵庫である

肝臓のグリコーゲンすらも底をついた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

闘争へ加え酷使に継ぐ酷使・・・・・・・・・・・・・・・

もはや破壊され尽くした少年の筋肉細胞達・・・・・・・

細胞達{かれら}は・・・復讐を誓っていた

次なる酷使に対する復讐・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


砂糖水を飲み干し、パンパンに膨らんだバキ君の胃袋

今ならボディブロー一発で死んじゃいそう
な気もしますが

吸収率の高い砂糖水を飲んだ事でバキ君の身体に急激にエネルギーが吸収され


バキ君の身体から水蒸気が噴出しました


衝撃の現象に思わずバキも「え・・・スゲ・・・・・・」と驚いています

烈先生も半笑い。きっと「こいつ、人間じゃねぇ」とか思ってるんでしょう


で、何でそんな現象が起こっているかというと・・・

「今後もし・・・・・・

同じ自体が起こったなら

必ず・・・・・・・・・必ず独力で乗り越えてみせる!!!

人ならぬ神の創造り給うた肉体・・・・・・

神の誓いし復讐に誤り{ミス}はあり得ない!

今 少年の肉体に空前の超回復が起ころうとしていた!!!」


とりあえず、サイヤ人が死にかけるとパワーアップするみたいなもののようです


と言うか、随分前向きな復讐してくれますね肉体さん
流石ガイア戦でも最後まで裏切らなかっただけの事はあります


首に板切れ突き立てられた仕返しに相手に火をつけた空手家とはえらい違いです


とにかく、バキは超回復中
やっぱり、ガリガリに痩せ細った肉体が
元のムキムキでギリシャ彫刻のような肉体に戻るのでしょうか?





なんか、増えるワカメみたいですね


そして所変わって郭と勇次郎の会話
車椅子に座り、しわがれた声で郭は勇次郎に言います



「飢え・・・・・・渇き・・・・・・焦がれ・・・・・・
足りないものに満ちあふれている」


それをつまらなそうに聞いている勇次郎
それとも、何か思い当たる事でもあるんでしょうかね?


とりあえず、美味いものが食えればそれでいいとか思ってそうな人ですけど



「抑えられぬ
イヤ・・・・・・抑えようともせぬ

弱い

ハネあがる衝動を抑える力を持たぬ
コントロールが効かぬ

人の人たる強さとは
闘争と武の歴史はつまり
そのまま湧きあがる衝動と本能との
対立の歴史に置き換えられる

君に見せてしんぜよう

人の人たる本当の強さ!!!」


そして郭が試合場の地を両足で踏みしめます

勇次郎にこれほど啖呵を切るのですから、相当の強さなのでしょう

さて、その犠牲となる哀れな海王は・・・








サムワン海王!!!


ま、まさか!? サムワン海王が試合場に!!?

てっきり控え室でオリバに不意打ちくらってのびてるものと思ってたのに!!?


まさに目を疑るような光景です



「目を疑るようなこの光景ッッ
国手ッ 郭 海皇が我々の目の前に立っていますッッ

出場自体がすでに奇蹟ッッ

立っていることがもう奇蹟ッッ

闘うなんてあり得ない!!」


何気にアナウンサーの言動が国手に対するものとは思えません

確かに、この年で戦闘なんてできる事はまさに『奇蹟』の一言

きっと若い頃、大量の砂糖水を飲んだに違いありません


まぁ、来週、どれほどの実力差を見せ付けてくれるか楽しみなのですが・・・

ここで一つ気になった事があります


サムワンの表情がどこかで見た事があるような・・・
渋川先生と対峙した時のロジャー・ハーロンのような・・・いや、違う
むしろシコルスキーと対峙した時のオリバのような・・・圧勝を確信した笑み・・・って・・・








勝つ気か貴様ァァァッ!!?



駄目です。無理です。砂糖水100リットル飲んでも起きない奇蹟です


それともまさか本当に自分はサム・範馬海王だとでも言うつもりでしょうか?

まぁ、純粋に自分が噛ませ役だと気付いてないだけの悲しいピエロなんだと思いますけど

ある意味、来週どんな妄言が飛び出すのか楽しみです。頑張れサムワン! 多分君の見せ場はそこだけだッ!



とにかく、郭さんの強さも視認してみたいので


せめて3コマは持って欲しいと思いました