バキ
第181話『劉海王』
沖縄の方じゃ豚の頭の皮剥いだチラガーって食材があるそうですが
なんか偉そうな老人の手に持たれた劉海王の顔の皮もまさにそんな感じ
いい感じに熟成されてそうですが、とても食べる気にはなれません{当たり前だ}
むしろ煮ても焼いても食えそうにないのは勇次郎の方ですが
まさに闘神の如き強さを見せ付け、観客を黙らせてしまいました
「な・・・ッ
なんという・・・・・・」
偉そうな老人もこの惨劇に思わず顔を歪めます
そしてキッと惨劇を起こした張本人に視線を向けると・・・
「「勝負あり」ってところだろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・とりあえずは」
あくまで左手はポケットに入れたまま
しかし、血に濡れた手はまるで抜き身の刀のような存在感を纏わせています
「退場するぜ」
小坊主達の手によって連れ出されようとする劉を尻目に
薄笑いで宣言すると、右手についていた血を吹き飛ばします
その様子を声も出せずに見守っている観客達
すると突然、その静寂が破られる
「範馬勇次郎ォッッッッ」
蛮声とともに何者かが闘技場に降り立つ。それは・・・
「烈だッッ」
「烈 海王が出てきたぞッッ」
なんと言う絶妙なタイミング
出待ちしてたとしか思えないぐらいの絶妙さです
闘技場にテレビカメラとかが設置されているとは思えないし
控え室に試合結果の報告がいったにしてはいささか早すぎる登場なので
もしかしたら蛮勇のままに勇次郎の試合の様子をのぞき見していたのかもしれません
以前バキに技見られた事で敗北しましたからね
今度は逆に自分が技を見てやろうと思ったのかもしれません
そしてそんな烈を見て、勇次郎は嬉しそうに微笑みます
「ほう・・・」
「きさま・・・・・・ッッ」
「ん・・・?」
「どうした・・・・・・・・・・・・お呼びじゃねェぜ」
いつもの勇次郎ジョークで烈を挑発します
しかし、呼んでもないのに烈先生が出てくるのはいつもの事です
もしかしたらそのうち飢狼伝にも出てくるんじゃないかってぐらいのでしゃばりっぷりです
「わたしと闘えッッ
今すぐこの場でッッ」
今にも手裏剣を投げ出しそうな迫力で叫ぶ烈
最大トーナメントで克巳に食ってかかっていた時といい
基本的にトーナメントとかそう言う待ち時間の長い試合には向かないようです
そして烈の提案に、まさに鬼の形相となる勇次郎
さすが宇宙の膨張と同じ速度で成長する男。目の色が白黒反転したり
出番が少なかった間に顔芸を身につけていた様子です
そしてゆっくりと左手をポケットから出す勇次郎
烈を劉以上の実力者と認めているって事なのでしょうか?
「これはこれは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
願ってもない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ゆっくりと戦闘体制に入る勇次郎
「シュザッ」と瞬時に構えを取る烈海王
突然のスペシャルマッチに観客も歓声をあげます
トーナメントなんだから誰か止めろよと思わないでもないですが
まぁ、このワガママコンビ止めるぐらいなら
刃牙と梢江ちゃんのセックス止める方が楽そうですし
どうせ見る事しか出来ないんだから楽しまにゃ損だって事でしょうか?
しかし、その歓声も突然ピタッとやんでしまう
なんと、劉海王が立ち上がって二人を制止しているではないか!
その迫力たるや、小坊主どころか烈も思わず冷や汗とともに止まってしまうほど
この人が日本にいてくれればバキと梢江ちゃんのセックスも止める事ができたでしょうに
烈も「・・・ッッ」と声も出せません
そんな烈によろよろと近寄っていく劉海王
顔を覆っているタオルは己の血で真っ赤に染まっています
「・・・・・・・・・・・・・・・老師・・・・・・」
戸惑いがちに声をかける烈
その直弟子の肩に手をおき、力を込める劉
そして、なにやらブツブツとタオル御しに声を出します
烈が「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・?」と何事かと師に問い返すと・・・
「わたしを・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・ッッ」
「侮辱する気かァッッ」
たった今顔面の皮を剥がれてしまったというのにこの胆力
まだサムワン海王の一人や二人楽勝で倒せそうな余力があります
中国四千年を背負う老齢の海王
さりとてその蛮勇は烈に勝るとも劣らない
そのまま返す刀で顔のタオルを勇次郎に投げつける!
しかしそれを涼しい顔でキャッチする勇次郎
そして次の瞬間、斬撃のような足刀の後ろ蹴りが勇次郎の顔面を狙う!!
しかし、最後の意地のような一撃も虚しく
勇次郎の服を破いただけで終わってしまいました
「へッ ズッルい爺ィだぜ」
そしてタオルを空高く放り投げると・・・
ゴッ!
まさにトドメと言わんばかりのハイキックが劉の顔面にぶちこまれる
呆けたように見つめる烈の前で
師である『闘神』劉海王がゆっくり仰向けに倒れる
そして先ほど勇次郎が投げたタオルがヒラヒラと宙から舞い落ち
「勝負ありッッッ」
の声とともに劉の顔にファサ・・・とかぶさります
そのタイミングたるや、チャク家奥義無明察相カンを思わせるような絶妙さです
やはり独歩のアレが出版コードギリギリだったようですが
それを上手く隠して劉に見せ場を与えた演出は見事の一言に尽きます
まるで地上波アニメなのに乳首を出す事に成功したアニメ『グリーングリーン』のようです
こうなると、次回以降の展開に俄然興味が高まります
劉が瞬時に敗北した事により中国拳法勢も尻に火が点きましたし
烈の範馬一族との因縁も深まってまだまだ一波乱も二波乱もありそうです
バキもバキで、いくら毒でボロボロになったとはいえ
直前で父親がここまで好き放題に暴れまわってしまっては
観客の期待{?}も高まるでしょうし、ますます劣勢になりそうです
むしろ劉がこう言うあっさりとした負け方をした事により
以降の展開により深みを増す結果になったと思いますがどうでしょうか?
あと、問題は他の中国拳法以外の参加者
ここで勇次郎に続けるのか、それとも噛ませ犬で終わってしまうのか?
その扱いの格差は相当なものになりそうです。下手すりゃ噛ませ犬の出番は一コマかもしれません
で、噛ませ犬といえば{ある意味}我らの期待の星サムワン海王
ムエタイ使いというある意味呪いの刻印を背負った彼はどうなるのでしょうか?
下手すりゃ本当に乱入者にボコられるとかそんな感じで終わってしまう可能性もありますが
板垣先生はムエタイとかロシア人を弱く描いてますが
本当は強い事を百も承知で描いているというのはバキファンの間では常識です
そして、この大擂台賽編でバキが完結すると言う噂がもし事実だとすれば
最後の最後ぐらい、ムエタイが本当の意味で活躍する機会が見れるのかもしれません
例えばこんな感じで
二回戦以降、完全に復活したバキと対峙するサムワン海王
そして、闘技場へガウンを羽織って現れるサムワン海王の異変に皆が気付く
「こッ これはどういうことだ――――――ッッ
サムワンの背にクッキリと染め抜かれた範馬の2文字!!!
サムワン海王ではないサム・範馬海王!!!
この現実を我々はどう理解する!!!」
いやもうどうもするなって感じですが
範海王が範馬の種の可能性ってのは大々々本命ですから
『予想は裏切り期待は裏切らない』板垣先生ならこれぐらいはやってくれるかと
とりあえず来週以降も期待大なのでとても楽しみです
ちなみに、あんまり長くなってもマズイんで割愛しましたが
一応、範馬の種の一人として変装してこの大擂台賽に参加している
寂・ハンマー海王っての考えたんですけど、駄目ですか?
う〜ん、寂の元ネタが少林寺拳法のカリスマの人じゃなかったら期待できたんだけどなぁ{できねぇよ}