バキ
第158話『再会』

結局美味しいツメは勇次郎が掻っ攫って死刑囚は全滅


朧月の薄暗い光に照らされ
岩に波打つ音を聞きながら
洞窟に一人鎮座する男

敗北を知った死刑囚の一人、ヘクター・ドイルだ
てっきり沈んで海の底で錆びてるかと思ったんですが

色々ギミック仕込んでるから浮かばないと思ってましたが
でもまぁ、余力を振り絞って海中を歩いてきたと言うのも考えられますし



「なにも・・・・・・・・・見えない」


顔の前に手を翳し
己の視力を確認するドイル
しかし、その視力は一向に回復していなかった



「あの瞬間から―――――」


ドイルは、柳の八つ当たりの攻撃を受けた事を思い出す

見えないって事は不幸ですが
知らないって事はある意味幸せですね
バカップルにやられた腹いせにボコられたなんて
ドイルが知ってしまったら、このまま入水自殺しかねません

突然、無事な聴力が反応する
視力を失ったドイルに見る事は出来ないが
月明かりを背にした巨漢が洞窟の入り口に立っている



「今晩は{グドッイブニン} Mr,ドイル」



地上歳自由ビスケット・オリバ

やはりこの男





隕石に当たったぐらいでは死ななかったようです


まぁ、死んでもすぐに生き返りそうなイメージもありますが
やはり死因隕石説は独歩一流のジョークだった様子{当たり前だ}

でも板垣先生の事ですからね
本当に死んだかもって考えは捨てきれませんでした

出てくるまで生きてるか死んでるか定まらない
いわゆる『シュレディンガ―の猫』ってやつですね
前ページの影が、オリバの遺影を抱いた園田さんだった可能性もあるワケです


声の主の正体に気付き、ドイルは軽く溜め息をつきます



「アンタか・・・・・・」


烈先生に潰された目のせいか、その表情が少し嬉しそうに見える
隕石で死んじゃったのが嘘だと確信してホッとしているのだろうか?



「君らを狩るため・・・・・・・・・
イキまいて東京へ来た―――――
まではよかったが・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「その後が良くねェ・・・」


まぁ、バキにシコルスで童貞捨てさせようとして
ラウンド3に乱入してシコルスを倒し、バキに愛について説いたら
すっかりバキ君が愛欲の権化になっちゃいましたからね


たしかにこれで良いはずが無い
下手をすれば隕石で殺されかねないところでしたし

そしておもむろに葉巻を取り出し、吸いながら会話を続ける



「あれからどれくらい経つのかな・・・・・・・・・・・・・・・」

「ひとりも捕まらねェ・・・・・・・・・・・・・・・」


それはオリバさんのせいと言うより
シコルスを逃がしちゃった園田さんのせいのような気もしますが



「フフ・・・・・・  ・・・・・・で
ワタシをタイホしにきたワケだ・・・・・・・・・・・・・・・」


満身創痍ながら、ゆっくりと構えるドイル



「捕まえてみろよ
やれるものならな・・・・・・」


目は見えず、手のギミックは動かず、疲労は取れず
今のドイルならば、通常の機動隊でも捕まえられるかもしれない
しかし、そんな追い詰められた状況でなおドイルは薄い笑みを浮かべる

どうも死刑囚側の人間は
土壇場で自分を曲げない芯の強い人間が多い

だがこうなると

勇次郎に出会った途端冷や汗塗れになってた本部さんや
何より同じ暗闇の状態でパニックになっていたシコルスが哀れすぎる



「初めてお目にかかる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「捕まえられようとする逃亡者・・・・・・・・・・・・・・・」


どうやら、ドイルにはもう逃げ切る気は無かった様子
もしくは、逃げられない事を悟っていた事を看破したのだろうか



「視力がないようだな・・・まったく」


この薄暗い洞窟の中
恐ろしいまでの洞察力を見せる
視力が失われている事を見破られたドイル
ならば先手必勝とばかりにオリバの顔面に拳を一撃
こう言う時に克巳に教えてもらった正拳を使えばいいのに・・・
もしや、柳にあまり通用しなかったので、「使えないなコレ」と考え直したのか?

顔面に突きを食らうオリバ
しかし、眉一つ動かす様子も見せずに
ドイルの華奢な頬を丸太のような両手で固定する
このままキスをするんじゃないかと思えるほど、オリバの瞳は澄んでいる

指で無理矢理右目を診察する
そして、砕けた葉巻を吐き捨て、一言告げる



「毒によるものだな・・・・・・・・・・・・」


次の瞬間

その圧倒的な筋肉に物を言わせて抱きしめる

なるほど








キスの前にまず抱擁か


オリバの激しいテクニックに、気を失ってしまうドイル



「しかも猛毒・・・・・・・・・・・・・・・」


猛毒、それを二つ名にした男



日本刀持った本部さんにボコられた男


その後勇次郎に一撃で決着つけられた男


そう考えると大した事無いように聞こえますが
オリバさんが褒めるんですから中々の猛毒だった様子

まぁ、それはどうでもいいんですけど
誰も助けに来なさそうな洞窟でオリバに捕まえられてしまったドイル



これは激しく危険です


目が覚めて婦警姿にさせられていたらもうアウトです
ヤングチャンピオンどころかマサキさんの同人誌でしか見られないような世界が展開されてしまいます

とりあえず、ドイルさんの尻の穴の無事を祈りましょう

そして場所は移り変わってバキハウス







通称
ヤリ部屋


再会っつってもこいつら二度と見たくなかったんですが・・・

やっぱり、巣に戻っていたようです
あれからまたヤリ狂っていたのでしょうか?

まぁ、さすがに今は小休止のようですが・・・
梢江ちゃんがなにやらスープらしきものを完成させています



「っとっと・・・バキくん
おまちどう」


そしてその目線の先には・・・



「ああ・・・・・・・・・」



なにやらやせ細っているバキ
えっ!? まさか毒手が利いていたんですか!!?

じゃあ、以前の「勝てなくていい・・・」ってのは
このまま続ければ刺し違え覚悟で勝てるかもしれないが
その場合、梢江ちゃんが守れなくなるから一時撤退するって意味だったんですか?

それなら、私はバキを見直せるかもしれません

でもまさか








食い足りぬ女に搾り取られた


とか、そんな下品なオチじゃないですよね板垣先生?







梢江がヤリマンで何が悪い


なんて言い出しませんよね?{最低}
もしくは、梢江の料理が下手で食中毒とかでもありませんよね?

しかし柳さんも幸せなんだか不幸なんだか
敗北した後に毒手の大プッシュを受けるなんて
まるでメンデルやモーツァルトみたいな人ですね

何だかまた来週の展開が読めなくなりましたが
これから『バキ』の物語はどう動いていくのでしょうか?
刃牙は主人公らしいところを見せられるのでしょうか?

何はともあれ、次回が楽しみです

まぁ、これで来週








刃牙×梢江
オリバ×ドイルの
SEXザッピングシーン


なんて猛毒を見せられたら、私はその場で舌噛んで死ぬと思います