バキ
第139話『セ・イ・ケ・ン』
『セ』を『エ』に変えてはいけません
下手に言葉に出してしまったりすると
追放された逃げ出したはずの奴らが戻ってきてしまいます
もうあと5,60週は消えててもらわないと、トラウマが治りません
『バキ』が始まってから
ほとんどの戦いに絡んできた
もう一人の主役と言っても過言ではない『神心会』
今週からはそんな神心会サイドのお話のようです
全身火傷状態の克巳さんが
ドイルの煙草に火をつけてあげています
これが逆だったらまるでホストクラブですが
と言うか、何故に克巳さんは胴着着用ですか?
こんな夜更けで波止場に胴着着用の全身火傷男・・・
アメリカだったら職務質問以前に問答無用で撃たれそうです
煙をゆっくりと吐き
しばしの静寂の後ドイルが口を開く
「感謝シテイル・・・・・・・・・・・・・・・」
どうやら、何か克巳はまたドイルに何か恩を売ったようです
こんな波止場で密会してまで言う礼とは一体何なのでしょうか?
「タイミングも良かった」
「たまたま門下生に関係者がいた」
タイミング?関係者?
とりあえず、どこにでも門下生はいそうなのであまり驚きませんが
「甘エサセテモラウ・・・」
そして、何かを見上げる二人
「中東カ・・・・・・・・・」
え? 何か今物凄く不穏当な単語が聞こえたような・・・
「ああ
来週には中東だ・・・」
うわぁ
二人が見上げてたのは船でした
どうやら、克巳はドイルに国外脱出させる様子
・・・え〜っと、今さら言うのもどうかと思いますが・・・犯罪ですよね?
前々から犯罪臭い団体だとは思ってましたが
ここまでくると、その関係者とやらもカタギとは思えません
蛇頭だったら烈先生の領域なんで、普通のヤクザっぽいですが
しかし、相手は克巳です
復讐はきっちりと果たす男です
美形を台無しにされた怒りはまだ冷めやらず
同じく美形のドイルは、このままマニラに売られる可能性があります
あえて中東とぼかした言い方をしているのもそのためかもしれません
しかし、意外ですね
克巳がドイルを逃がす事ではなく
ドイルが普通に国外脱出する事がです
念願の敗北を知った事ですし
もう人生の望みは叶えられたようなものです
スペックのように老化するでもなく、ドリアンのように幼児化するでもなく
敗北を知らぬ前と別段変わった様子も見られません
ただ敗北を受け入れ、心が解放されただけです
私は今まで、ドイルは
連続した勝利という呪縛から解放された事で
あらゆる物事を受け入れる深い度量を身につけて
捕まるなら捕まる、死ぬなら死ぬ、と達観したものだろうと思ってました
少なくとも、捕まらないように国外逃亡する、とは思えませんでした
死ぬのが惜しいようには見えませんし
中東に行ったからどうするでも無いように見えますし
ひょっとして、生きる歓喜を一秒でも長く味わいたいのでしょうか?
まぁ、私がドイル国外脱出を想像すらしなかったもう一つの理由は
てっきり烈と克巳と三人で同棲生活してたからだと思っていたからですが
プレイステーションの『グラップラー刃牙』ですら2Pだったと言うのに・・・{爆}
真実がどうだったかは知りませんが
ドイルが国外脱出する事はもはや決定事項
ドイルは煙草を海にポイ捨てし、そして言います
「克巳ヨ・・・
モウ一ツワガママヲ聞イテクレ
空手ヲ教エテクレナイカ」
この提案には克巳もびっくり
『技』ではなく、『凶器』を獲物としてきたドイルが
拳を『凶器』と化す空手を教えてくれと言ったのだから
「一ツダケデイインダ」
「君トノ繋ガリニシタイ」
これ読んだ時
『繋がるってーと・・・アレだよな』
とか、バキ君みたいな勘違いをしてしまいました、猛省
でも、読者の半数はドキッとしたと思うんですが、どうですかね?
とにかく克巳は素直に教えます
小指から順にゆっくりと握っていきます
空手はまず拳の正しい握り方を覚えなければ話になりませんからね
そして、拳をギュッと握り
バッと突きをして見せます
ドイルも「ヒュウ」と口笛を吹きます
「正拳」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
セ・イ・ケ・ン」
まずは正しい名前の呼び方から
そして克巳はドイルに正しい構えを
手取り足取り腰を取り教えてやります
そしてドイルの実地
パシュッとキレのいい正拳に
克巳も「オッ」と驚いた声を出します
「さすがだな
たまんねェや」
この面でこんな事言われると
アホの坂田の伝統ギャグを思い出しますが
ドイルも「ハハ」と爽やかな笑顔で返します
「それを一日百本―――毎日だ」
「守ルヨ 必ズ・・・」
そして船の上でチカ・・・と何かが光ります
「合図だ」
克巳さん、妙に手馴れてますね
前にも誰かを密航させたりしたのでしょうか?
そして無言で向かい合い、見つめ合う二人
何かこう・・・
グッとくるものがあります
ただ男二人が見詰め合ってるだけだと言うのに
少なくとも、バカップルの見詰め合いよりよっぽど清清しいです
そしてテロップを上って行くドイルを
克巳は大声で呼び止め、何かを投げつけます
自分の黒帯
免許皆伝だとでも言わんばかりに
克巳は背を向けて手を振ります
ドイルはそんな背を見つめ一言
「ア・リ・ガ・ト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
先ほどのセ・イ・ケ・ンはそうでも無かったのですが
こっちのア・リ・ガ・トは何故かマ・ワ・シ・ウ・ケを思い出しました
ある程度日本語喋れるくせに、何故一文字ずつ区切るんでしょうか?
克巳は車に乗ると
わざわざスピンターンをして去って行きました
ドイルの前で最後にカッコつけたかったのでしょうか?
ドイルは克巳を見送ると、一人たたずんで時計を見ます
出港まであと15分、しかし、突然後ろから「フフ・・・・・・」という笑い声が
ビクッと身体を震わせるドイル
ひょっとしてオリバさんがハントに来たのか!?
「見ちゃおれん」
そしてス・・・・と暗闇から姿を表したのは・・・
「まるで生娘同士のお別れだな」
猛毒・柳龍光!!
・・・まぁ、とりあえずツッコミを
『まるで生娘同士のお別れ』って、『見ちゃおれん』って
あんた先週、生娘どころか
まるで小学生みたいに泣き喚いとったやん
見ちゃおれんと言うか、見るに耐えませんでしたが・・・
しかし、ここで元気に出てきたって事は、まだ敗北を知ってはいないって事ですね
まぁ、ドイルが案外あっさりと知ったからそう思うのかもしれませんが・・・
柳さんは何をしに来たんでしょうか?
ひょっとして、愛の力でパワーアップしたバキを見て
自分もパワーアップしようと、ドイルの尻を狙っているのか?
実は地下闘技場で初めて会った時に一目惚れしていたとか・・・
とにかく来週は
パワーアップ目的の柳さんと
克巳のために操を死守するドイルさんの戦いです
主人公が出なけりゃ、私としては大満足なんですが・・・
とりあえずドイルさんには噛ませの噛ませで終わってほしくないなぁ、と
だって、そうなると、ただバキの強さが際立たせるだけになってしまいますし
今まで散々予想通りに、期待を裏切ってこられたのですから
ここらで豪快に予想を裏切り、期待を裏切らない展開を見せて欲しいです