バキ
第138話『逃亡』

『最も強い愛だけが最も強い人間を創る』
幾多の闘いを経ても辿り着かない真理がここに―――――!!


・・・え〜と、この説明ですと
勇次郎が愛に溢れた素晴らしい人だったり
既婚者の独歩さんが独身の渋川老に負けた理由が判りません

ひょっとして渋川さんは愛人を何人も囲っているのに対し
独歩さんの家庭は見た目とは裏腹に冷え切っているのでしょうか?
まぁ、克巳も愚地家を出て、烈と同棲生活一人暮らししているようですし

まぁ、範馬家よりはまだマシな状況とは言えますが・・・
ともあれ、そんな範馬家の期待の星、次男バキ君はと言うと
突然現れた花山さんに「来てたんだ」とのんきに挨拶してます、戦闘中に

そんな余裕たっぷりのバキ君に対し、花山さんは言います


「強ええな」

「たった何日か会わねェだけで
人が違ったように強くなっちまってる」


なるほど、つまり花山さんは





















バキ別人説を推しているのですね?


わざとずばり指摘せずに
遠回りに自分の言いたい事を言う
さすが齢19にしてヤクザの組長、中々の駆け引きです
その花山さんの揺さぶりに、バキの顔から呑気さが消える、ひょっとして図星か?

しかし敵もさる者
バキは「べつに・・・」と論点をずらす





「いいんだけどね
強くなくても

自分を

守り・・・
そして―――

もう一人」


おいおいバキ君、何を言ってるんだ
君は前に花山さんやその他大勢の人の前で









「もっと強くなります」
って、言うとったやないかい


毒が脳に回ったのか
ヤリスギでアルツったのか
最大トーナメント編はもうバキ君にとって
過ぎ去った過去の事のご様子です、あの感動を返せ

これには思わず花山さんも「おいおい」の一言
呆れて物も言えないとは正にこの事でしょうか?

バキ君は相変わらず勘違いのまま
非常にいい笑顔を花山さんに向けます
呆れっぱなしの花山さんはただ一言、「うしろ・・・」

その言葉にバキ君が振り向くと
シコルスと柳が立ち上がろうとしているではないか!!

それも、目に見えるほどの




















負け犬臭を放ちながら


滅茶苦茶表情に余裕がありません
今なら、栗木拓司でも敗北を教えられるのではないでしょうか?
足もガクガクブルブルと震え、志村けんの老人コントを彷彿とさせます

それを見て何を思ったのか
突然バキは梢江ちゃんに向かってダッシュ!
「え・・・」と声を出した瞬間、梢江ちゃんは足を取られ「ヒッ」と悲鳴をあげます








まさかこのまま青姦!!?


足腰があまり立って無さそうな死刑囚達を見て
もう目的は果たしたも同然と、勝利のメイクラブを求めたのか?
それとも、強さの代償に、一定時間おきにSEXしないと強さを保てないのか?

次のページ、見開きで











「逃げよ{はぁと}」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・


この花山さんの台詞は
まさしく読者の心境を表しています
ヒロインをお姫様抱っこで抱えて逃げる主人公
・・・いつから『バキ』は少女漫画になってしまったのですか?
驚いてる梢江ちゃんの顔が、まるで『ドクター・フォービア』みたいですが

そして、その顔よりも小さく描かれた死刑囚二人
「あッ・・・」という間抜けな台詞で感極まって泣いてしましそうです

ああ・・・初登場の脱獄編で


























あんなに大きく見えた掌が
こんなに小さく見えるなんて・・・


もうこの哀れな魂に報いるためには
次のページで板垣先生お得意の不条理話法を炸裂させ


















見開きでバキが
勇次郎に殴り飛ばされる


展開しか無いと思ったのですが・・・
あっという間にバキの背中は小さくなり、消えました

柳さんも呆然と「逃げやがった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」とつぶやきます

そんな負け犬二人に
今まで背を向けていた花山さんが顔を向ける
ザッと緊張した面持ちで花山さんに向け構える死刑囚二人

しかし、花山さんはしばしの沈黙の後





「やらねェよ」

「帰るぜ」


と、言って再び背を向けます
バキと梢江のバカップルぶりに萎えたのか
それとも遺された負け犬二匹を哀れと思ったのか
そのままスタスタとその場を去っていってしまいましたとさ

主人公は主人公で
梢江ちゃんを抱えてなおも爆走中
思わず梢江ちゃんも「い・・・・・・いいの?」と尋ねます

すると、バキ君の返答はこれ








「勝たなくていい
守れりゃいい」


この主人公様の一言によって
ただ最強を目指して戦い抜き、勝ち抜いた
最大トーナメント編は完全に存在意義を失いました

これからのバキの戦闘は
『勝つ』事ではなく、『守る』事主体になるのでしょうか?

梢江を『守る』
チャンピオンベルトを『守る』
主人公の座を『守る』・・・

















・・・枯れてますねぇ


道理でタイトルから『グラップラー』の文字が消えるはずですね
戦わない格闘漫画の主人公に、意味はあるのでしょうか?

そんな感じで
梢江ちゃんを抱いたままバキ退場







願わくば、永遠に


さて、では残された者はどうしているのでしょうか?
なんと空き地では柳さんとシコルスが臨戦体勢で向き合ってます

これはあれですね


















とりあえず他にする事無いからやっとくか


みたいな感じでしょうか
もしくは、負け犬決定戦でもしようと言うのか
しかし、すぐに二人ともその不毛さに気付いたのか
だらりと構えを解くと、柳さんがシコルスに向かっていいます








「なにをやってるんだ我々は」


それはこっちが知りたいです


「これほどの屈辱」


確かに、自分の長きに渡る修行
右手を切り落とすほどの苦痛にも耐えた荒行
それが高校生同士のSEXに敗れ去ったというのであれば
これほど屈辱的な事はありません、ある意味精神的なレイプに近いです
あまりの悔しさに、柳さんの目からは涙が零れ、口からは悲鳴のような咆哮が漏れます






「オオオオオオオ」


・・・なんつーか、すげぇ可哀想
ここまで同情に値する敵が他にいたでしょうか?

これで、柳さんはこの悔しさをバネに
さらなる荒行に耐えて再度バキに挑むのでしょうか?
そうなったら柳さんの方がよっぽど少年漫画する事になりますね
読者の90%以上が柳さん燃えを支持するのは間違い無いと思います

逆パターンとして、絶望した柳さんが
毒手を壁に何度も打ち付け、「こんなもの・・・もういらない!!」
と泣き叫べば、梢江ちゃんよりも柳さんに萌える読者が急増するでしょう
柳さんのライバル、渋川先生がハリセン持ってインチキ関西弁を喋れば、さらに萌え度アップです

とにかく、次週以降は
柳さんから目が離せませんね
バキからはもう目を背けたい気分ですが

最後に、目次コメント







「単行本でどーする!?
『バキ』SEX編。」








・・・・・・どーしろと?