10月31日



「今日はハロウィンかぁ〜・・・カボチャの素朴な甘みを生かしたスイーツが食べたいのぅ。今年はあまりカボチャプリンとかシュークリームとか買わないまま過ぎちゃったからなぁ。うむむ、口に出したら甘いもの欲しくなってきた。むぅ、そろそろ相方’Sが来る頃だから徴収するか・・・・・・はて? それにしてもあいつらちょっと遅くね?」







トォォォォォォルゥィィィィィッッック! オォォォォォッッア! トッルゥィィィィィィィィィト!!(背後から突然の若本ヴォイスで)」


ぎゃあああああああああああ!!?


「やかましいので奇声をあげるなこのチキン。そして涙目でこちらに刃物を向けるなキチガイ。とっととお菓子をよこせキチン質」


セミの死骸でも食わせたろか。つーか先に悪戯仕掛けてなおもお菓子をねだるとはどこのヤクザだお前は!」


略奪者の交渉術とはそういうものだ


死ね!


「大体、あの程度は悪戯のうちには入らんぞ? 俺が本気を出して悪戯すれば、12時間後にはお前はこの国に居られなくなる


「・・・・・・桜邪にチクるぞ」


管理人としてこれ以上無いほど情けない姿をありがとう。ところでお前さぁ・・・」


「・・・・・・なんだよ」


掲示板じゃずいぶん盛り上がってたみたいだな


!!?


「セト神、か・・・」


ほらよ! くれてやる!!(おもむろに投げつける)」


「うむ、ありがたくもら・・・・・・バナナはお菓子に入るのか?


「甘いものっつったらそれぐらいしか無いんだよ最近」


「(バナナを食べながら)まぁいいけどさ。ところで、対桜邪用にセト神のスタンドを欲しがってるみたいだが、無駄だからやめとけ」


「・・・なんで無駄と言い切れる。あの暴虐の化身も、子供時代に戻せばもしかしたらヤれるかも・・・!」


それもう俺試したし


「・・・・・・人が想像しうる全ての事は起こりうる現実である、か・・・」


「対象を幼児化させる妖力ってそれなりに種類があってなぁ・・・まぁ、二度とやらねぇけど」


「なんで? 少しは有利とかにならなかったの?」


「・・・・・・凄く嫌な目にあったからな」


「ふ〜ん、ところであんたはなんかお菓子持ってないの? 甘いの欲しい」


「相方が不愉快な気分になってるのをあっさり流して自分の都合押し付けるんだからいい管理人だよなお前も」


「・・・褒めてももうバナナは無いぞ?


「よし、糖分は脳にいいと言うからくれてやろう。少なくともこれ食ってる間ぐらいは口閉じてるだろ」


「とても失礼な事言われた気がするがよこせ」


「ほれ、ハロウィンといえばフィンガークッキーだ。まぁ、これはその亜種でキャンディーバージョンだがな。俺のオリジナルスイーツだ」


「・・・・・・オリジナルはいいが、なんだこのご立派なマーラ様


「マーラ様? ・・・桜邪もそんな事言ってたが、なんかの符丁か?」


「いや、真女神転生ってゲームに出てくるキャラなんだけどね。分からないんなら言い換えようか。なんだこの超リアル男性器


「指よりも見た目がグロいだろ?」


「お前、これを私が食ってる姿を間近で見たいか?」


「質問を質問で返すな。言いたい事は分かるが・・・まぁ、いいや。これはそもそも桜邪にくれてやったあまりだしな」


「・・・・・・トリックとトリートがセットになってるっつーのは詐欺じゃないか? まぁ、この場合騙される方にも問題があるけどさ」


「いや、悪戯じゃねぇよ。これは小遣い稼ぎだ。こう、舐めてるところを隠しカメラで撮影してな。後で俺が奴の声でアフレコして売る。バレても誤魔化しやすいからローリスク。嫌がらせもできて金になる。実に素晴らしいプランだ」


「・・・・・・そこまでするぐらいならアレに変化してAVにでも出た方が早いんじゃねーの?」


それは次やったら百回殺すと言われている


「・・・・・・あんたがその執念をまともな方向に使えばみんながもっと幸せになれるはずだと思う」


「そうかそうか。ならお前もオタク趣味放棄して真面目に働いてみろ」


「・・・・・・男は、向いてる仕事よりも好きな仕事してる方が幸せって事か・・・」


「・・・・・・そうかも、な・・・」


「何を無駄にカッコつけてるんですかこの甲斐性なしコンビ」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつから、居た?」


「『その執念をまともな方向に使えば〜』の辺りですかね。まったく、分かってるなら少しは自省して欲しいものですよ」


「・・・・・・私、お前のそういう不自然なぐらい都合のいい性質好きだよ」


「いきなり何を言い出すんですか。・・・性格でなく性質ってとこに引っかかりを感じますけど」


「まぁ気にするな。そこは俺も好きだ。ところで、何しに来たよお前」


「・・・不自然に持ち上げられて嫌な予感ばかりしますが・・・とりあえず大吉さんにあげようと思ってハロウィン用のお菓子持って来ました。あとパーティーの準備できたご報告に」


「おお、できたか。なら俺もう行くわ。じゃあな大吉。・・・・・・俺の死ぬ時がお前の死ぬ時だからな


「なんで去り際に少年漫画の友情みたいな事言ってったんですかあの人?」


「ああ、ただの裏切り防止だから気にするな。ところでお菓子って・・・去年みたいにまたピザとかうどんじゃねぇだろうな? 私は甘いものに餓えているのだ」


「あはは、流石に二番煎じはしませんよ。今年はちゃんとしたパンプキンプティングです」


「ああ、そりゃ嬉しいね。で、ブツはどこだ?」


「はい」(丸のままのカボチャを手渡そうとする)


「・・・・・・去年と展開がまったく同じなのは?」


「中身が違います!」


一人で食えってのか。・・・いや、食うけどさ」


「バケツで作るのって浪漫ですけど、なんか不衛生だな〜と思ってたら閃きまして。あ、他にもパンプキンシュークリームやパンプキン羊羹。イチゴ大福ならぬカボチャ大福なんてのも作りましたよ。なんとカボチャを一個分丸々包みました!」


食い物で遊ぶな


「失礼な。ちゃんと全部食べますよ。そのために大吉さんに渡してるんじゃないですか


だからトリックとトリートがセットなのは詐欺じゃないのかね? 樫の木おじさんとレベルがあまり変わらんぞお前」


「怒りますよ!」


「怒るのは構わんが、ラジオペンチ突きつけるのはやめてくれ」


「この日のために習得した新技、ラジオペンチ殺法モデル『パンプキンシザース』・・・カボチャの分厚い外皮を刳り貫くために編み出しました。この技の実験台になった90式戦車は5分で中身ががらんどうになりましたよ・・・」


「乗ってた人がどうなったかは聞きたくない。あと、その技もそうだけどね。一生懸命になりすぎて過程が主目的になるのはお前の悪い癖だと思う


「それ、樫の木さんにもよく言われますねぇ。今年の衣装は魔女っ娘スタイルなんですけど、なんかもっと魔女っぽさを出したくてバフォメットの着ぐるみを作ってたら駄目出し食らいまして・・・実際に黒山羊の頭使って作ったんですけど。ほら、よくできてるでしょ?」(頭の部分を出してみせる)


「出すな! 食事できなくなるだろ!!?」


「この魔女っ娘服もホウキに日本刀仕込むので苦労したんですけどね〜」


「(無視しよう)ところで、樫の木おじさんが妙にウキウキ去っていったけど、パーティーってなんのパーティー?」


「えぇ、樫の木さんの古いご友人が訪ねてくるそうでして。大吉さんも後で来て下さいよ。イケニ・・・人数は多い方が悦ばれ・・・喜ばれますから」


「まずパーティー内容とお前が魔女の衣装してる関連性を聞かせろ。そもそもあいつに友人がいるわけがないだろ!」


「・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、友達って言うのは自分で認めて作るものですから」


私の目を見て話せ


「(目を見て)ジャックさんって言うんですけどね♪ 10歳ぐらいの男の子なんですよ」


微妙に話をシフトさせるな


「なんでも、昔々樫の木さんの悪友だったらしくて。悪魔を騙した報いで地獄にも天国にも行けずに彷徨ってるらしいんですよ。たまに樫の木さんに会いにくるそうで、手紙来てからパーティーの準備しろって五月蝿かったんですよ。・・・いつも一人寂しく放浪してるそうですから、楽しんでってもらいたいんでしょうねぇ」


「ふ〜ん。そういや、子供と言えば樫の木さんと喧嘩して子供にされたって聞いたけど、何やったの?」


「相方がしんみりした気分になってるのをあっさり流して自分の都合押し付けるんだからいい管理人ですよね貴方も」


「・・・褒めてももうバナナは無いぞ? さっき樫の木おじさんにあげちゃったから」


「パンプキンケーキもあるからそれ食べてなさい。糖分は脳にいいですし、食べてれば口が塞がります」


「(モグモグ)それで、何したの?」


「ん〜・・・ちょっと恥ずかしい話なんですけど、精神と肉体って密接な関係があるみたいでして。子供にされて樫の木さんに小突かれた時に、ちょっと泣いちゃったんですよね」


「それで復讐に血の涙を流させた、と・・・」


「いえ、泣きながら睨んだら元の姿に戻りまして。そのまま襲い掛かってきたからいつも通りに返り討ちです」


「・・・行動の意味がよく分からないんだけど、何がしたかったのあの人?」


「したかった事は弱体化した私への暴力だったんでしょうけど、やっぱりできなかったんでしょうね〜。・・・あの人、私の事嫌いですけど。子供に嫌われるのはもっと嫌みたいですから」


なんだその小悪党ぶりは。変身能力があるくせに姿形に惑わされやがって・・・! だからあいつは駄目なんだよ!!」


「だからって子供に優しいわけでもないんですけどね。まぁ、そんな人ですから・・・・・・ロリコンで強姦嗜好な大吉さんの事は心の底から軽蔑してると思いますよ


「・・・・・・・・・なんか無性にやるせないんだけど。馬鹿に馬鹿って言われたみたいで


「お互い様なら別にいいんじゃないですか? ま、そういう事なんで。パーティーには来て下さいね〜。あと、そっちの創作パンプキンスイーツについても感想聞かせて下さいね♪」


「とりあえず言わせてもらえば、せめて南瓜善哉は小豆混ぜて作れ。白玉にも南瓜練りこみやがって。・・・つーか、それで美味いのがムカつく


「ありがとうございます♪」


「・・・・・・このまま終わるとなると、誰も不幸にならずに終わりか・・・珍しいなぁ」


「あ、じゃあ新技の実験台にでもなってみます?」


御免被る