9月5日


「も〜い〜くつ寝〜る〜と〜誕生日〜♪ いやぁ、これで私も21歳と36ヶ月になるわけだねぇ。あっ、ケーキはどこのがいいかな。私が好きなのはレアチーズケーキっつーかどっちかと言うと和菓子なんだけど、誕生日ケーキって言ったらやっぱりイチゴショートだよねぇ。お母さんが焼いてくれるとイイナ♪」


「・・・・・・(目を閉じて首を横にフルフルと振る)」


「・・・・・・(クロスワードパズルを黙々と解いている)」


ケー・・・・・・キ・・・・・・ケーキ・・・・・・
ママがね・・・・・・・・・・・・2切れしかくれないの・・・・・・・・・ケーキ・・・
ボクは・・・たくさん欲しいのに・・・・・・いつもそうなんだ ケーキ大好きなのに・・・・・・



「大吉さん 私が山ほど焼いてあげます」


「ホント!? ホントに!?」


「好きなだけ焼いてあげますよ



焼き土下座強制器で


新しい顔を!!?


「根性焼きの方がいいか?(タバコ吹かしながら)」


「・・・確かに、少しはしゃいでたのは認めよう。だがな・・・・・・

本当にはしゃいでたら堂々と24歳の誕生日って名乗るんだよ!!


「詰め寄らないで下さい大吉さん。加齢匂が鼻につきます」


まだしねぇよそんなスメル!!


「な、ムカつくだろその女?」


「・・・どちらかと言えばあんたのそのどっちの敵にも回る自由なスタンスがムカつく


「よし桜邪、たっぷり焼き入れてやれ」


「・・・だからその蝙蝠体質どうにかしましょうよ」


「いいんだいいんだ、僕には他に祝ってくれる人がいるから・・・



この人とかね!!


「誕生日記念セッション・・・まだ「なんでもない日おめでとうセッション」とかの方が良くねぇ?」


「いえ、むしろ祝うよりも呪った方が


「なんか私に怨みでもあるのかおのれら」


怨みがなきゃ他人をイビっちゃいかんのか?


TRPGのキャンペーンボスに使いたいぐらい清清しい外道だなあんた


光栄の極み


褒めてねぇよクズ


「ご安心下さい大吉さん! 私の方は、怨みなら腐るほど!!


「・・・憎しみの連鎖は断ち切らねばならんのですょ?」


流石奇麗事はアスハのお家芸ですね。そんな事より――今朝、私が目隠し状態で食べさせられたやたら苦くて生臭いどろっとした白いジャム――あれは一体なんだったんですか?」


「・・・・・・イカとゴーヤとレバーと山芋を混ぜたのは樫の木おじさんです」


「あっ、テメェ俺の名前は出すなって言っただろ!!


「だ、だっておじさんが『あいつは食い物なら、一度口に入れたものは絶対に吐き出さずに最後まで食べる』って言うから・・・試してみようかと・・・」


「そう、俺はお前が残さず食べる方に賭けた! つまり俺はお前の理解者だ!! 理解者に酷い事なんてしないよな!!?」


「・・・人と木を煮詰めるのは準備がいりますから一旦この話は置いておきましょう。で、誕生日祝ってもらえるんですか?」


「・・・死刑宣告受けた上でウキウキ話せにゃならんのワシ?」


「死に際に微笑めない人は生まれ変われませんよ?」


「・・・え〜、迎えられるかどうかが難しくなりましたが、とにかくガンダーラさんにお祝いしてもらえる事になりました」


「TRPGで誕生日祝い・・・まぁ、一人でエロゲーやってるよりは百倍建設的な迎え方だわな」


「失敬な。その気になればモニター越しでクドリャフカに祝ってもらうわい」


死ねばいいのに


「・・・混じりっけなしの殺意ってのはツッコミとしてどうかと思うよ僕。とにかくまぁ、祝っていただけるだけ私は果報者ですよ・・・しかもPC1だなんて・・・」


「お前さ、PC1って大嫌いじゃなかったっけ。確か、主人公立位置なんてクソ食らえとか言ってなかったか?」


「ハハッ、まぁそういえばそんな事言ってた時期が俺にもありました。でもね・・・やっぱりこれはお祝いなんだし・・・たまにはそういった特別な楽しみ方をするのもアリなんじゃないかなって・・・他にもほら、







私だけ経験点100点追加ではじめてみるとか


「・・・えっと、私はTRPGには疎いんで詳しい事はよく分からないんですが・・・・・なんのために?」


「あぁ、こういうのって大抵のゲームがそうだけどね。キャンペーン形式でもなければ0からキャラクター製作する場合で追加経験点無しって一番つまんないパターンなのよ。追加経験点ないならサンプルキャラを使えばプレイ時間を増やせるし。0から作るなら、やっぱり経験点あって独自の成長させた方がキャラに味が出るからね。まぁ、TRPGやってないとピンとこないかも知れないけど、簡単に言うとそんな感じね。何人ぐらい読み飛ばしたかなこの文章


「そうじゃなくてだな

何が悲しゅうてお前のオナニーショーを演出しなきゃならねぇんだって質問なんだよ」


「・・・・・・私は、楽しいよ?


「それはゲーマーとして一番最低な発想でしょうが」


「だって! せっかくの誕生日なんだからなんか特別な事がしたい! 綺麗な恋だってしてみたいのよ!!?


「特別な事はするらしいぞー。日記によれば、『ダブルクロスリプレイ・ストライク―天からの一撃―』ってもんを参考にするらしい。あと、綺麗な恋じゃなくても別にいいからとっとと恋人作って両親安心させろ


「・・・『ダブルクロスリプレイ・ストライク―天からの一撃―』?」


「えぇ、そう書いてありますね。あと、後半重要だったので聞き流さないように


「そのリプレイってアレ? 帯に『主人公ないがしろ。』とか書かれてるあのリプレイ?」


「そうだな」


「トークショーで田中天さんが矢野さんに「天、お前には言ってなかったがストライクの続刊が決定した」とか言われて「以蔵をそっとしておいて欲しいの!」とか叫んでたあのリプレイ?」


「そうですね」


「ガンダーラさん・・・ちょっと、頭冷やそうか


「落ち着け。お前の立位置はPC1だ。魔王じゃない


「つーかこれ絶対「大吉さんの誕生日を祝ってあげよう」って企画じゃないじゃん! これむしろ「誕生日にかこつけて大吉さんに仕返ししよう」じゃん!! イヤー! ガンダーラさんがクリスとかハンスの仕返しをしようとしている!!」


「・・・そこら辺の事情はよく知りませんが、つまりガンダーラさんに仕返しされるような事はしてるって事ですよね?


「・・・・・・私は、楽しかったんだよ?(ニッコリ)」


「よし、胸張って仕返しされてこい」


「う、うわぁ? 楽しみだなぁ? 9月16日?」


「うん、シックスに個人情報聞き出された後のアンドリューさんのような良い笑顔ですね♪」


シハシハシハシハシハシハシハシハ


「うむ、少なくとも俺らはそっちのお前の方が好きだ


「大吉さんが幸せそうだと、なんだか心配になっちゃいますもんね


嬉しくねぇなクソ野郎ども。まぁ、それはそれとしてですね・・・日程、もうちょっと先送りでもいいかなーとちょっと思いましてですね」


「・・・執行があまり先送りになると、精神の均衡保つの大変になりますよ?」


「いや、そうじゃなくてですね。なんでも、来月末辺りにダブルクロスの新しいサプリメントが出るらしいんですよ。で、エフェクト専用Dロイスとか追加されて、Dロイスが50個ぐらいになると言う話を聞きましてですね」


「要するに、新要素が追加されるんで試してみたいと?」


「えぇ、なんかまたろくでもないマンチキンコンボ(※ゲームマスターが嫌な顔をするルールの組み合わせの意)ができそうじゃないですか。是非! 是非試してみたいんですよ!!」


「・・・そりゃ仕返しもされますよねぇ。なんですかその一点の曇りも無い笑顔


「別に、誕生日で一回、サプリメント追加記念に一回、とかでもいいんですけど・・・誕生日記念セッションだとなんか色々大目に見てもらえそうだし・・・」


「お前、祝ってもらえるだけ・・・いや、生存権を認めて貰えてるだけありがたいと思わなきゃ駄目なんだぞ?」


「い、生きているだけで十分ってーんじゃ獣と同じだって黒沢さんも言ってたし・・・まぁ、どうなるか分からないけど楽しみですよ、ほんと」


「まぁ、楽しむ事ですよ。それが一番です。それじゃ・・・
(ガシッと樫の木おじさんを掴みながら)」


「・・・この手はなぁに?」


「そろそろ作っておかないと。明日の朝食に間に合いませんから、ジャム


「待て! それなら大吉も! 大吉も同罪のはず!!」


こっち見んなwwwww


「はっぴーばーすでーつーゆー」


「・・・・・・え? プレゼントそれで終わり?」


「恩赦があるだけありがたく思いなさい。それじゃ」


たぁぁぁぁすけてぇぇぇ!!


「・・・さっ、なんか仕込めるネタでも考えておくか・・・・・どうせリプレイっぽいセッションならストライクよりもウィアードっぽいのがいいなぁ。追加経験点100点で史上最強のスナイパーシモ・ヘイヘやってみるとか!!!」


シュッ! ザクッ!!


「・・・・・・なんか壁に「メメント・モリ(死を忘れるな)」って書かれたナイフが突き刺さった。・・・・・・さっ、白装束でも着て誕生日の準備しておくかな・・・」